交通系ICカード


皆さん、交通系ICカードをお使いですか? 関西ならICOCAやPiTaPa、全国的にはSuicaの利用が広まっています。電車に乗る時は勿論ですが、タクシーや駐車場やお店での支払いなど確実に日常に定着しつつありますね。しかし、残念ながら関西ではいまだにタクシーでは殆ど使えず、店舗の決済も使えるお店は限られています。こんなに便利な決済手段がどうして広まらないのか、その導入費用を調べてみました。

交通系ICカード「導入費用」は半端じゃない

こちらの記事を見ると、バスやタクシーなどの交通事業者が導入する費用は概ね3億円程度とあります。確かに小規模の事業者が導入するにはハードル高いですね。利用者の満足度が上がるのは間違いないですが、そのために設備投資しても売上にどれだけ反映するかと言われるとあまり見込めないでしょうね。バスやタクシーは全ての車両にカードリーダーと通信端末を設置する必要があるので、端末代とセンターサーバーの投資がどうしても嵩んでしまいます。世論に押される形で少しずつ導入が進むのを待つしかないのでしょうね。

では、お店はどうか。こちらは大きな投資なしに導入できる環境が整備されています。

実店舗にSuica決済を導入する方法まとめ!お店でSuicaやPASMOを使えるようにして、会計時間のスピードアップを目指そう。

結論をまとめますと、

・初期費用 :無料
・月額費用 :無料
・決済手数料:3.24%
・回収期間 :月6回(Airペイ)

となります。全然お金かかりませんよね。レシートを発行するプリンターも数万円で買えますし、導入しないお店の理屈が分かりません。売上の阻害要因、決済・予約・分煙などのネガティブ要素は極力排除するのが理屈だと思います。未だにクレジットカードも導入していないお店が結構ありますけど、手数料を節約しているつもりがそれ以上にお客さんが離れていることに気付くべきです。もっと環境を整備して、インバウンド旅行客をふくめたおもてなしを徹底しましょうよ。”スマート日本”が早く実現することを願います。

メッセージングアプリによるカスタマーサポート


今、「おちゃのこネット」も「パーツショップコンタクト」も、お客さまとのコミュニーションはメールが主体です。これ、正直古いと感じています。実際問題私たちは普段メールを殆ど使わなくなってしまいました。ウチの息子たちはスマホを与えた時「メールアドレスなんか要らない」と言って驚いた覚えがあります。冷静に考えてみるとそうですよね。今やスマホに入るメールは広告や一部のメルマガで、メールという媒体そのものがSPAMと化しています。

いまやコミュニケーションのプラットフォームは完全にLINEやメッセンジャーなどのメッセージングアプリに移行しているのですから、企業の側も変わらないといけない。少しずつLINE@を顧客サポートに使う企業は増えてきました。気の利いたお店はLINE@のアカウントを開設しています。iOSも11.3のリリースで標準のメッセージアプリにカスタマーサポートとの会話機能を導入しました。

ウチも変わらねば。実は少しずつ試していますので、導入を楽しみにお待ち下さい。

所有かレンタルか

BMWとレクサスも車のサブスクリプションを目指す

高額な買い物の代表は住宅とクルマ。そのどちらにも所有するのか、レンタルか、という選択肢があります。住宅についてはバブル期までの右肩上がりの地価上昇サイクルが崩れ、長期のローンを組んでまで所有するのが本当にいいのかという機運が高まっていると感じます。これから少子高齢化、人口減社会を迎えるわけですから、特に若い世代には親の持ち家がほぼ確保されているわけで、先行き不透明だし当面は賃貸で間に合わせておこうという人が増えているのだと思います。当然ですね。

クルマも然り。そもそも運転免許を取らない若い人も増えているようですし、これだけカーシェアリングや自動運転や配車アプリなどの環境変化があると、クルマを買う人が減るのも当たり前です。そしてこのサブスクリプション型の販売方式。月額で定額を払えば、自由にクルマを変更できるし保険料や維持コストを含めることもできます。レンタルと所有の中間というカンジですね。

このように必ずしも皆がクルマの所有に拘らなくなるとどういうことになるか。私見ですが、今よりもクルマ全体の売上は減るでしょうね。それは殆どのクルマの稼働率が低く、大部分の時間はガレージで眠っているのが社会全体で効率化に向かうからです。そして、割合の減る所有する対象のクルマには趣味性が重視されるでしょう。つまり実用性をシェアリングに委ねて、本当に持ちたいスポーツカーや面白いクルマだけを所有するようになる。楽観的に考えれば、これから趣味のクルマのバリエーションが増えて楽しい時代になると期待できます。

私の見通しが当たってほしいですが、答えはこれからの10年で見えるでしょう。どちらにしろ、自動車が発明されて100年、激変期を迎えているのは間違いありません。

クレジットカード情報の非保持化への取り組みについて

2018年6月より割賦販売法の一部改正が施行され、クレジットカード情報の非保持化が義務付けられます。法令の通知は下記をご参照ください。

割賦販売法の一部を改正する法律について(経済産業のサイト上のPDFファイルにリンクしています)

「おちゃのこネット」もこの対応を急いでおり、日本クレジット協会の定める目標期限の2018年3月末に向けて、概ね全ての決済代行会社向けの改修作業を完了しました。

昨今クレジットカード情報の漏洩トラブルが多発して、実際に不正使用されるケースが増えています。我々もEC事業者として決済は切っても切れない重要マターですので日々いろんな状況に接していますが、不正アクセスや詐欺行為などの重要インシデントを目にする機会は多々あります。インターネットという誰がアクセスしてくるか分からない空間で一番気を付けないといけないのは、クレジットカード情報を素の状態で持たないことです。そのため決済代行会社はカード処理のトークン化対応を進めており、システム上の接続処理を改修しています。詳しい情報にご興味のある方は、下記をご参照ください。

期限迫る改正割販法対応に不可欠、PCI DSS準拠を押さえる

決済代行会社さんは各社で状況さまざまですが、カゴ落ちを防ぐ観点から私どもでは決済会社への画面遷移が発生するリンク方式よりも、カート内で処理が完結するモジュール方式をご利用頂くようオススメしています。

Q.カート内でクレジットカード情報の入力ができる決済代行会社はどこですか?

トークン化対応に関して影響のあるショップさんへは2月末の時点で既にご連絡を差し上げておりますが、まだ適切な決済代行会社さんへの契約移行などがお済みでないショップさんはお急ぎください。法律の期限は2018年の5月末です。

「おちゃのこネット」ではクレジットカードに関するトラブル防止のため、安全にお使いいただける環境整備に努めて参ります。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

マツダはどうやって立ち直ったか


日経ビジネス誌に「マツダー変革への挑戦」という集中連載記事が掲載されていました。最近、マツダは元気ですよね。でもほんの数年前までは、経営は絶不調でした。ある程度のご年配の方は”マツダ地獄”というフレーズをご存知でしょう。マツダのクルマは下取りの人気が極端に悪く、一度マツダ車を買ったら次の買い換えもマツダディーラーで下取りしてもらうしか値が付かない、永遠にマツダ車のサイクルから逃れられないと揶揄されたのです。経営というのは、一度落ち目になるとそれを立て直すのは至難の業。今の好調マツダを実現するために経営陣がどれほどの努力を重ねたことか、そのご苦労に本当に頭が下がります。では、その復活のストーリーとはどんなものだったのでしょうか?

六回ほどの記事を私なりに要約すると、大事な骨子は以下の通りです。

1.PDCAのPにフォーカス
 これは私も反省するところが多々あるのですが、多くの企業で起きているのはいい加減なPlanの尻拭いをCheckしてActionする悪循環です。
一般的に、仕事って、あまり考えなしに始めたことで起こった問題を、現場が大奮闘して解決する、ということが多くないですか。
マツダで起きていたのは、各モデルを各担当者がおのおのでプランニングして、戦略的思考が不充分なままで開発に着手していた。出来上がってきたクルマは魅力に欠け、当然市場に出しても売れない。
誰だって、一生懸命やったことがムダになり、「やりなおし」になるのは嫌じゃないですか。私もすごく嫌だった。それをバブル期にさんざん経験して「売れないクルマを頑張って作るほど悲劇的なことはない」と思った。じゃあ、最初からムダな仕事が起きない仕組みを考えてみよう、と意識した。
マツダは10年先に自分たちがありたい姿、目指す理想を全員で話し合うところからスタートしました。そこでマツダが策定した長期目標とは何か。
マツダの全ラインアップが世界のベンチマーク、つまりは世界一を目指す。
驚きですよね。世界一を目指す、と明言したのです。しかし当然この目標設定には前提条件があります。あらゆるクルマで世界一を目指すのは、それは無理です。自分たちのモデルラインナップを決め、どのサイズの、どんなクルマで10年後に商売するのかを定めました。でないとトヨタやVWのリソースと全戦線で戦うのは無理に決まっているからです。そこでマツダはハイブリッドを捨てました。エンジンを磨くという取捨選択をしたのです。これがSkyactiveに繋がります。そしてワンボックスからの撤退。MPVは一定数売れていたにも拘わらず販売を止めて、SUVに特化したのです。そうすることで統一のマツダデザインを構築する事もできました。これはフルラインナップのトヨタ・日産・ホンダにはできない弱者ならではの戦略と言えるかもしれませんね。勝てる戦略をPlanの段階でとことん考えたからこそ生まれたのが、今私たちが見ている新生マツダの姿だったのです。

2.全社の開発環境を統合
 上記のPlanを実行するにあたり、重要だったのが社内の開発環境をデジタルで統合したことです。今まで各パートごとにバラバラに設計・開発・製造していた現場を、デジタルでデータが流れるようプラットフォームを整備しました。これがMDI(マツダデジタルイノベーション)でした。今は自動車メーカー各社同じようにデジタルプラットフォームを導入していますが、それを本格的に取り入れたのはマツダが早かった。これも規模の小さなメーカーだったからこそのフットワークの良さだったのでしょう。これは私の私見ですが、現代の仕事で最も重要なのはコミュニケーションだと思います。何故その意志決定が行われたのか、それに対してどのような修正要求が発生しているのか、誰がどうアクションしたのか。こういうプロセスを関係者全員が共有することで、自分が何をすべきなのか、自分の立ち位置と方向性が見えてきます。言われたことをただやるだけではなく、一人一人が自分の頭で考えて動くことが要求されている現代の職場では、このコミュニケーションが機能することが決定的に重要です。大事なのは実は、そのプラットフォーム上でどんな情報を流すか、なのですが。恐らく、会社の中で非公開の方がいい情報というのは、各人の給与データだけなのです。それ以外は、全部オープンでいい。私はそう思います。経営の数字を全員が共有することで、自分たちのポジションで何をすべきかが見え、やったことが成果として出ているのかどうか評価することが可能になります。仕組みを使いこなす器量が経営陣には求められます。

結果としてマツダはこの改革をやり遂げ、直近の決算で過去最高益という結果を残します。その結果を知っている私たちから見ると、ああそうか、としか感じませんが、ここに至るまでどれだけ迷い、苦しみ、考え、もがいてここに至ったか、経営陣の苦悩は相当だったと思います。どんな会社も右肩上がりでずっと調子良く発展できるわけではありません。必ず落ち込む時がきます。あまり悲観せずに、マツダのような復活事例を心の励みに、やるべきことに取り組んでいきたいと思います。大事なのは、まず志を立てるところですね。

短所と長所

50を超えても迷うことばかりで、老成とはほど遠い心境です。耳の痛い苦言を頂くこともあります。有り難いことです。

誤解を招く表現かもしれませんが、私はあまり短所を改善しようとしすぎない方がいいと考えています。これは忠告を聴き入れないとか反省しないとかいう意味ではありません。客観的に自分を振り返る謙虚さは必要です。しかしそれを分かった上で、あまり短所にフォーカスしない方がいいと思います。そのココロは?

それは、短所は往々にして長所の裏返しだからです。例えば私の場合、無神経で鈍感なところがあると自覚しています。それはそれで改善する努力はしているつもりですが、それでもその欠点は私の長所にリンクしている部分があるのです。恐らく私は、他の人よりメンタル的にタフで逆境を打開する突破力があるんじゃないかと思っています。これは私に限らず、全ての人に言えることなんじゃないでしょうか。短所の表現、視点を変えると、その人の長所に繋がる。だからこそ、短所を矯正しようと意識を集中させるとことが、長所も殺すことになりかねないと懸念します。ではどうするのか?

繰り返し頂いたアドバイスに、欠点を直そうとせずに引き出しを増やす努力をしなさい、というものがあります。あるシチュエーションに上手く対応できない。反射的に怒りが爆発したり、逃げたりする。そのリアクションの基になっている性格や考え方を直すのではなく、違う対応をするバリエーションを増やす努力をしなさい、と。この考え方の方がなんだかホッとしませんか。自分を否定するのではなく、認めた上で、新しいスキルを獲得する。はるかに前向きで建設的な対応だと思います。

幾つになっても学ぶことばかりで、自分が成長しているのか停滞しているのかすらよく分かりません。ひょっとしたら同じレベルでウロウロしているだけなのかもしれませんが、それでも足を止めてはダメなんです。止まらずに前に進む。それが新しい場所に行く唯一の方法なのですから。

神戸スタートアップオフィスDEMO DAY


神戸スタートアップオフィスDEMO DAY

第5回目となる神戸スタートアップオフィスのDEMO DAYを見てきました。ウチの隣のオフィスで2016年から活動している神戸市主導のベンチャーアクセラレーション活動も今回の第5回目の活動で一区切り付けるそうです。私は始めて参加させてもらったんですが、最後に間に合ってよかった。5組のデモを見て、KURASERUさんの介護施設マッチングサービスが一番有望と感じました。確かに病院を退院してからが大変という要介護者は多く、ウチの母親も受け入れてくれる施設を探すのに苦労しました。未だにシステム化されていない領域に効率的なITサービスを持ち込むのは、家族・病院・介護施設の三者がハッピーになるとてもいいスキームです。もうマネタイズも出来ているようですから、ビジネスとして立ち上がっていると言えますね。

プロデューサーの西本凌先生によれば、他にも神戸で有望なベンチャーは増えているそうです。インバウンドでたった一人で売上20億円、利益4億円を稼いでいる会社もあるそうで、どこだろw こうやって成功例が増え、応援する支援サービスが充実し、何よりチャレンジするカルチャーが根付いていくのが嬉しいですね。神戸を始めとする関西は、もっとベンチャーの聖地としての存在感を高めて当然のポテンシャルがあるのです。博多に負けてちゃダメなんですよ。

ゲストスピーカーのスペースマーケットの重松さんのスピーチも面白かったです。これから人口が減る日本では色んなスペースが空いてくるはず。それをシェアリングする、というコンセプトは正しいですね。これはAirbnbよりもマーケットとしては大きいかもしれません。凄い勢いで伸びているビジネスみたいなので、要注目です。

最後に山下計画の山下哲也先生にはクルマのビジネスについてドキッとする指摘を頂きました。「早ければ2030年には手動運転車が全面禁止になるかもしれないよ。クルマのビジネスは急いだ方がいい」と。うーん、ちょっと不安になりましたが、そんなに早く自動運転社会が実現しますかね。将来がその方向だということは百も承知ですが、現実は机上の検討の通りにはいきません。Uberの事故のニュースのように、一進一退を繰り返しながら時間を掛けて社会に定着していく話なんじゃないでしょうか。新しいITサービスやデバイスの普及といったレベルとは社会に与えるインパクトが違いますから。仮に手動運転車が禁止になったとしたら、どうするか。これは確かに考えておかねばならない大事な視点だと思います。これは西川さんとやり取りする中で、「馬に例えて考えるのが分かりやすいんじゃないか。結果的に馬の価値は上がったかもしれない。馬を扱える場の提供まで含めたビジネスのチャンスかもね」という示唆がありました。確かに。私たちのターゲットであるコレクタブルカーはサラブレッドのようなもの。であれば、特別なステージとその価値を育むエコシステムそのものを育てることがビジネスとして成立するはずですね。

と、ほんの数時間の参加で沢山の気付きが得られました。社内に閉じこもってないで表に出て人に会う。そうすれば刺激は得られるんだなと再認識した一日でした。ちなみに、神戸スタートアップオフィスの活動はこの第5回で一旦終息でオフィスも3月一杯でクローズするらしいですが、500 KOBE ACCELERATORなんて活動もあるみたいなので参加してみたいと思っています。

Amazonの脅威


Amazon、怖くないですか? ひとりの消費者としては凄く頼りになる便利なサービスなんですけど、これがライバルになる同業者としての目線で見ると底知れぬ恐怖心を覚えます。モノを売るメガストアとして、また出店ショップを集めるモールとして、もはや無関係でいられるEC事業者など存在しないのです。いまはアメリカの時価総額でAppleがダントツの一位、AmazonはMicrosoftを抜いて三位につけ、二位のGoogleを追い抜く勢いです。近い将来、Amazonこそが世界最大の企業になるのではと思っています。それは何故か?

最大の牽引力はジェフ・ベゾスの飽くなきリーダーシップ。彼がどこを目指しているのか分かりませんが、多分「これくらいでいいか」なんて満足の限界点はないんでしょうね。どこまでも規模を拡大する、まさに密林として地球上を覆い尽くしてしまうその野心に恐ろしくなります。創業者を亡くしたAppleに今以上のパワーはもうないと思うので、ベゾスが現役で引っ張っている限りはAmazonの成長は今以上のスピードで続くのでしょう。気になる記事がありました。

Amazonの医療界の野望
Amazonの噂で一気に下がるもの: Amazonのマーク・トウェイン化

愛読している渡辺千賀さんのBLOGですが、Amazonの動向がいかに業界に大きなインパクトを与えるか分かります。
世の中は「Amazonが健康保険に進出」とか「Amazonが処方箋事業に進出」などと言っているのだが、私は個人的に「健康保険から医療機関まで垂直統合した大医療サービスを作る」と予想している。
前回書いたAmazonのヘルスケア業界進出(の可能性)は、業界内でも様々な地殻変動を起こしている。

まずは株価に見る世の中の総意としては「保険会社も、処方箋売ってるドラッグストアも問屋も相当まずい」という感じ。(北斗の拳的に言うと「おまえはもう死んでいる」状態。古いけど。)
話の発端はAmazonが自社の従業員向けに医療コストの削減を検討している、というだけのニュースなんですが、それが巨大なヘルスケア業界を揺さぶる一大事件に膨らんでいます。これがただの噂話に止まらないのがAmazonのAmazonたる所以。もうね、降参するしかないんですよ。

これはとても大事な視点で、勝てない相手に勝負を挑んでもドンキホーテになるだけ。そこは冷静に彼我の立ち位置を見極めて、私たちはAmazonがやってこないポジションをキープすることを考えるべきなのです。それには色んな考え方があると思います。

・Amazonが入ってこれないニッチ市場でポジションを取る
・Amazonがやらない面倒な手を掛けるサービスを提供する
・Amazonがやらないリアルな店舗戦略を採る

池に鯨は住めませんから、小さなニッチ市場で自分達のポジションを確立するのが一番の近道ですよね。これは世のスモールビジネスは自然に採用している戦略です。下手に大きなマーケットに出ていかない方が利口です。全てのEC事業者は、「自分達の市場にAmazonが進出してくる可能性はあるか?」という検討を最初にしておくべきです。それに対する答えが用意出来ない限り、そのビジネスをやってはダメです。受注生産や、個別対応が求めらるような手の掛かる市場も狙い目です。Amazonのデカさが災いして、彼らはスケールしない市場には進出しませんから。

リアルな店舗展開をする、というのはAmazon対策としては有力だったんですが、最近はこれも怪しくなっています。アメリカでホールフーズの買収なんかしちゃいましたから、これから実店舗の展開はやってくる可能性があります。書店も作ってますしね。さすがに日本で実店舗を展開することはあってもまだ先のことでしょうから、イオンやセブンイレブンは当面大丈夫かな。でもアメリカではコンビニはヤバイですね。無人店舗を始めてしまっていますから。

あまり心配しすぎても商売なんてできないんですが、それでもこれから「対Amazon」の戦略を考えるのは全てのEC事業者に共通の課題になります。良い智恵を絞り出しましょうね。

リモートワークの是非

皆さんの職場ではリモートワークのスタッフさんはいらっしゃいますか? 働き方改革が注目されている昨今、仕事との関わり方の多様化は大事なテーマです。ウチは基本的にはフルタイムの正社員が主体なのですが、さまざまな事情から兼業・複業・パートタイム・リモートワークのスタッフがいます。この状態をどう見るかは人それぞれで、多様性の実現と歓迎する人もいれば、少々苦々しく思っている人もいます。ネガティブに考える人の言い分は、コミュニケーションの確保に不安があるということと、そもそもオフィスに出勤するのと同等の時間と内容で業務時間をコミットできるのかという点にあります。

これは懸念するポイントとしては確かにもっともで、実際にある子育て中の女性スタッフは、自宅で仕事をするよりオフィスに出勤する方がやりやすいと言っていました。生まれたての赤ちゃんを抱えて仕事をするというのは特殊な事情なので、リモートワークで話が解決するわけでもなく、保育所へ子供を預けることも必要でしょうし急な病気で休むことや家事の分担など会社にも家庭にもそれなりの配慮が必要になります。そういう意味では、一定のネガティブ要素がないとは言えない。それでもリモートワークを導入する理由は、やはり質の高い人材の確保という大命題があるからです。これだけ人の確保が難しくなると経験を積んだ高スキルな人材を容易に手放したくないし、新規の採用場面においてもそういう配慮がある会社かどうかが入社のモチベーションに大きく影響します。ある意味必要に迫られての対応かもしれませんが、時代環境が多様性の実現を後押ししているのですね。

コミュニケーションの確保という面では、最近新しい発見がありました。それは、リモートでのオンラインコミュニケーションが必ずしも対面のリアルコミュニケーションに劣るとは限らない、ということです。私は頭の中に対面のコミュニケーションがベストで、オンラインコミュニケーションはセカンドベスト、質的には落ちるという考えがあったのですが、そうでもないと指摘されました。新鮮な驚きでしたね。これにはその人と周囲のスキルと理解も必要です。誰でも同じようにいくわけではありませんが、信頼関係のベースとオンラインコミュニケーションのツボを心得た人同士であれば、場合によっては同じオフィスで空間を共有している以上の意思疎通が実現できもする。なるほど。

気を付けなければいけないのは、意識してコミュニケーションを取る姿勢そのものを持つこと。なんとなくその場にいれば受動的にでもシェアできる暗黙知は、オンラインでは伝わりません。発信する意識のない人からは何も生まれませんから、まずは必要な相手先に必要な情報を伝える問題意識があることが大前提です。実はここのスキルを持ち合わせない人が結構多い。遠慮だったり、慎み深さという個人のパーソナリティの現れかもしれませんが、チームに対して必要な情報をシェアするというはっきりとした意図をちゃんと持ってくれないと、オンラインコミュニケーションの世界では埋没して存在が消えてしまいます。だからきちんと発信できる人でないとリモートワークは機能しないですね。

加えて、文字で誤解のないように必要充分なコミュニケーションを取るスキル、これが要求されます。これがなかなか難しい。どうしても情報不足だったり、表現がまずかったりして、こちらの意図が正しく伝わらないことが多い。これはみなさんも経験されていることでしょう。私もこうやってBLOGやSNSに日々色んなことをポストしてますけど、分かりやすい良い文章を書くことの難しさを感じています。今回の内容も冗長ですかね?w

しかし多かれ少なかれ、これからは全ての企業においてリモートワークは増えていくし、上手に対応出来ない会社やチームは質の確保が難しくなるでしょう。契約社員・パートタイムスタッフ・業務委託先・社外コンサル、などなど多様な関わり先と多様な働き方を模索する。経験を積んでおいた方がいい大事なテーマだと思います。

SNSやる人、やらない人

みなさんは、もしくはみなさんの周囲の人はSNSしてますか? 最近は昔に比べると利用する人に偏りが発生している印象があります。使ってる人はヘビーに使うし、使わない人は離れてしまっている。勿論FacebookやTwitterの流行始めはみんなが興味本位でどんなものか飛び付いた面があると思いますが、ブームも一段落して自分に合わないと感じた人が距離を置いてしまいましたね。私がFacebookに登録したのは2007年7月とありますが、もうあれから10年。重要なインフラとして定着しましたが、そのカバー率は当初期待されたほど拡がりはしなかったと言えるでしょうね。

4大SNS(Facebook, Twitter, Instagram, LINE)の日本における利用状況《随時更新》

私が見ているのは2016年のデータですが、Facebookの人口カバー率が21.3%、Twitterで31.5%、LINEで53.6%とあります。Facebookが五人に一人、Twitterが三人に一人、と聞くと、まあそんなもんですかね。LINEでやっと半分超えです。しかもこの人口カバー率にアクティブ率を掛けると、Facebookは全体の10%程度、Twitterで20%、LINEはほぼ全員がアクティブなので50%。SNSはやっている人がそもそも少数派で、日常的に使っている人は二割以下ということになりますね。では、やっている人とやらない人の違いは何か?

自己顕示欲? 承認欲求? 社交性? コミュニケーション能力? どれもあると思います。SNSやっている人は、目立ちたがり屋で自分を認めて欲しくてアピールが激しく、コミュニケーション能力が高くて社交的。こう書くと鬱陶しい人ですねw やらない人は、慎み深くて恥ずかしがり屋で少し消極的で奥手の人。ちょっとステレオタイプ過ぎますが、典型的なタイプとしては間違っていない気がします。加えて、SNS起因の様々なトラブルを回避したいという心理も強く働きます。いじめやストーカー、炎上騒ぎなどが頻発するのを見ていれば、普通の人は深入りしないでおこうと考えますよね。とすると、今後もこの比率は変わらないのではないかと思われます。これ、実は問題です。

なぜ問題か。それはSNSのビジネスモデルが広告に依存しているからです。全体の20%にしかリーチできない広告媒体は、いずれその費用対効果を厳しく問われる場面を迎えます。今はまだ全体のユーザー数が伸びているので表面化していませんが、全体の伸びが止まれば、もしくは各市場ごとの効率を見直す機運が高まれば、特に成熟した先進国マーケットではSNSメディアの広告媒体としての価値が過大評価されているということに気付くでしょう。では、その後にどうなるか?

リアルな対面型の広告が評価されるようになるんでしょうね。例えば、屋外の看板広告。電車の中吊り広告。人が外を出歩けば必ず目にする実体スペースがデジタルサイネージとしてネットワーク化されて媒体になる。これは屋外だけではなくて、家の中でも例えば冷蔵庫の表面とかがパネル化して媒体化するのでしょう。中身が表示されて、「牛乳が切れかけです、いつものブランドを自動発注します」、そしてそこに新商品の広告が出る。難だか邪魔くさいですけど。そうやって目にする全てのものが広告表示スペースになっていくのが未来なんじゃないでしょうか。んー、広告ブロックサングラスとかが売れたりしてw

動画コンテンツへの対応

日商120万円超えのアパレルEC、女性向け動画メディアの「PATRA」が1.3億円を調達

ネット環境がリッチになり、動画が身の回りに溢れてきました。私は古いのかもしれませんがあまり動画を見ません。しかし中三の息子も小六の娘もしょっちゅうYouTubeを見ていますし、そもそもTVをリアルタイムに見る習慣がありません。彼らにとってはタレントよりもYouTuberの方が身近な存在みたいです。動画の波は我々オールドタイマーにも忍び寄っています。Facebookで見る広告は段々動画が増えてきていると感じます。今後はECの現場でも動画を使う事が必須になっていくのでしょう。伝えられる情報量が多いのですから、リッチな表現に移行していくのは当然の流れなのです。しかし、問題が一つあります。

それは作り手のスキルが追いつかないということです。勿論制作物のレベルによります。撮った素材を前後少しカットして文字を載せる程度のことは少しやればできると思います。しかし、映画の予告編を思い起こせば分かることですが、たとえ短時間のコンテンツでもそこに要求されるセンスは画像編集に求められるものとは段違いに高いと感じます。多くの平均的なITスキルの持ち主であるショップオーナーさんが、自分のショップで商品紹介のムービーを作る作業にどこまで追従できるか。実はこれからショップによって大きな差が出てくる部分なのかもしれません。前向きに考えれば他のお店と差を付けるチャンスとも言えるのですが…。

さて、あなたのお店はどうされますか?

ホーキング博士の逝去

Stephen Hawkingが76歳で逝去

車椅子の天才物理学者として有名なスティーヴン・ホーキング博士が76歳で亡くなったそうです。ご冥福をお祈りいたします。

博士がALSを発症したのは21歳の頃と伝えられていますから、博士は生涯に渡って難病と格闘し続けたと言えますね。想像してみます。もし自分が二十歳の頃にALSと診断されたらどんな人生を歩んでいただろうか、と。こんなに前向きに人生と向き合えた自信はありません。私も含めて多くの人は、自分に足りないものを嘆くことはしますが、自分が沢山のものに恵まれていることに感謝することはありません。パラリンピックを見ていても感じることですが、ハンディキャップを抱えながら強く生きている人がどれだけ眩しいか、周囲の人を勇気付けているか。

目の前の状況をどう捉えるかは、当人次第なのですね。よく言われる例え話があります。コップに半分水が入っているのをどう考えるか。「もう半分しか残っていない」と悲観するひと。「まだ半分も残っている」と楽観的に考えるひと。その違いは大きい。私は、楽観的に考え、生きたい。ホーキング博士を見習って、周囲の人を勇気付ける存在でありたいと願っています。博士を失ったことを悲しむよりも、博士を知り得たことを喜びと考えたいと思います。どうぞ安らかにお眠りください。

カプセルネットワークとかいう進化がAIの世界で起きているらしい

CapsuleNetの圧倒的俺得感

すっかり身近な話題になったAIですが、見えないところで日進月歩の進化が起きているらしいです。文章が面白いので清水亮さんのブログは定期的に読んでいるのですが、最近はカプセルネットワークとやらがブームらしいのです。AIに関する本は何冊か読んでみまして、カナダのジェフリー・ヒントン教授がAI界に多大なインパクトをもたらす第一人者であることは知っていました。そのヒントン教授が2017年の11月にニューラルネットワークを超えるアイデアとしてカプセルネットワークを発表していました。

グーグルの天才AI研究者、ニューラルネットワークを超える「カプセルネットワーク」を発表

専門的な知識を持ち合わせていない私にはこのアイデアの凄さを評価できませんが、どうやらAI技術をワンランク引き上げる大きな発見だったみたいです。上記の清水さんのブログのコメントがそのインパクトを物語っています。
世に出てるディープラーニングの本が一夜にして軒並み一世代前のものになってすごい笑える。さあライターの皆さん、本を書き直しましょう
私が一番身近に感じるAIの出来事は囲碁や将棋のプロに勝つAIが登場したことなのですが、その技術的基盤となったディープラーニングの本が一世代古くなってしまう発見、と聞くとこれから起きるであろう様々な進歩を想像して身震いします。

今の世の中で一番進歩が激しいのはITの世界。そんなチャンスの多い世界で仕事ができることがたまらなく楽しいですね。いい時代に生まれました。

自動車取引へのエスクローサービスの導入

3分でわかる!ECサイトでエスクローを導入する際の法的問題とは?

Wantedlyで求人広告に書いちゃってますから隠してもしょうがないんですが、いまCARZYで自動車の個人間売買サービスを準備中です。ある程度の高額車両が対象ですので、当然決済に不安が出てくるわけです。特に買い手側にとっては、ちゃんとしたクルマが届けられるのか、キャンセルした時は払い込んだお金が返ってくるのか、が気になると思います。売り手にしても、ちゃんと代金が支払われる見通しがなければ大切なクルマを送り出せない、というのが当たり前でしょう。これを解決する手段が、エスクローサービスです。

エスクローサービスとは、元々オークションなどでよく使われる、第三者による安心な取引のための第三者預託サービスです。つまり、売り手と買い手の間に善意の第三者が入ることで、代金が払い込まれていること、ちゃんとした商品(ウチの場合はクルマです)が届けられたことの確認、売り手への確実な入金、が確実に行われることが約束されます。

とても良い仕組みなのですが、実は近年フリマアプリが盛んに使われるようになるに従って、このエスクローサービスをEC事業者が提供することに法的な問題があるという指摘がされています。

急成長「メルカリ」にはどんな法的リスクがあるか ー 「預り金規制」に違反の疑い

私も最初は自社でエスクローサービスを提供しようと思っていたんですが、顧問弁護士さんに法令を指摘されて慌てました。どうも多くのC2Cサービスはここをちゃんとクリアしていないみたいですね。今回、参考例として自動車の個人間売買サービスを幾つか調べましたが、どこも資金移動業者の登録はしていない模様です。そもそもこの免許、登録しても100万円以下の取引しか扱えないという制約があります。フリマアプリを想定しているからそんな縛りになっているのでしょうが、クルマを扱うとなると上限100万円では話になりません。なのでどこも「決済代行+代理受領」スキームで逃げているんですね。しかしこのスキームは、実は買い手に多大なリスクを押し付けていることになるのです。例えば、クルマが買い手の手元に届いた時に想定していたものと違った時、当然キャンセルして取引を中止したいですよね。で、払い込んだ代金を返金してほしいという話になりますが、恐らく代理受領のスキームだと返金が難しいと思います。売り手の代わりに代金を受け取る形なので、売り手の同意なしに勝手に買い手に返金する権限がないのです。これはいざトラブルが起きてみないと気付かないポイントだと思いますが、買い手はここまで理解してサービスを利用していないでしょうから非常に不親切な仕組みと言えます。

CARZYはそこを外部のエスクローサービスを導入することで抜本的に解決します。第三者によるエスクローサービスによって安全にクルマの代金を預かり、取引が不調の場合はちゃんとキャンセル処理してご返金できるスキームです。勿論、CARZYの倒産などの不測の事態でも預り金は保全されますし、ペイオフ対象外なので全額払い戻しが担保されています。ちなみに海外では非常に手軽なエスクローサービスが幾つもありますので、ご紹介しておきましょう。

ESCROW.COM
 自動車取引を想定した説明ページが用意してあり、$25,000以上の取引で0.89%と良心的な手数料設定です。仮に5万ドルのクルマを取引すると$445の手数料。

Payoneer
 $50,000から$500,000の取引ゾーンで$525 + 0.75%の手数料設定なので、5万ドルのクルマだと$900の手数料ということになります。

残念ながら両社共にJPYが取り扱いできず、日本向けにエスクローサービスは提供していませんので使えません。しかしフィンテックを体現しているような身軽さと敷居の低さは日本企業にはないところ。アカウト登録はオンラインで完結しますし、取引登録も画面から簡単で、APIを実装してシステム連携も可能です。こういうサービスを見るといかに日本が遅れているかよく分かります。

というわけで最大の懸念だったエスクローサービスの目処がついたので、サービスの実現に大きく前進しました。まだお見せできるには時間が必要ですが、いいご報告ができるよう頑張ります。

規制の弊害

新サービスの準備のために、金融系の会社に相談を持ちかけています。これがなかなか話が進まないんですよね…。正直困っていますが、何とか突破したいとあれこれ考えて工夫しています。

規制はそもそも消費者保護が目的で作られるもの。その意義そのものには私も依存ありません。例えば、いま騒ぎになっているコインチェック騒動。お金を預かる金融機関の管理体制があんなにザルでは、消費者は安心してサービスを利用できません。法律の縛りと監督官庁のチェックは必要なことだと思います。同じことは、色んな業界に存在します。医療・製薬・食品・法曹・税務会計・製造業、ある意味全ての業界は何らかの規制を受けていると言えますね。

問題は、環境が変化してその規制が古くなった時です。明らかなビジネスチャンスが生まれているのに、規制が縛りとなってそのチャンスを活かせない。これは結局のところ、サービスの受け手である国民の損失です。インターネットなんてものが影も形もなかった頃に作られた法律が、様々な企業活動の妨げになっているのは自明ですよね。

では何でも規制緩和すればいいのかと言えば、そうでもないのが難しいところ。そもそも規制が生まれた原点である消費者保護という役割は、新しい環境下でも必要なことであることに変わりはありません。ここに起業家が必要とされる理由があります。新しい技術の登場を背景に、既存の法律や規制のすき間を探して新しいサービスを提供する。その状況をみて、規制が現状追認の形で改正される。

ここで皆さんにお考え頂きたいのは、この流れを実現するためには、起業家がどこかで既存の規制をかいくぐる提案をすることが必要だということです。いわゆる、グレーなサービスの開発です。しかしこれはなかなかリスキーな面があり、起業家が法令違反を問われることになるとそのリスクを負う者がいなくなってしまいます。世のベンチャーはどうやって規制を突破しているのでしょうか。

実はこの問題の背景には、各国の法令が寄って立つ法的概念の違いがあります。いつもいつもベンチャーがアメリカから起こるのには、理由があるのです。それは、日本が成文法の国であり、アメリカが判例法の国であることに起因するところがあるいうことです。

成文法
判例法(コモン・ロー)

おおまかな分類ですが、日本・ドイツ・フランスは成文法の国、アメリカ・イギリスは判例法の国、と言えるということです。これ、何となく直感的に納得いきませんか。

日本では、あるベンチャービジネスを考えた時、これが既存の法律でどう解釈されるか考えます。普通は何らかの既存の法律で規制されていると判断されるため、法的なリスクを負うことを避ける圧力が強く働きます。対してアメリカでは、グレーゾーンのサービスをまずやってみて、後からその新サービスに対する法的な解釈を待つことができる。これがUberやAirbnbなどのシェアリングサービスがアメリカで広まって日本で規制される大きな理由です。勿論、アメリカのベンチャーエコシステムが健全に機能していて、起業家とベンチャーキャピタルがどんどん新しいサービスを生み出す母体になっているのも事実です。しかし、日本で同じようなアイデアやチャレンジが全くないわけではないのです。多くの起業家は新規サービスのアイデアを持ちながらも、その法的なリスクの前に泣く泣く諦めているケースが多いんじゃないかと思います。

こうなると話の根っこは深くて深刻です。日本の法体系がすぐに大きく変わることは期待できないでしょうから、当面は英米の後追いに甘んじるしかないということになります。事実として多くの日本のベンチャーはアメリカでの先行事例を日本に遅れて導入するタイムマシン経営で大きくなってきたという実態もありますから、日本語という特殊なカベに守られて楽をしている面も否めません。ただ、これだけ情報が世界に瞬時に波及するネット社会では、与えられる時差は短くなるばかり。それに永遠に他国の後追いを続けるというのも愉快なことではありません。

本当にチャレンジングなサービスは、日本に拠点を置く日本企業でも、日本を飛び越えて最初からワールドマーケット向けに展開することを想定する。そんな時代になっていくのかもしれませんね。息子達の目には私の常識は古いものに映るのでしょう。私は次世代によい環境を引き継ぐべく、新時代の尖兵でありたいと思っています。