アジャイルSESというコンセプト

一説には東京都内に2万社のSES企業があるのだそうです。SESとはわかりやすく言えば、プログラマーの派遣ビジネスです。ご存じない方からすれば普通のビジネスだとお思いになるでしょう。ところが、ここに日本のIT業界の悪いところが集約されているのです。

“IT土方”という言葉があります。建設業界に見立てた多重下請構造を揶揄する表現なのですが、なかなかツライ現実を表しています。今でこそコンプライアンス遵守の世相で長時間労働はなくなりつつありますが、それでも発注元の圧力で不当・不条理な環境に甘んじているエンジニアは沢山います。ソフトウェアの開発というのは聞こえの良さとは裏原に、とてつもない労働集約型の仕事なんですよね。多分、プレファブ工法が普及した建設業界の方がよほど合理化・効率化されていると思います。大手銀行の勘定系システムのリプレースなんかが典型例なのですが、大人数のチームを編成してウォーターフォール式の大規模開発を行う現場はエンジニアが駒扱いされて納期と品質のプレッシャーに喘いで疲弊しています。そりゃ精神病むよな、と同情したくなります。

ソフトウェア開発のスタイルは、大きく二つの流儀に分かれます。一つは上記のウォーターフォール式、もう一つが比較的新しいアジャイル式です。これらはどちらが優っているというものでもなく、目的に応じて使い分けるべきなのですね。ざっくり言うと、ウォーターフォール型は、開発する仕様が決まっていて比較的大規模な案件向き。アジャイル型は、コンシューマー向けのプロダクトなど仕様が固まっていなくて柔軟な対応が求められる案件に向いています。ウチのおちゃのこネットとCARZYはこのアジャイルスタイルで開発をしています。乱暴な言い方ですが、ウォーターフォール型の開発案件は古い大企業の現場に多く見受けられ、アジャイル型はベンチャーや新しめの企業で採用されることが多いのです。仕様と予算と納期を予め決めてヨーイドンで開発するプロジェクトの方が予算を組んで管理する大企業には採用しやすいんですよね。アジャイル式は柔軟なスタイルな分、いつどんな成果物が上がってくるのか予測がつかず、管理がしづらいデメリットがあります。特に新規性を要求されない業務システムの開発ならウォーターフォールで構わないんですが、出してみないと顧客の反応が見えないWebサービスやアプリなんかは短いスパンで開発を回していくアジャイル式の方が無駄がなく効率的な開発が期待できます。ただ比較的新しい手法だけに、クライアントも見通しが立たない怖さがある。比較的小さくて新しい企業が採用することが多いのは、リスクを取ってでも良いものを作ろうという若さがあるからですね。

楽らクラウドは、従来はどこにでもある平凡なSES会社でした。しかしいま、このアジャイル型の開発手法にフォーカスした新しいやり方にシフトチェンジしようと考えています。顧客の現場になるべく近いポジションで、柔軟なアジャイル手法で合理的なソフトウェア開発にチャレンジする会社。顧客の目線に近い立ち位置でサービス設計レベルの提案ができる開発会社であることで、リモートワークに象徴されるような自由度の高い開発スタイルを実現する。これができれば、エンジニアにとっての幸せな仕事環境が手に入るはず。クライアントもエンジニアも双方がハッピーな理想形ですよね。

レベルの高い人材によるレベルの高い仕事をする魅力的な開発会社を目指します。目標は、それが達成できた時に心から満足感が得られる高いものでなければ意味がありませんから。

もう一つのスティーブ・ジョブズ物語り

PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

今やレジェンドになったスティーブ・ジョブズですが、カリスマの人間的な一面が垣間見れるIT業界人必読の書です。物語の始まりは1994年の一本の電話から。Appleを追い出され、再起を懸けてチャレンジしていたNeXTもPIXARも迷走続きで結果の出ない日々を送っていたジョブズがスカウトしたのが筆者であるローレンス・レビー。この一人のCFOが驚きの成功をもたらすストーリーには、どんなフィクションも及ばないリアリティと興奮があります。意外だったのはジョブズの素顔です。

すごいアイデアも出てくるけど、的外れも少なくないんだ
スティーブの打つ手は何でもビシビシ結果が出ていた気がしていますが、それは成功したあとに振り返っていい場面だけを拾うからバイアスが掛かっているんですね。思い返すと、SONYにおける盛田昭夫さん、ホンダにおける藤沢武夫さんのように、偉大なビジョナリーの夢を形にしていく有能な実務家が成功には不可欠なのかもしれません。スティーブは何でも自分の思うようにしようという独善的なところがありますが、挫折経験を経てはじめて人の言うことに耳を傾けるようになったのかもしれませんね。
スティーブとは、いつもだいたいこんな感じのやりとりだった。大きな問題でも小さな問題でも、スティーブは激しい議論を展開する。議論は同意できる場合もあれば同意できない場合もある。同意できない場合、私は、彼が激しいから譲歩するのではなく、あくまで事態の打開に資するから譲歩という姿勢で臨む。スティーブも、自分の考えを押しつけるより、議論で互いに納得できる結論を出し、ともに歩むほうを好んだ。ピクサーにおける事業や戦略は、彼が選んだものでも私が選んだものでもなく、こういうやり方で得た結果だと思うと、何年もあとにスティーブからも言われている
有能な補佐役との出会いも望んで得られるものではないのだと思います。スティーブにはその縁を引き寄せるパワーがあったということなのでしょう。

実はPIXARは10年に渡り私費を5,000万ドルも投入しながら全く成果が上がっていない苦しい状況でした。カオスな状態から、当面のキャッシュの手当、何が収益を生み出す元となるのかの見極め、ディズニーとの交渉、IPOの道筋と実現、そしてバイアウトという着地。筆者の果たした役割はとてつもなく大きい。スティーブ・ジョブズ復活のお膳立てをしたのはローレンス・レビーだと断言しても過言ではないでしょう。

生の成功ドラマを読んでいると、本当にワクワクします。そしてそこに自分を当てはめてみる。自分にも同じことができるだろうかとイメージしてみる。身の程知らずなのかもしれないけれど、それでも思わなければ絶対に実現はしない。夢を追う人の背中をそっと押してくれる、そんな勇気をくれる本でした。

アップル vs. ネットフリックス

アップル vs. ネットフリックス。映像配信サブスクで激突、投資1兆円超の戦略

Appleが映像配信のサブスクリプションサービス強化に動いています。普通に考えれば圧倒的な資金力を誇るAppleの優勢なのですが、さすがグローバルマーケットではエースプレイヤーが活躍中、そう簡単にはいきません。最大のライバルはAmazon Primeビデオなのでしょうが、めきめき追走しているのがNetflix。ウチの家族も全員加入しています。CEOのリード・ヘイスティングスの言葉にシビれますね。
アップルは素晴らしい企業だが、我々は、我々のサービスの上で、我々が作ったコンテンツを見てもらいたい。彼らのサービスには参加しない。競合から学ぶことはできるが、競合とともにビジネスをしようとは思わない
こんなこと普通言えます? 時価総額世界トップの企業相手に真っ向から勝負ですよ。チビリそうですw

当然ながらNetflixには勝算があるわけで、
コンテンツの内容は重要だが、あればいいわけではない。多様で質の高いコンテンツを持っていることが重要で、特に“多様である”ということが大切だ

アメリカでは、英語以外で作られた作品を見る人は非常に少ない。だが、アメリカの外には魅力的な作品は山のようにある。吹き替えを行ない、アメリカ人も興味を持つよう提示することで、ようやく見てもらえるようになる。そもそも、英語をネイティブに話している人々は、世界中でたった5%しかいない。
だから、世界中で支持されるには、吹き替えや字幕には力を入れる必要がある。その結果として、“ネットフリックスには他にないコンテンツがある”と理解してもらえて、サブスクリプションの契約が継続する(イエリン氏)
Appleはコンテンツプラットフォーマーとしてのポジションを確立することが優先で、独自コンテンツを作ろうとは思っていません。踏み込みの深さが映像配信専業のNetflixの強みなのです。ユーザーベースで1.4億人を抱えるまでに成長したNetflix、Huluや既存TVメディアを振り切ってトップランナーの地位を固めるのは間違いなさそうですね。

振り返って日本国内は弱小プレイヤーの乱立状態。小粒感が見ていて嫌になります。せめて中国やアジアマーケットを押さえて、欧米プレイヤーに一泡吹かせてやりましょうよ。大きなターゲットを見据えることが大事なのだと痛感します。

おちゃのこネット名古屋セミナー開催しました

おちゃのこネット名古屋セミナー「私はコレにこだわっています」
女性経営者に聞く、選ばれるネットショップ作りのヒント

概ね二か月に一度のペースで開催しているおちゃのこネットセミナーですが、名古屋での開催は初めて。中京圏のお客さまには大変お待たせいたしました。

今回嬉しかったのは、事前アンケートで「岡野さんに会いたい」という参加動機を回答頂いた方がいらしたこと。タレントでもない私に会って喜んで頂けるなんて気恥ずかしいですけど、嬉しいです♪

今回のセッション1では弊社の馬頭より、モチベーションラインという考え方をご説明させて頂きました。つまりどのようなサイトの見せ方をすれば顧客の離脱が防げるのか、という心理的な施策ですね。サイトにも商品ページにも、ストーリーが必要。なぜこのお店で買うのか、なぜこの商品を買うのか。その理由をきちんと説得できなければ、どんなに沢山の商品を並べていても売上は上がりません。それができていないから、多くのお店は売り上げが作れず退場していくのです。おちゃのこネットでも多くのお店は月商10万円以下の水準から脱却できていません。私は一人でも多くのショップオーナーさまに成果を上げて頂いて、長くお店を続けて頂きたいのです。小手先のテクニックよりも、こういう根本的な芯の部分の考え方を身につけて頂くことが成功への近道だと思います。

セッション2ではいつものパネルディスカッション。今回も名古屋の有名店「SPLASH」さまにご登壇頂きました。本当にいつ見てもセンスのいいほれぼれするデザインのサイトですよね。ご夫婦で創業から経営に携わっておられる石田店長に日頃のネットショップ経営の裏側をお話し頂きました。お店を立ち上げて数年はご夫婦二人で運営をされて、ヤフオクへの出品で売れ線の商品の見極めと値頃感を掴み、全てのコンテンツを自前で作り、コツコツと実績を積み上げてこられました。検索エンジンへの露出、リスティング広告、メルマガ発信、FacebookやInstagramなどのSNSの活用、独自の読み物コンテンツの整備。それぞれが当たり前の施策を、ただし高品質に実行しておられます。デザインや見せ方についてはオーナーさんのセンスとしか言いようがないので簡単には真似できませんが、売上を作っていくプロセスそのものは王道ですから参考になるはずです。セッションの途中から参加オーナーさんからお悩みの相談などもあり、具体例を交えたやり取りが時間をオーバーして続きました。

そして最後の打ち上げ。実はこの時間が私にとって一番楽しい時間でもあります。顔なじみの古いオーナーさんたち数人とお互いの近況報告をして、おちゃのこネットがいまどういう状況で何をしようとしているのかお伝えしました。実はいま裏側で凄いことが進行中でして、東京で買収したエンジニアのSES会社を舞台に、新しい人材の採用と新規の開発チームの編成、そしてAIを活用した新しいツールの企画と開発がスタートしているのです。永年神戸で思ったような採用が進まず慢性的な人材不足に悩んでいましたが、状況はこの数ヶ月で様変わり。貴重な人財を多数確保することに成功し、戦略を考えられるキーマンの獲得と併せて新しいビジョンに向けて邁進中です。向こう数ヶ月でこの成果を形にしてお目に掛けられるはずです。どうぞ新しいおちゃのこネットにご期待ください。再度成長軌道に会社を乗せたいと強く決意しています。

iPhoneの次を探せ

次の稼ぎ頭を探すApple

恐らくここ数年、ずっとAppleの経営陣はこのテーマに向き合ってきたはず。これ、考えるだにハードルの高いミッションです。世界で一番売れていて収益をもたらしている製品の次を探す。このミッションをクリアできる経営者が果たして世界に何人いるでしょうか。

もし私がAppleの社長なら。そう考えてみるのはとてもいい思考トレーニングです。クルマという選択肢もあったのですが、彼らは放棄しました。恐らくハードルが高すぎたのです。テレビというのも良い切り口なのですが、Netflixがこれだけ大きなってはもう手遅れでしょうね。Appleはプライドに懸けても既存の大きなプロダクトやサービスをそのまま買うことはないでしょう。ではどうするか?

私ならイヤホンかな。やっぱりAppleはハードウェアの会社、それも最先端のITカルチャーの会社だと思うのです。これから絶対に必要なのは多言語間のコミュニケーションとウェアラブルデバイスによる高次なマン/マシンインターフェース。Googleグラスの失敗に見るように、眼鏡では違和感ありすぎなんです。そこをスマートに納められるのは意外とイヤホンなんじゃないでしょうか。AmazonのAlexaやSiriのような音声応答システムは違和感のないUI/UXとして有望だと感じます。世界中の人が耳にApple Earを付ける未来、充分アリですよね。

事業開発パートナーという立ち位置

K.S.ロジャース

こちらの民輪さんはCARZYのCTOを引き受けて頂いています。今日の午前中のスプリントミーティングで民輪さんの今後の事業プランを尋ねたところ、自社サービスの開発と、事業開発パートナーという立ち位置を追求したいと。なるほど。さすが目線が高いですね! 正直なところ、私は楽らクラウド社について目先の売上を上げるために受託開発スタイルへの移行しか考えていませんでした。それでも普通のSES会社が派遣でピンはねビジネスに甘んじていることからすると大きな飛躍なのですが、事業開発パートナーは更に斜め上を行きます。

事業開発パートナーとは何か? つまり新規事業を志す新興スタートアップとがっぷり四つに組んで、リスクを負ったビジネスパートナーとして立ち上げの苦労を共にするということです。そこに求められるのはただの開発会社ではなく、あるときは戦略コンサルティングであり、資金調達アドバイザーであり、共同出資者であることもあるでしょう。相応のリスクを負う覚悟とハイエンドなスキル提供が求められます。

そこで大事なのは事業の立ち上げ経験、特に成功した実績ですよね。どれだけ美辞麗句を並び立てても、一定のスケールに事業を成長させた裏付けがなければ言葉に説得力は出ません。その意味では私にある材料はおちゃのこネットの実績とCARZYの立ち上げ経験。まだまだインパクトはありませんね。当面CARZYの立ち上げに全力を注ぎますが、必ず成果を出して、次のステージは後進の育成にかかりたいのです。立ち止まっている暇はありません。

AIによる文章執筆

AIによる自動文章作成ツールがあまりにも高精度のテキストを簡単に作り出してしまうため開発陣から「危険過ぎる」と問題視される

現在の第三次ブームと呼ばれるAIが、本物の人工知能なのか、ただの少し賢い変換エンジンなのか、私には分かりません。レイ・カーツワイルが唱えるシンギュラリティが本当に2045年に来るのなら、そろそろ本当の神が現れてくれないと間に合わない気がします。

上記の文章作成ツールも、ある意味データベースから適切な文言を抽出して整形しているだけで、自分で考えて文章を書いているわけではありませんから、”知能”とは呼びにくいですよね。しかしながら、私たちが何かを考えるとき、何か思考のベースとなる材料なり参考となる知識が存在しているわけで、それを元に自分の頭の中にある言葉を選んで組み合わせているだけだとしたら、GPT2のやっていることと大して変わりはない気もします。人は自分たちが思うほどに創造的なことはしていないのではないか、そんなことを考えたりもします。少し怖いですね。

巨人の肩に例えられるとおり、技術の進歩は不可逆的に進んでいきます。良かれ悪しかれ、それが事実である以上、エコやロハスといった左派思想で懐古主義に陥っている余地はないと思っています。AIも、原発も、遺伝子組み換えも、タブー視している暇があるなら、欠点をなくして実用性を向上させるための研究開発に注力すべきだと思っています。新しい技術にマイナス要素は必ず付いてまわりますが、だからといって副作用を理由にその技術を捨てていては進歩はないのです。

私が生きていれば、2045年には79歳。シンギュラリティの到来を私は見てみたいですね。

Google vs. Indeed

Googleが求人情報検索サービスを日本でも公開

アメリカでは2017年5月にローンチしていたそうなので、関係者には驚きはないのでしょう。求人情報がおカネの取りどころであることは自明なので、むしろGoogleのアクションは遅すぎるくらいです。リクルートの高収益ぶり、Craigslistが求人情報への課金だけで成立していること、などを見ても、マーケットの最大の商材はヒトなんですよね。Googleのやることがなんでも正解というわけではないけれど、求人の動線に影響があるかもしれませんね。

問題は、そんなに貴重な人的リソースを本当にちゃんと活用しているのか、という点です。最近SES(要するにエンジニアの派遣です)の現場を見ているのですが、少しずつ環境が改善されてきているとはいえ、相変わらずブラックな職場が多いことに驚いています。長時間労働、無理な納期、プレッシャー、、、。実は末端の零細企業の方がコンプライアンス的に保護される傾向にあり、元請けの一次SIerにしわ寄せがいくケースも多いみたいですね。そりゃメンタルやられるエンジニアが後を絶たないわけです。いつまでこんなことを続けているのでしょうか。

私見ですが、諸悪の根源は元請けの営業スタイルにある気がしています。顧客は悪くない。だってユーザーがITに疎くてもそれは仕方ないじゃないですか。問題は、プロである一次請けが顧客とプロジェクトの実態に即した提案をしていない点にあると思うのです。仕様を定義しきれない曖昧なプロジェクトをウォーターフォールスタイルで受注するから、問題が起きるんじゃないでしょうか。恐らく自社サービスを企画・開発しているベンチャー企業は、概ねアジャイルスタイルに移行しているはずなんです。これは多くのシステム開発プロジェクトで有効性が証明されている手法なのですから、古いスタイルに拘らずに積極的に導入すれば問題の多くが改善するんじゃないでしょうか。銀行の勘定系システムのリプレースとか、ウォーターフォールスタイルに向いた大規模案件もあるでしょうが、絶対数からすれば少数のはずです。というか、これからの時代はITシステムの出来が企業の競争力に直結するのですから、外注任せじゃなくて自前のIT部隊を抱えるべきですよね。

若い人が夢を持って入ってこれる明るいIT業界を作りたい。そのためには、実は自社サービスをスケールさせることが最良の成功パターンだと思っています。ハイリスク・ハイリターンですけど、絶対その方が楽しいですよね。CARZYとおちゃのこネットを頑張ります!

リモートワークの必要性

東京に来ると、その人の多さと密度に圧倒されます。電車は常に満員状態で、ホテルも飛行機も新幹線もいつも混み合っており、早めに予約をしないと良い席は押さえられない。ビルは強烈な存在感で迫り、ここが日本経済の中心である事実を否応なしに突き付けてきます。ビジネスをする場としては申し分ない。

しかし、これが生活者の視点に立てばどうだろうか。この通勤電車に好んで乗っている人はいまい。住宅価格の高さは戸建てマイホームなど夢のまた夢で遠い存在に追いやってしまう。この街に住んでいる人はこの環境に適応しなければならないのだから、諦めてしまっているのだろう。しかし、ストレスは着実に鬱積しているのではないだろうか。エンジニアの間でリモートワークがもてはやされるには理由があるのだ。

リモートワークは万能の仕事スタイルではありません。ものごとなんでも、メリットの裏にはデメリットがあります。一番の懸念はやはりコミュニケーション。これはツールや環境を用意すればそれで解決するものでもなく、企業のカルチャーが成否に大きく影響を及ぼします。元々風通しの悪い社風の組織が安易にリモートワークを導入すれば、各所にコミュニケーションのギャップが発生してスムーズに仕事が運ばなくなることでしょう。在宅で勤務するメンバーを信頼出来なければ、監視する方向にマネージメントが向きがちで一層会社の空気が悪くなります。実際にリモート側を体験すれば分かりますが、環境の不備で音声や映像が満足に機能しないと本社側の話の輪に入っていけなくなり疎外感を抱きます。時間の区切りがなくなり、働き過ぎるという弊害もよく耳にします。これらのデメリット対策への取り組みを既に経験した先人のノウハウや知恵に学ぶべきところは多いのです。

すんなりとは実現しない夢のリモートワーク環境ですが、それでも導入を図るべきであると私は考えます。これは東京一極集中の解消と、真の生産性向上、そして場合によれば国境を越えたグローバルなチーム編成といった多くのメリットが望めるからです。一箇所に集まって、ただ拘束時間を過ごせばそれで仕事した気になる、そんな古い働き方は捨てるべきなのです。日本が本当の意味で先進国としてハイクオリティな生活を手にしたいのなら、上手にリモートワークを取り入れることはもはや企業の生き残り必須条件と化していると思っています。対応できない企業には有能な人が集まらなくなり、緩やかな衰退を止められなくなるのです。物理的な時間で人を管理するマネージメントは前世紀の遺物なのだと思います。

自社サービスを提供している企業だけでなく、受託開発や場合によってはSESビジネスの現場においてもリモートワークを上手く活用することはできないものだろうか。これはチャレンジする価値のあるテーマです。何かの形でトライしてみようと思っています。

第二回「おちゃのこサークル勉強会」

非公開なんですが、「おちゃのこサークル勉強会」というものを開催しています。日程も不定期、参加メンバーも決まってはいませんが、おちゃのこネットをご利用中のショップさんでパネラークラスの成果を出してらっしゃるオーナーさんのみの参加に制限させて頂いています。元々は弊社セミナーにパネラーとしてご協力頂いているオーナーさんに何かお返しをさせて頂きたいというのが発端でした。今回のテーマは、”おちゃのこマスターマインド・グループ”。マスターマインドとは、共通の目標を持った同士、とでも言いましょうか、同じレベルにあってお互いに良い影響を与え合える仲間、の意味ですね。ネットショップとして月商数千万円レベル以上を成果として出せるメンバーが集っての勉強会は、やはり刺激的なのです。

今回発表された事例は、

・オウンドメディア(YouTube、フリーペーパー)の作り方
・決済が店舗経営に与える影響(AmazonPayほか)
・ブランドストーリー構築のクオリティとコスト施策
・ステップメールを活用した顧客リレーションシップのつくりかた
・eBookとメルマガとLINEの組み合わせによるVIP顧客の創出
・実店舗での世界観構築手法
・LINE@と動画コンテンツ、Instagramによる効果的なマーケティング手法の実態

というものでした。この濃い内容をできれば皆さんにシェアしたいのですが、長時間に渡るコンテンツの量とデリケートな内容を含むところからなかなか難しいんですよね。これはもう、現場にお越し頂くしかない。ご参加頂いたショップオーナーの皆さま、本当にありがとうございました。お互いに良い刺激になりましたよね。

第三回目の勉強会は開催未定なんですが、マンネリにならないよう、ネタの鮮度とクオリティを落とさずにまた集まりたいと思います。その節はまた宜しくお願いします!

おちゃのこネットーAmazon共催セミナー

Amazon Payを活用して、ネットショップの売上げアップを狙おう

Amazonの大阪オフィスをお借りしてセミナーを開催させて頂きました。メインテーマはAmazon Payの導入と決済まわり。ここ、ネットショップにはとても大切なところですよね。

私は、個人タクシーが好きではありません。組織に所属しない一匹狼みたいな人が多いので当たり外れが大きい(たまに凄く良い当たりのドライバーさんもいらっしゃいます)のと、未だにクレジットカードが使えない車両が多いのです。東京に出張すると、全てのタクシーでSuicaが使えます。これは一度使うとクレジットカードにも、ましてや現金払いにも戻れない。でも関西では使えるタクシーがないのです。この決済のストレスは、サービス提供側が思っているよりも大きい。ECのハードルは低ければ低いほど良いに決まってるのです。決済手段は、銀行振込・代引き・クレジットカード・後払い、など多いに越したことはありません。その意味では、Amazon Payはとても良いサービスなのです。

おちゃのこネットのような単体のカートサービスの大きなネックは、集客力とアカウント登録の手間の二つです。集客はともかく、この買い物をするときのアカウント登録、萎えますよね〜 いちいち名前と住所と電話番号を登録して、クレジットカード引っ張り出して、ぽちぽち入力する。もう一度同じサイトを使うかどうか分からない、ロイヤルティの低い状況ではこの手間が非常に面倒です。結果として、もし同じ品、もしくは同等品がAmazonや楽天にないか検索して、そちらで勝ってしまう人が相当数いるはずです。その逃している客の幾らかでも拾えるのなら、これはAmazonPayや楽天ペイの意味は大いにあるのです。カートの弱点を大きく補ってくれる提携だと思います。

集客、決済、配送、バックオフィス処理。ECにまつわる付帯業務は沢山あります。それらをシームレスに結んで、使い勝手の良いトータルEC環境を実現することがおちゃのこネットの課題です。今後も一つ一つ解決して参ります。

TechCrunch Tokyo 2018

渋谷ヒカリエで開催されたTechCrunch Tokyo 2018にCARZYのブースを出展していました。出展費用は3万円、これで二人分の入場チケットがついてくるならお得ですしね。どうせなら他がやらないことをやろうと、キャンペーンガールを置くことにしました。半分私の趣味ですw

でも狙い通りオタク気質のITイベントにキャンギャルの存在は異色で、目立っていたと思います。明らかに興味あるのに横目でチラ見するだけで通り過ぎていくギークたちが可愛かったですw

本会場ではいつもネットで見るだけの有名人が次々に登壇して、華麗なスピーチを披露します。いつか、自分もあの舞台に立てるようになろう。そう改めて決意しました。

noteと連携しました

note記事内でのEC表示機能、新たにYahoo!ショッピングなどの6つのECプラットフォームが加わり、合計11サービスになりました。

勘違いしている人も多いのですが、イマドキはモノをただショップに並べているだけでは絶対に売れません。そこに必要なのは、ストーリー、物語り、なのです。その商品を生み出すのにショップオーナーがどれだけの情熱を傾けたのか。どれだけの想いと時間と労力が詰まっているか。その商品の背景にある物語りに消費者が共感したときに初めて、モノが売れるのです。だから、売れません、と嘆くオーナーさんは、自分が買う側の立場に立ったときに本当にそのお店でその商品を買う気になるかどうか、自分に問いかけてみればいいのです。何が足りないのか、どうすればいいのか、答えは自然に見えてくるはず。

その意味で、物語りを伝えるには、それ相応の舞台装置が必要。ネットにも相応しい場と演出が求められるのです。noteはそんな想いを伝えやすいメディア。そこにおちゃのこネットがJOINできたこと、とても嬉しく思います。ぜひ上手く活用して、それぞれのお店の素敵なストーリーを沢山生み出して頂きたいですね。ショップの運営、商売って、ある意味自己実現の場なんですよ。

深圳訪問記

週末に香港・深圳を訪問してきましたので、その感想を記しておきたいと思います。

私が今さらお書きするまでもなく、深圳の発展振りはよく知られています。それでもまだ現地を訪れたことがある人は少ないでしょう。まだ深圳に行ったことのない人、特に若い人に言いたい。是非、深圳に行ってみて下さい! そして自分の目で現地の雰囲気を体感して下さい。きっと凄いインパクトがありますから。

深圳のインパクトは入国イミグレーションからスタートします。最近は電子が進んできましたが、中国は共産党の政策が個人のプライバシーに優先する国。当然ながら入国者は全員指紋と顔写真の登録が必須です。今は横断歩道で信号無視しただけで、大型ディスプレイに顔写真がデカデカと表示され、個人宛に違反がメールで通告されるのだそうです。いくら市民が監視体制に反対でも有無を言わさず強行してしまう怖い国です。これはある意味アメリカや西側先進国にはない中国の強みになっています。政府がどんどん新しい技術を導入してしまうので、中国のITが世界最先端のショールームになっているのです。情報の検閲もなくならないでしょうが、新技術の実現スピードも世界一。これは侮れません。壮大な社会実験が行われている国と言えますね。

深圳の駅前に着いてガイドさんに教わったのが、市内を走るクルマの殆どが電気自動車であること。特にバスとタクシーは完全にEV化されていて、音がしません。バイクも全て電動です。これは新規に発行されるナンバープレートがEVに限定されているからなのだそうで、お蔭で深圳では空が青いです。PM2.5で煙る北京とは大違いです。走っているクルマもBYDが多く、国産車がメインになっています。市内ではベントレーやフェラーリなどの高級車もそれなりに見かけましたが、中国独自モデルが主体で独特のマーケットだなと感じました。ちなみにですが、中国では外国から中古車を輸入することは禁止されています。これは国内のEV保護育成政策に則ったもので、恐らく将来に渡っても解禁されることはないでしょう。なので中国でクラシックカーに興味がある好事家は香港や外国に自分のクルマを保管して愉しむしかないのです。そういう富裕層もかなりの数に上ります。

これは華強北の電気街。恐らく秋葉原の数百倍の規模だと思います。デカいビルのワンフロアにぎっしり電子部品の専門ショップが詰まっていて、それがビル全体を埋め尽くしています。そのビルが大通りを挟んで両側に拡がっているのですから、もう全体像を把握することはできません。これが年々まだ増殖していると聞くと、底知れぬ中国の製造パワーに怖さを感じます。近年は上昇する人件費もあり、深圳自体は製造業を市外に排除する方向らしく、東莞や恵州に工場が移転しているのだそうです。それでも深圳が世界中からバイヤーが集まる製造業の聖地であることに変わりはなく、その規模にただただ圧倒されます。日本の製造業が空洞化して久しいですが、その行き先がここだったのですね。ここには試作から量産に至る全ての機能があり、どんなものでも三日もあれば試作品が上がってきます。ハードウェア系のベンチャーにとっては深圳を拠点に事業を立ち上げることが成功への最短ルートなのです。

これが深圳のベンチャープラザ。ここにはベンチャーキャピタル、法律事務所、ほかベンチャーに必要なものが全て揃っており、全世界から一発当ててやろうという野心に燃えた若者が集まっています。最近は日本からも若手起業家がここに入居しており、国境を越えてアグレッシヴにやっている若手がいることを嬉しく思いました。香港と深圳に在住の日本人ビジネスマン/ウーマン何人かに話を聞いたのですが、多くの日本人はとにかく動かない、と口を揃えて嘆いていました。せっかく破格の条件で中国企業が迎えようとしても、最後に家族の反対などで決められない。チャンスを逃すと。日本国内の閉塞感に慣らされているからなのか、日本人は消極的、という評価が定着してしまっています。これは本当に残念。若い人にこそ、国境を越えて成功するチャンスにチャレンジしてほしいですよね。実はいまはまだ中国の大学に留学する学生が少ないので、中国留学は狙い目なんですよ。日本国内の二流大学でだらだらと四年間を過ごすくらいなら、思い切って深圳に飛び込んでみてはどうでしょうか。きっと人生がいい方に大きく動くと思うのです。

これがテンセントの新本社ビル。あまりに大きくてカメラに収まり切りません。今や時価総額は世界トップ5。テンセントのゲームをしなくても、WeChatとWeChat Pay抜きでは生活は成り立たない。中国における存在感はGoogleやFacebookの比ではありません。HUAWEI、DJIと並んで深圳を代表する成功例ですね。

私も正直なところは、中国のバブルも佳境で、さすがにそろそろ崩壊するだろう。さすがにこのままアメリカを抜いて発展し続ける事はない、と思っていました。確かに不動産市場は上げ底なところもあるでしょうが、それでもこれだけの巨大な資本の蓄積を目の前に見せつけられると、理屈が圧倒されます。現実の持つ重みというか、迫力。それに全てがかき消されてしまうと感じました。考えてみると、中国は歴史上ずっと世界の中心でした。四大文明の発祥の地であり、秦・漢・随・唐など、歴代の王朝がアジアを支配してきたのです。近代においては西洋に蹂躙されて遅れを取りましたが、歴史上の定位置、すなわち文明の中心に今また返り咲こうとしているだけなのかもしれません。共産党という存在が西洋の民主主義からは遅れたものに見えてしまいますが、中国国民にとっては広大な国を治めるための統治システムの一つくらいにしか思っていないのかもしれませんね。中国では、上場企業の役員よりもラーメン屋の親父の方が上なのだそうです。それくらい商売と独立心旺盛な13億人の民のメンタリティは、共産主義なんかに染まってはいません。そのベースがあるからこそ、これだけ短期間に目覚ましい発展を遂げた理由があるのではないでしょうか。中国全土の省と特別市が成果を競い合う健全な競争原理が、中国というマーケットを健全にしています。腐敗対策などの課題もありますが、今のところ共産党幹部は非常にクレバーに問題に取り組んでいるように見えます。何を決めるにも時間ばかりかかって前に進めない日本とは大違いです。

深圳という年の平均年齢は32.5歳なのだとか。実際に街を歩いていて、全く年寄りを見かけませんでした。この若さが深圳のパワーなのです。このモニュメントには「来了就是深圳人」とあります。深圳に来れば、あなたも深圳人。中国もご多分に漏れず、よそ者には冷たい社会です。上海や北京では地元の人間に外から来た外様が溶け込むのは至難。学校では言葉の違いでイジメに遭いもします。それがたった30年で発展した深圳にはないのです。全員がよそ者であり、そこに差別も区別もない。全員がフラットにチャンスを追う新天地。それが深圳なのです。アメリカの開拓精神に近いですよね。帰りに立ち寄った香港が年寄りで溢れていたのとは対照的な光景。それは日本との対比にも見えます。日本はこのまま斜陽の道を辿るしかないのか。それとも聖徳太子的なメンタリティを取り戻して、もう一度日のいづる国として輝きを放てるのか。今が勝負時な気がします。

鄧小平は言いました。先に豊かになれる者が豊かになれ、と。今の日本においては、先に挑戦する気持ちのあるものが外に出よ、だと思います。全員が国境を越えて海外で勝負できるわけではありませんが、一部にですが攻めている人はいます。彼ら彼女らの背中を見て、成功例を追う若者が一人でも多く出てきてほしい。そこにしか日本の活路はないと思います。

ITリテラシー

色んなところで、あ、この人イケてないな、と感じることがあります。それはITのリテラシーの低さを見たとき。イマドキLINEしてない、ガラケー、は論外としても未だに電話してくる人とか、メディアの使い分けが出来ない人は結構います。電子マネーや、ネット決済、有料サービスの利用実態まで話を広げると、イケてない人の数は更に増えます。これ、全部老害になり得るんですよね。

ウチの息子世代とかは生まれながらのデジタルネイティブです。いつの間にか私より詳しくなっちゃって、スマホの細かい設定や使い方を教えてくれたりします。ゲームやネットの世界の新しい常識や流行りなども。自分がオールド世代であることを自覚させられるのは哀しくもあり、次の若い世代の台頭を頼もしく思ったりもして。

日本が戦後に一大発展を遂げたのは、年寄りを一斉にパージして若い世代に世の中を開放したせいかもしれない。今の50代以上が、世の中の役に立っているのか、足を引っ張っているのか。自分は違うぞというところは、口だけじゃなくて行動と実績で証明するしかないのです。老害と言われないよう、攻め続けなければ。