遊び体験の提供

夏にアメリカのモントレーを訪れる予定があり、ついでにサンフランシスコで何か面白いことが体験できないか調べていました。

まずは定番のTripAdviserでサンフランシスコ観光を検索。まあ、普通ですね。実は前回に家族でサンフランシスコは旅行をしたことがあり、ケーブルカー、フィッシャーマンズワーフ、ゴールデンゲートブリッジ、ナパバレーのワイン農場、Apple本社、スタンフォード大学、市内のレストラン、などのめぼしいところは既に体験していました。再度訪問したくなる面白い体験としては、上記の検索結果は不満です。

次に、Airbnbを検索。元々は民泊の検索サイトですが、最近は体験にも力を入れているはずだし、Airbnbのお膝元なのだからさぞかし充実しているはずと期待して見てみましたが、がっかり。一見色々な体験が提供されているように見えますが、食べ歩き、テイスティング、料理教室、写真教室、ライブ、トレッキング、サイクリング、くらいですかね。ずっと見ていると結局似たり寄ったりの体験が多くて、段々飽きてきます。おっ、と思わせるようなワクワク体験が少ない。これはまだまだ改善する余地が大アリです。

振り返って日本はどうか。

日本人も見捨てた温泉街を中国が買収、再生の行方に注目

圧倒的に考え方が古くて、自分たちのコンテンツを活かせていない。本来もっとポテンシャルがあるはずなのに、ごく限られたインバウンド需要を取り込んで満足しているのではないかと思えます。観光立国に関しての著作でデービッド・アトキンソン氏はこう語ります。
「気候」「自然」「文化」「食事」の四つの観光条件が揃っている国は希有。日本はそれがあるのに、観光客数が少なすぎる
私が思うに、諸悪の根源は”説明が少なすぎる”ことにあります。古い神社や仏閣が世界遺産だと言われて見に行ったのに、その凄さがよく分からなかったという声を聞きます。私たちが逆に外国人観光客として現地を訪れても同じことが起きますよね。文化施設はちゃんとした説明がないと価値が伝わらないのです。伝える努力をせずにおもてなしを唱えても、それは自己満足に過ぎないと思うのです。

話は外国人観光客向けだけではなくて、日本人向けにも改善が必要です。同じ日本人向けなら説明をクドクドする必要はありません。直感的に遊べる楽しいアクティビティはまだまだ足りてないのだと思います。この前親戚の集まりで聞いたのは、ティーンエージャーの甥っ子・姪っ子たちの「マウンテンバイクで思いっきり走り回れる場所や、サバイバルゲームが本格的に楽しめる施設がほしい」なんてリクエストでした。こういう遊びの感覚は、大人じゃなくて若者や子どもたちの感性に耳を傾けるべきですよね。昨今の観光列車の盛況振りを見ても、大人だって遊びを求めているんです。満たされていないんです。国内向けも外国人観光客向けも、大いに発展させるだけのポテンシャルがこの「遊び」マーケットに隠されていると感じます。面白い切り口を探してみようと思いますので、お楽しみに。

農業の現場

三重の実家に知人を連れて視察に行ってきました。現場でないと分からないことが沢山ありました。驚いたのが、年間の農作業時間の7割が草刈りだと聞いたこと。帰ってから調べましたが、田んぼのあぜの草刈りを簡単にするイノベーションは確かに見当たらないのです。トラクターにアタッチメントを付けるのは田植えのあとは使えないし、ラジコンタイプは狭い斜面では使えない。相変わらず肩から草刈り機を下げて人が歩くしかないんですね。夏場は地獄です…。

想像以上に色んな工夫をしていて、米の品目だけでも7品種も作っていたり、売り先も農協は1/4程度で残りは民間流通市場だったり、設備投資もしっかりして、やることはやっている印象でした。ただ、見える化とか、標準化はされておらず、現場責任者の頭の中にしかスケジュールも手順書もありません。改善点は沢山ありそうです。

以前にお書きした通り、合理化で生産量を追っても幸せにはならないので、高付加価値路線を追求したいところ。それにはやはりマーケットのニーズを知らないとアイデアを出せないので、主婦目線、女性の視点が欠かせないのかなとも感じています。男性の職場になってしまってるので、女性活用が近道な気がしています。

何らかのイノベーションを起こしたいですね!

次世代農業EXPO

次世代農業EXPO

インテックス大阪で開催された農業関連の展示会を見てきました。ITを活用したスマート農業、ドローンを使った無人の農薬散布、植物工場用の各種設備、新しい生産品目の提案、など楽しい内容が盛りだくさんでした。

やりたいことは沢山あります。やれることは増えています。ということは、目の前に非常に沢山の選択肢は用意されているわけです。大事なのは、ゴールのイメージなのだと思います。何を目指すのか、何のためにやるのか。これはつまり、経営理念の問題ですね。ここをはっきりさせておかないと、メンバーの意識がまとまらずに方向感がバラバラになってしまう。これはどんな企業の経営でも同じことです。

落ち着いて、考えをまとめてみます。

農業の未来

私の実家が農業生産法人を営んでまして、父親の株式を受け継ぐことになりますので色々将来の布石を打っています。残念がら経営が古いので近代化を進めたいのですが、考えるポイントは大きく二つあります。一つは生産効率の向上で、これは量を追う戦略。もう一つは高付加価値の追求で、こちらは質を高める方向です。さて、どちらを目指すべきか?

恐らく一般的に、農業経営の近代化は生産効率を上げて量を追うことを意識していると思います。しかし天候不順や果物などの嗜好品を除いては、基本的にコメも野菜も市場全体では量は足りています。下手をすれば余っている状況で単に量を追い掛ければ、それは不毛な安値競争を招くだけです。世界全体では食糧は足りていないのかもしれませんが、こと日本市場向けのビジネスを考えるなら量ではなく質を求めなければ誰も幸せにならないと思うのです。では、質をどう追うか?

トマトやイチゴなんかは汎用品の数倍する高単価な商品が珍しくありませんよね。その戦略が、コメや麦や野菜で成り立つのでしょうか。果たして三倍の値段がする米を買うかと言われると、それはないと思います。そこはスイーツと主食の差、糖度でわかり易く差別化できないと思うのです。よほど品種改良が進んでビタミンやミネラルが豊富に摂取できるとなれば別ですが、バイオの領域は零細企業の手に負えるものではありませんからね。となると、どこでも手に入る品目は捨てて、特殊なニッチにフォーカスすべしとなるのだと思います。これも普通の農家には簡単なことではない。

私が考える高収益な農業ビジネスとは、IoTやビッグデータによるスマートIT農業か、AIやドローンやロボットなんかの最先端農機具を開発するハードウェアメーカー(但しファブレス)という発想になってしまいます。これ、普通の農業の範疇を超えてしまっていますね。今の枠の延長で考えてもスケールする気がしないのです。だからこぞって参入した大企業が軒並み撤退してしまってるんじゃないでしょうか。

一つ現実的な切り口は、あまりに劣悪な労働環境を常識的なレベルに改善してあげることです。農業には普通の労働基準法が適用されないってご存知でした? 週に一日も休日なくても構わないし、割増残業手当を払う義務もないんですよ! 現代の日本で本当にこんな運用が許されているのか、目を疑ってしまいました。

農の労務管理ガイド

特殊なことをしなくても、普通の労働環境で、普通に収益を生み出すことはそれほどハードル高くないはずです。全国の地域農業の担い手が意識改革を進めれば、明るい農村、住み続けたくなる農村が実現できるのではないでしょうか。ますそこから手を付けたいと思っています。