Amazonの脅威


Amazon、怖くないですか? ひとりの消費者としては凄く頼りになる便利なサービスなんですけど、これがライバルになる同業者としての目線で見ると底知れぬ恐怖心を覚えます。モノを売るメガストアとして、また出店ショップを集めるモールとして、もはや無関係でいられるEC事業者など存在しないのです。いまはアメリカの時価総額でAppleがダントツの一位、AmazonはMicrosoftを抜いて三位につけ、二位のGoogleを追い抜く勢いです。近い将来、Amazonこそが世界最大の企業になるのではと思っています。それは何故か?

最大の牽引力はジェフ・ベゾスの飽くなきリーダーシップ。彼がどこを目指しているのか分かりませんが、多分「これくらいでいいか」なんて満足の限界点はないんでしょうね。どこまでも規模を拡大する、まさに密林として地球上を覆い尽くしてしまうその野心に恐ろしくなります。創業者を亡くしたAppleに今以上のパワーはもうないと思うので、ベゾスが現役で引っ張っている限りはAmazonの成長は今以上のスピードで続くのでしょう。気になる記事がありました。

Amazonの医療界の野望
Amazonの噂で一気に下がるもの: Amazonのマーク・トウェイン化

愛読している渡辺千賀さんのBLOGですが、Amazonの動向がいかに業界に大きなインパクトを与えるか分かります。
世の中は「Amazonが健康保険に進出」とか「Amazonが処方箋事業に進出」などと言っているのだが、私は個人的に「健康保険から医療機関まで垂直統合した大医療サービスを作る」と予想している。
前回書いたAmazonのヘルスケア業界進出(の可能性)は、業界内でも様々な地殻変動を起こしている。

まずは株価に見る世の中の総意としては「保険会社も、処方箋売ってるドラッグストアも問屋も相当まずい」という感じ。(北斗の拳的に言うと「おまえはもう死んでいる」状態。古いけど。)
話の発端はAmazonが自社の従業員向けに医療コストの削減を検討している、というだけのニュースなんですが、それが巨大なヘルスケア業界を揺さぶる一大事件に膨らんでいます。これがただの噂話に止まらないのがAmazonのAmazonたる所以。もうね、降参するしかないんですよ。

これはとても大事な視点で、勝てない相手に勝負を挑んでもドンキホーテになるだけ。そこは冷静に彼我の立ち位置を見極めて、私たちはAmazonがやってこないポジションをキープすることを考えるべきなのです。それには色んな考え方があると思います。

・Amazonが入ってこれないニッチ市場でポジションを取る
・Amazonがやらない面倒な手を掛けるサービスを提供する
・Amazonがやらないリアルな店舗戦略を採る

池に鯨は住めませんから、小さなニッチ市場で自分達のポジションを確立するのが一番の近道ですよね。これは世のスモールビジネスは自然に採用している戦略です。下手に大きなマーケットに出ていかない方が利口です。全てのEC事業者は、「自分達の市場にAmazonが進出してくる可能性はあるか?」という検討を最初にしておくべきです。それに対する答えが用意出来ない限り、そのビジネスをやってはダメです。受注生産や、個別対応が求めらるような手の掛かる市場も狙い目です。Amazonのデカさが災いして、彼らはスケールしない市場には進出しませんから。

リアルな店舗展開をする、というのはAmazon対策としては有力だったんですが、最近はこれも怪しくなっています。アメリカでホールフーズの買収なんかしちゃいましたから、これから実店舗の展開はやってくる可能性があります。書店も作ってますしね。さすがに日本で実店舗を展開することはあってもまだ先のことでしょうから、イオンやセブンイレブンは当面大丈夫かな。でもアメリカではコンビニはヤバイですね。無人店舗を始めてしまっていますから。

あまり心配しすぎても商売なんてできないんですが、それでもこれから「対Amazon」の戦略を考えるのは全てのEC事業者に共通の課題になります。良い智恵を絞り出しましょうね。