アメーバ経営の効果

日経新聞朝刊に「迫真:日航・稲盛和夫」と題した連載があります。JALに乗り込んだ稲盛さんが経営を立て直した過程を追っているのですが、お得意のアメーバー経営の効果について言及されていました。正直稲盛さん自身は抹香臭くてあまり好きではないのですが(笑)、準現役世代としては日本を代表する経営者であることに変わりはなく実績には頭を垂れるよりありません。大企業を10人程度の小集団に分割して収支管理を徹底させる手法は、社員3万人のJALにおいても効果を発揮したんですね。



あまり詳しく勉強していませんのであれなんですが、アメーバ経営の骨子は間接部門にも収支管理の仕組みを導入する事にある様です。企業の中で実際にお金を外から稼いでくるのは営業部門ですから、全ての間接部門やサービス部門は外見上はコストセンターになってしまいます。これを”協力対価”という概念で収入を発生させることで、全部門に収益という概念を発生させることが出来ます。JALの人は驚いたでしょうね。パイロットも整備士も、売上とか原価なんて考えたこともなかったでしょうから。記事で印象的だったのは、
「キミたち実は勝っていたよ、と2ヶ月後に試合結果を教えられても、ちっとも燃えない。3万人の団体戦では自分が貢献できたかどうかも分からない。しかし10人のチームで毎月、勝敗が分かると『やったあ』『残念だった』と社員が一喜一憂する。かつてJALは泣きも笑いもしない組織だったが、アメーバで生きている会社になった」
という部分。なるほど、そういえばリクルートもPC(Profit Center)制度という部門別収支管理を取り入れていましたね。個人的にはあまり数字でお尻を叩くのは好きではないんですが、大人数の組織に緊張感を持たせる仕組みとしては良いのかも知れません。



こうやって見ると、JALしかりJRしかり、海外では大手航空会社もGMも、一回倒産してからちゃんと立ち直っていますからね。ダメになった組織は一度潰して、膿を出して、経営者入れ替えて、という再生を積極的にやれば良いのにと思います。日本は延命にこだわりすぎですな。