任天堂の活路は?

これからゲーム機市場はどこへ向かうのか



私は「グランツーリスモ」くらいしかゲームしないんですが、業界ウォッチ対象としてはゲーム業界を注目しています。目下の興味は任天堂がどうなるか。あれだけ高収益を叩きだして我が世の春を謳歌した任天堂が苦しんでいます。直近の決算は赤字で、来期の業績次第では岩田社長退任もあり得る非常に厳しい状況。原因はひとえにスマホに喰われている事にあります。
ゲーム機販売がここにきてふるわない理由としては、スマホが従来の特に携帯ゲーム機に取って代わって普及しているという話が欧米などでは見受けられます。任天堂が「スマホは競合ではない」というニュアンスの発言をしても誰も耳を貸さないのは、もはや当事者が特定の立場を理由にポジショントークをしても、誰もが携帯用ゲーム機のコンペティターは汎用性の高いスマートフォンだと肌で感じ、選択しているからなんですよね。
岩田さんは否定していますけど、誰が見てもスマホが競合になってしまっていて、ゲームを深くやり込むマニア層以外のライトユーザーをスマホにがっさり持って行かれてるんですよね。ウチの息子もiPhone/iPadでゲームばっかりやってますし。gree/モバゲーを見ても、世の中にはマニアよりも圧倒的多数のライトユーザーがいるわけで、マニアだって移動中とかの細切れの時間に複雑なゲームをやり込むわけにはいかないでしょうから、手軽なスマホゲームに流れていきますよね。



で、どうすれば良いのか、というのが難しいんですが、
スマホでもゲーム専用機でも企画制作をする業者の立場で言うならば、もはやユーザー体験はいまのUIとグラフィックの両輪をいくらいじってもなかなか向上しません。言うなれば、いつまでも十字キーでゲームしてると思うなよ、ということです。私の三歳児でも、十字キーでゲームするよりもタッチパネルで直感操作できるソフトを好みます。もうこの段階で、スマホやタブレットに軍配が上がってしまう状況である以上、いまゲーム業界、とりわけハードの世界に必要なものは操作系(UI)のイノベーションである、というのは断言できますね。タッチパネルに勝てるUIを実装できるかどうか、その上にどういうゲームのグラフィックが乗りうるのか、真剣に考えるべきだろうと私は思っております。
に尽きますか。今の十字カーソルというUIは発明されてからずっとゲーム専用機の特徴であり続けました。それがスマホというタッチパネルUIの実現で旧態化してしまい、今全く新しい操作体系の提案が求められている、と。もう小手先の工夫では打開出来ないんですね。うーん、これは難題ですな。Wiiリモコンは目新しかったですし、XboxにはKinectなんてモーションセンサーの仕組みも既に実現されています。業界全体がキラーコンテンツの登場を待ちかねている状況ですかね。



私がゲームに興味があるのは、これがITデバイスの発展の方向性を示唆していると思うから。こうやって特定領域向けに開発された技術が、パソコンやスマホやらの身近なデバイスにフィードバックされて未来が作られていくんですよ。その意味ではSF映画や漫画なんかがアイデアの源泉なんでしょうね。10年後にどんなテクノロジーが登場しているのか、考えるとワクワクします。任天堂、苦しいでしょうが何とか突破して欲しいな!