上場の是非

最近上場企業がMBOによって上場廃止する動きが目立ちますね。

幻冬舎、TSUTAYAに続きアートコーポレーションもMBOだそうです。

原因は何でしょうか?



幾つか考えられますが、私は今の事業運営においてお金が掛からないようになって来ているのが大きな理由だと思います。

製造業はともかく、非製造業は昔から設備投資よりもソフトウェアの勝負です。

どんなサービス・ビジネスモデルを作れるか。

アイデアと新規性の勝負です。

一番分かり易いのはIT企業ですけどね。

基本的には人件費しか掛からないので、スモールスタートで何とか採算点を突破出来れば、後は安定飛行が可能です。

製造業でも今は設備を自前で用意せずになるべく外注してファブレス経営の時代ですからね。

この低金利下では、世の中にお金がだぶついて調達には困らないのです。



もう一つの大きな理由は、やはり第三者にいらぬ配慮をしたくないという経営者の思いでしょう。

私も他人に指図をされるのが大嫌いなので、良く分かります。(笑)

一番ツライのが、内情に関わらず一定の伸び率を要求される数字至上主義のプレッシャーでしょうね。

外野が勝手に毎年利益を20%ずつ伸ばせなんて言ってきたら、中の人は堪りません。

会社は直線で伸びるのではなく、階段状の成長段階を経てステップアップしてゆくものです。

踊り場にいる時は、じっくり力を溜めて次の準備をしている時。

無理に結果を出そうとするとバランスを崩します。



その意味では、株式市場の果たす役割については意識の切り替えが必要かも知れません。

IPOが、ベンチャーのゴールだったり、経営者の最大の晴れ舞台だったりするのは本末転倒で、本当に事業リスクの高い、けれども社会性の高いスケールの大きなベンチャーにこそ必要な場のはずです。

今の日本に一番求められているのは、志の大きな経営者なのでしょうね。