ベンチャーとスモールビジネスの違い

梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆく」を読了。

一番印象に残ったのは、スモールビジネスというあり方を肯定的に捉えているところ。

前作ではベンチャーに偏っていたポジションを少し修正している。



ベンチャーとスモールビジネスの違いは以下の通り。

(表現の一部を文中より拝借)



・ベンチャーは大きな決心と責任を伴う「期限付きで挑戦するビジネスゲーム」で、スモールビジネスはこれまでの仕事や生活の延長で考え得るカジュアルなこと

・ベンチャー創業者は融資ではなく投資で資金(リスクマネー)を調達し短期間で大きな可能性を秘めた成長事業を創造するが、スモールビジネスオーナーは事業の成長も創業者や経営者のライフスタイル次第で場合によっては成長を目指さないケースもある

・ベンチャーのゴールは創業から7年程度以内に株式を公開するか事業を高値で売却することで、スモールビジネスのゴールはケースによって様々である

・ベンチャーのビジネスには明確なスケジュールが設定され時間切れは致命傷だが、スモールビジネスは自分達で収益の範囲内であれば事由にペースを設定できる

・ベンチャーのビジネススケールは数千億円をターゲットにし、スモールビジネスは数十億円レベル



コンサルタントとかは得てしてベンチャーをもてはやし煽り立てますが、全ての経営者がベンチャーを志向している訳ではなく志向しなければいけないものでもない。

それは決して恥ずかしいことでも志が低いわけでもなく、人生観の違いだと思います。

梅田さんからそんな事が聞けるとは意外でしたが、やっぱり前作はアピールの意味もあって尖った意見で武装したんでしょうね。



日本人のカルチャーからしても、一発当てることを目論む人の割合は少ないと思います。

私自身の志向も明らかにスモールビジネスの方向であり、短期的なスケジュールや資本市場の論理に振り回されずに長期的にゆっくりポジションを上げていく事が望ましいと思っています。

セブンイレブンの鈴木さんはまさにこの志向で、それであれだけのメガサイズに事業を成長させているところが素晴らしいですね。



ベンチャーを目指さなければならないという枷を外せば、起業という生き方がぐっと身近に感じられるはず。

そして、地方で豊かに生きる、という逆張りの価値に気付く若者がもっと増えてくれると良いな、と思っています。