Kindle出版を試してみましたが…

どうやら日本でもKindleの発売が間近なようです。私見では電子書籍のリーダーはiOSデバイス(iPhone/iPad)とKindleが主流になると思っているので、Kindleでの出版は非常に興味があります。で、少し試してみました。



基本的な状況把握をしておきますと、まずKindleは端末そのものも日本では発売されていませんし、日本語のコンテンツも私の知る限りリリースされていません。なので、現時点では英語のコンテンツをアメリカのKindle Storeで入手する、というのが前提です。今回は「CARZY」の英語版コンテンツをアメリカのStoreでリリースする、という事を目的に試してみました。



まず、アメリカのAmazon.comでアカウントを取得します。この時のアカウントとなるメールアドレスは日本のAmazon.co.jpで使っているものと同じアドレスでも登録可能です。次に、Kindleの出版プログラムにアクセスします。ここにKindle用のコンテンツジェネレーター等のツールも用意されています。Kindle Direct Publishing (KDP)へのログインリンクあるのでクリックすると、Amazon.comのアカウントでのサインインを求めれますので、サインイン。この時、お持ちのAmazon.comアカウントはまだPublisher登録が済んでいないので、必要な入力を済ませます。この時、Publisherの住所そのものは日本も国名欄に候補が表示されるのでOKみたいですが、肝心の受け取り銀行アカウントを登録する欄に日本が表示されません。今のところ、アメリカとヨーロッパの銀行にしか売上の振り込みはされず、他の国はチェックでの受け取りになるようです。これが済めば、いよいよKDPのメイン画面に戻って、出版するコンテンツの登録です。



”Add New Title”をクリックすると、コンテンツの入力画面が開きます。指示通りに、Book name・Description・Languageなどを入力していきます。ISBNコードを入力する欄もありますが、オプション扱いであり必須ではありません。権利を保持しているか・対象カテゴリーと続き、いよいよ表紙画像の登録、ようやくコンテンツそのものであるBook Fileのアップです。ここで問題発生。私は手元のPDFコンテンツをアップしようとしたのですが、容量に制約があり上限は50MBだそうです。しょうがないのでもう少し軽いコンテンツに変更してアップ。するとサーバー上でフォーマット変換が始まったようです。嫌な予感…。数分待たされて、アップ完了! プレビュー画面がありますので確認してみると、、、 ボロボロです、、、 どうもKindle用のコンテンツは最終的に全てAZWと呼ばれるAmazonの独自フォーマットに変換されるらしく、画面ではHTML・PDF・Wordなどの各種フォーマットに対応とありますが、実際は全て.mobiフォーマットに変換されてしまいます。当然ながら凝ったレイアウトや注釈などの体裁は保持されず、文章の区切りもバラバラ。これでは使い物になりません…。



事前にKindleにPDFコンテンツを転送してみてちゃんと読めることを確認しておいたので、PDFフォーマットもそのまま出版出来るのかと思っていましたが、ダメなようですね。DRM絡みが理由なのでしょうか? コンテンツのアップ画面にはDRMを掛けるかどうかの選択項目があるので、DRM不要な出版元には普通のPDFコンテンツの配布を許可して欲しいのですが。



結論としては、現状ではKindle向けにコンテンツをリリースするためには.mobiフォーマットでコンテンツを作成する必要があり、すると既存のiOS向け(iPhone/iPadと2バージョンあり)・PDF版と併せて4つ目のフォーマットを採用せねばなりません。しかもこの.mobiバージョンではいわゆる雑誌体裁の凝ったレイアウトを保持出来ないので、意味が無いのです。KindleにはMagazineを購読するプログラムもあるのですが、今のところ限られた大手出版元によるサブクリプション型サービスしか選択肢がないため、小規模の出版元には参入を許されていません。



というわけで、まだまだ未整備なところの多い電子書籍市場。多用なプレイヤーが自由にコンテンツを提供出来る環境にはまだ遠いようです。