バイアウトの是非

ヤフーがどのようにFlickrをダメにしたのか? スタートアップが大企業に買収されるということ



読んでいると胸が痛くなります。久し振りにFlickrアカウントにサインインしてみようとして、確かに酷い事になっていました。ログインが無駄に複雑なのはYahoo!系共通のダメなところですね。Microsoftもそこはダメダメなんですが。



Flickrというサービスそのものの善し悪しはさておいて、思うのはベンチャーにとってのExitの在り方。希望に満ちたベンチャー企業が創業メンバーの努力と幾つかの幸運に恵まれて成長軌道に乗った時、着地点として想定するのはIPOとバイアウトの二つです。特に日本ではIPO環境がかなり厳しくなっており、昨今のコンプライアンス規制の厳格化を考えるとIPOのハードルはかなり高くなってしまっています。「起業のファイナンス」(著:磯崎哲也)は全てのベンチャー経営者とその予備軍にオススメする名著ですが、本書に上場の維持費用だけでも年間一億円前後は必要、と書かれています。勿論大きな企業価値の実現を目指すのならIPOを狙うべきでしょうが、そこまでの目標設定をしにくい状況では良いパトロンを見つけてバイアウト、というのは重要な選択です。



問題は”良いパトロン”を見つけることなんですが、Flickrのケースは残念ながら裏目に出てしまいました。せっかく熱烈なアーリーアダプターと良質なコミュニティ形成に成功した良いサービスが、持てるリソースを本来のサービス開発ではなく、内向きな無駄と思える作業に浪費させられていく。そもそも企業カルチャーがあまりにも合致しない結婚は上手くいくわけがないのですね。日本の場合、受け皿となるIT系のパトロン企業が限られてしまいます。ざっと挙げても、楽天・Yahoo! Japan・GMO・サイバーエージェント・トランスコスモス・ngi、あたりになりますよね。伸び盛りのサッカー選手がどのビッグクラブに移籍するかでその後の活躍度が大きく違ってくるように、ベンチャー経営者もよくよく吟味を重ねるべきです。



私は色々考えて、第三の道を選びました。”スモールビジネス”という在り方です。非公開で、売上数十億円規模を実現し、独自のポジションを確保している企業、というのが理想的かなと。ま、人生に正解が無いように、企業の在り方も経営者とステークホルダーの人生観次第。色んな在り方があって良いのですが、個人的には日本における幸せなバイアウトがもっとあっても良いんじゃないかなと思っています。livedoorは良い線行っていたのですが…。