クルマの維持費用について

今日、神尾寿さんのこんなツイートを見掛けました。

クルマ非保有者の8わりはクルマがほしい。だけどクルマにかけられるお金(ランニングコスト)は月1万円以内が5割強。イニシャルコストの許容は100万円まで。/ 「新成人のカーライフ意識調査2012」 http://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2012/01/20120105_1.html



つまり若者の意識がクルマ離れしているのではなく、アホみたいにクルマにお金をかけられない、というのが実際なわけで。とりわけランニングコストが「月額1万円が上限」というのは、若年層の金銭感覚・可処分所得を考えれば当然の結果だと思う。



では「誰が若者からクルマを取り上げたのか」を考えてみると、今の"クルマの維持費がバカ高い"状況を作り上げた大人たちなわけですね。自動車諸税はもちろん、ガソリン代や駐車場代が高止まり、任意保険料も"若者が高齢者(=長期契約者)のリスクを支える"構造になっているのが現状。



クルマの車検制度にしても、必要以上にコストがかかる構造になっている。本気で若者のクルマ離れを防ぎたいと考えるならば、「クルマの維持費をいかにして月1万円以下に近づけるか」を真剣に議論しなければならないわけで。



とりあえず、今すぐにできるところは「自動車諸税の大規模減税」「ガソリンの暫定税率分撤廃&二重課税廃止」「車検制度見直し(=低コスト化)」ですかねぇ。あと、任意保険も若年層の負担軽減しないと、将来の顧客基盤が先細りになる。若者割引していかないと。



現在のランニングコスト高につながっている構造を守れば守るほど、維持費の高さを理由に若者はクルマに乗らなくなるわけで。これを覆さないことには、「スポーツカー復権で若者にアピール!! (キリッ)」「クルマへの憧れを復活!!」なんて小手先でやってもムダだと思う。
うーん、誠にごもっとも。

経費でクルマを購入している層はともかく、自腹でこのコスト負担は重すぎますよね。

アメリカみたいに車検制度とか完全に無くすと高速で故障車続出になりそうでそれはそれでどうかと思うのですが(笑)、今の日本の制度は酷いと思います。

自動車メーカーも余裕が無くなってきてると思いますので、本気でロビー活動しても良い時期なんじゃないでしょうか。



・自動車維持費用の削減

・高速道路の最高速度引き上げ

・カーシェアリング推進



この三つの政策で随分様変わりすると思いますよ、クルマ業界。

筋悪の技術

一件バラ色なんだけど、実は総論賛成各論イバラの道という筋悪の技術があると思っています。

例として適切かどうか分かりませんが、太陽光発電・遺伝子組み換え・水素電池、なんてのが該当するかなと。

で、IT分野においては多分「3D」ですね、これ明らかに筋悪。



分かるんですよ、「マイノリティ・リポート」の世界は良さげに見えますよね、未来的で。

世界はそもそも3Dだし、みたいな根源論も後押ししますけど、多分軒並み成功しないと思います。

日本メーカーがこぞって期待した3D TV、大コケですよね。

3D映画も、結局「アバター」だけが物珍しさでヒットしただけで後が続きません。

仮に完全なホログラム映像が実用化されたとしても、それって使いやすいの? 実は2Dで操作UIを洗練させればそれで良いんじゃないの? と思っちゃいますね。

任天堂3DSも3Dに拘ると先が心配。

多分軌道修正すると思いますけど。

中途半端な疑似3Dなんて酔うだけで、究極では視神経に直接アクセスする「マトリックス」レベルにならないと実用性無いと思います。

ハードル高いですよね。(笑)



日本企業のリーダーシップの無さはこういうところに現れるんですよね。

エヴァンジェリストとして技術の先を読む力がないから、どうしても数字で追えるスペックを追求しちゃう。

で、振り返ったら誰もついてこない、みたいな。

多分諸悪の根源は現場を知らない事。

部門責任者さん、本当に自社の製品・サービスを自分で使ってますか? というのが大事なんですよ。

多分部下に丸投げですよね。



何時の世も、直感に勝るデータはない、と思っています。

あけましておめでとうございます

皆様、良いお正月をお過ごしになりましたでしょうか。

本年も旧年同様宜しくお願い申し上げます。



さあ今年はどんな年になるでしょうか。

日本経済の現況についての前向きな分析を見つけましたのでご紹介しましょう。



たくましいぞ日本経済の底力 驚異の環境適応力

12年度の輸出は69兆円程度と、ピークだった07年度の85兆円からは見劣りがする。水準としては、05年度の68兆円に近い。主力の輸出品目である輸送用機器、一般機械、電気機器などの金額も、ほぼ6年前に戻ってしまった。



 しかるに、当時は、1ドルが110円、原油価格は1バレル50ドル程度であった。それが今は1ドル70円台、1バレル100ドル前後の経営環境である。日本経済はリーマンショックと東日本大震災という痛恨のダブルパンチを受け、さらに円高と資源高という悪条件の下で、以前と変わらない数字をはじき出している。驚嘆すべき環境適応能力ではあるまいか。
なるほど、これを読むと決して悲観すべき状況ではないのだと分かりますね。

「楽観は意志、悲観は気分」というのも良い言葉です。

マスメディアの論調にとかく振り回されがちですが、冷静に数字を見れば真実の姿が見えてきます。



ではこれから我々はどう針路を見つければ良いのか。

お正月に良い番組を見ました。



目指せ!ニッポン復活



この番組での提言は次の三つでした。



1.海外進出で活路を見出す

 冒頭で、海外進出を実践した企業でかえって雇用が増えているというデータが提示されました。何もせずにジリ貧に陥る企業に比べて、積極的に活路を見出した企業の方が結果的には伸びているんですね。つまり従来の人件費削減なんていう海外移転理由はもう古い。今や新興マーケットの開拓・新商品開発といった前向きな理由での海外進出が成功するファクターだと。そこで磨かれた人材が次世代を担うキーパーソンに育っている事例も紹介されていました。中堅・若手層がキラキラしているのは見ていて気分が良いですね。



2.地方のエネルギー自給

 日本の地方が疲弊しているのは周知の事実ですが、実は見捨てられたかに思える林業に大きな可能性があると指摘しています。間伐材や木くずといった廃棄物をペレットに加工して燃料として供給する試みが取り上げられていました。オーストリアなどでは立派に地域の主要エネルギー供給源になっている模様で、もし地方の林業が再活性化するなら大きな希望が見えてきます。日本は温暖多湿で木が育ちやすいこと、原油の不安定な相場から解放されるメリット、技術進歩により燃焼効率が従来より格段に進んでいることなど、根拠はどれも腑に落ちるものばかりでした。



3.新しいMade in Japanを作れ

 新潟県の燕市を例に、日本にありながらあまり高く評価されていない技術を活用してリ・デザインする事例が紹介されていました。奥山清行さんはエンツォ・フェラーリをデザインした日本人として有名ですが、ワイングラスに始まり新型新幹線から震災復興都市構想まで底知れぬ活動の広さが凄いですね。考えてみればヨーロッパなんて特に独創的なテクノロジーなんて持っていないんですから、高級家具やファッション・クルマなど全ての有名商品は全部デザインの力で成り立っているんですよね。こういうソフトパワーは日本の強みを出せる分野であり、簡単に新興国に真似の出来ない領域なんじゃないでしょうか。



何だか凄く勇気の出る良い番組でした。

愚痴るのはワイドショーに任せておいて、我々は前向きに明るいテーマに取り組んで参りましょう。

個人の質の高さこそが日本の誇るリソースなのですから。