パイオニアの苦境

パイオニアには従来、光ディスク事業・テレビ事業・車載機事業の三つがありました。

逆に言うとこの三つしか事業領域がない、意外と業容の小さな会社なのですが、今それぞれが大きな問題を抱えています。



LD(レーザーディスク)は一世を風靡しましたが、今やカラオケ機器は通信方式が主流。

家庭内のディスクもとっくにDVDが普及し、今や次世代のBlu-rayが待ちかまえています。



テレビ事業については、新聞報道の通りプラズマパネルの自社開発生産から撤退し、組立に特化する方針です。

しかし、基幹部品を外部調達して付加価値の低い組立特化では先行き厳しいことは明らか。

SONYと違ってブランド力が大きく劣りますから、販売量の確保は難しいでしょう。



今や会社の屋台骨を支えるのが車載機事業。

ウチにとっても馴染みの深いカーナビのトップメーカーとして、収益の柱になっています。

ところが、このカーナビが大きな転換点を迎えています。

地図の記録媒体がCDからDVDそしてHDDと進化してきましたが、さすがに記憶容量については充分な水準に到達してしまい、ここ近年は目新しい進歩がありません。

にも拘わらず価格は定価30万円程度に高止まりしており、他のデジタル機器が急速に低価格化している事を思うと非常に割高感のある商材になってしまっています。

実は海外に目を向けると、PNDと呼ばれるもっと手軽なポータブルナビが主流になっており、実売価格数万円で手に入ります。

そして、チップの高性能化のお陰で機能向上が激しく、今やナビ機能自体は日本の高額機種と比べても遜色ないレベルになっています。

インテルがAtomなんて新モバイル向けプロセッサファミリーを発表しましたので、ますますポータブルデバイスの性能向上が進み携帯電話並みの価格に収斂していくでしょう。



となると、パイオニアの強みが全て引っ繰り返る事になってしまい、先行きの不透明感は深まるばかりです。

日本がリードしてきたカーナビ業界ですが、早く通信機能を搭載したネットワーク型サービスに移行しないと、本当にGarmin等の海外PNDに淘汰されてしまいます。

Air Naviのコンセプトは良かったのですから、あきらめずにサービスを継続していれば良かったんですよね。

早急に復活させて、次世代ナビの商品開発を本気で進めて欲しいと思っています。

日本が世界をリード出来る分野ですからね。

まだまだ期待しています。