EC業界、曲がり角?

やはり日本は亜熱帯。暑い日が続きますね。皆様、お変わりはありませんか?



さて、楽天市場が日本に登場したのは1997年のこと。丁度15年が経過しまして、さすがに日本にはEC環境が定着したのだと思います。まだアメリカほどの競争環境には突入していませんが、これから家電も、書籍・DVDも、ファッションからクルマ・住宅に至るまで、あらゆるカテゴリーの業態がリアル対ネットの競争に巻き込まれていくでしょう。リアル店舗が無くなることはありませんが、その形は現在と相当異なるスタイルで着地するはず。対人の営業トークで誤魔化していた会社は全て立ちゆかなくなることでしょう。ある意味、消費者の勝利です。



そのEC市場の趨勢ですが、これからどうなっていくのでしょうか? 日本では楽天市場の存在感が圧倒的です。皆さんも楽天ポイントの付くお店での買い物を優先しますよね? 確かにこれは優れた戦略で、今や日本のECマーケットには完全に定着してしまった感があります。私自身も楽天市場はよく利用します。しかし、です。本当にこれが10年後も続くのか? これが本来の理想の姿か? 改めて問い掛けると、自信を持ってYesと答えられる人は少数でしょう。本来Internetはオープンな世界です。どこからどこに繋がるか、地球の裏側だろうと隣町だろうと距離感は同じ。物理的なコミュニケーションと全く異なる通信革命が起きたからこそ、今日のIT業界の発展があります。そこに、リンクは制限する、顧客情報は渡さない、売上の一定額は徴収する、というモール業態のやり方に心から賛同するお店がどれほどあるのでしょうか。継続しているのは目先の売上を落としたくないという後ろ向きな理由なんじゃありませんか? 本当に良かれと思って、続けたくて続けていますか?



私は以前より、このいびつな状況をキープさせている諸悪の根源は検索エンジンの不作為にあると思っています。つまりGoogleの怠慢です。世の中の検索コンテンツは、大別すると三つに分類されます。ニュース(パブリックな情報発信)/BLOG(パーソナルな情報発信)、人の情報、商品情報、です。このうち前者の二つはかなり上手に扱えるようになりましたね。Facebookが人の情報を扱うことで世界的プラットフォームに定着したのは典型的な成功例だと思います。しかし、相変わらず三つ目の商品情報の取り扱いが拙いのですね。Google Shoppingなんてトライもありますが全く役に立っていないし、多分当事者であるGoogleの商品サーチチームはやる気ないと思います。価格.comがあれだけ重宝されるのもおかしな話で、本来はクローズドなサイトに閉じ込めるべきでない情報が上手く扱えないから、あそこが貴重な場になってしまっているんですね。その意味ではGoogle・Yahoo!・Bingなどの大手検索エンジンが出来る事、すべきことは、少なくともEC分野ではまだまだ手付かずで残っていると思っています。



さて、話を我々カート業界に戻します。このカテゴリーの存在意義はなんでしょうか? それは大手事業者の思惑に左右されない自由な商行為のプラットフォームを提供する事、にあると思っています。誰かの利益に阿るのでは無く、自分がしたいことを、したいようにする。それもカンタン・便利なやり方で。これ、実はなかなか思うような場がなかったりするんですよね。良さそうに見えて、使うにはグループ会社のサービスを強制されたり、最後の最後にお金取られたりして。世の中ウマイ話はないと言えばそれまでなんですが、特に日本においては、詰まるところ少数の特定企業グループの色が着いてしまっていて、意外と選択肢がないんです。手前味噌ですけど、我々は大資本の影響を受けない独立企業として、紐付きで無い選択肢の自由をご提供したいと思っています。それが我々の存在意義だと考えています。



実は、最近複数社から事業売却の打診がありました。それなりに名前の通っている無料カート屋さんでした。そういう話が持ち掛けられたことを誇りに思う反面、ひょっとして既にEC業界は頭打ちで、これからシュリンクしていくのかと思うと背筋が寒くなったのも事実です。個人的にはまだまだECの世界のポテンシャルはこんなもんじゃない、縮み傾向にある日本経済の中で数少ない成長セクターであるという思いがあるので、伸ばしていきたい、活性化させたいという強い思いがあります。ただ、これは最終的に個別事業の担い手である各ショップオーナーさんの気概に掛かる部分が大きいわけです。目先の売上や利益に矮小化されず、広く視野を世界において、成長する分野・商材を目ざとく商売に繋げるしたたかさを持って頂きたいな、と思っています。独り独りの強さの集積こそが、国力に他ならないのですから。日本の商人の皆さん、共に頑張りましょう!