ネット配信の趨勢は?

電子書籍元年と言われる今年は、iTunesの日本向け映画配信開始も相まって大きな節目の年になりました。

電子書籍がどの程度の普及を見せるかはデバイスの普及率に大きく左右されますから、当面はあくまで紙媒体の補完にとどまるでしょうね。

ただ、私が考えているのは既存の紙メディアの置き換えではなく、電子書籍だから出来るメディアの立ち上げです。

これは紙かデジタルかの違いではなく、ビジネスモデルの違いです。

つまり、広告依存か購読料中心かの違いです。

何が違ってくるかというと、広告主への配慮。

これが日本中のメディアを腐らせている諸悪の根源なのです。

出来るだけコストを切り詰め、純粋な購読料で収益の柱を作る事で、書き手が書きたい事を書き、読者が支持をするという理想のメディアのあり方に近付くわけです。



電子書籍の先例として映像配信の世界はどうなっているでしょうか。

あまり日本では知られていませんが、実は世界の映像配信の一番の先達はNetflixという企業です。



【西田宗千佳のRandomTracking】アメリカで人気の「Netflix」とは何か? -AV Watch



Netflixは現在アメリカ及びカナダ居住者向けにしかアカウント取得を許していないため日本からはサービスを利用出来ませんが、1999年から始めたDVDの宅配ビジネスと近年のネット配信事業の組み合わせによる両国市場への浸透度はかなりのもので、全ての配信事業者が参考にしている企業と言えます。

私が不思議なのは、NetflixにしろApple TVにしろ、多くの映像ソースを押さえているのはアメリカ企業で、アメリカ向けには映像配信が実現しているのに、どうして日本向けにコンテンツを揃えるのに苦労するのかという点です。

外からは伺えない業界内部の大人の事情というヤツがあるんでしょうね…。



しかし、今年はiTunes/Apple TVによってその堤防に穴が空きました。

これからコンテンツの種類は増える一方、対応する端末は多様化する一方なので、急速に生活に浸透して行く事でしょう。

見たい時に見たいものを見る。

そんな単純な事がようやく実現出来る環境が整ってきたという事です。

その時、いつまでも後ろ向きな対応しかして来なかった日本の老害企業(メディア/コンテンツホルダー)がどんな運命を辿るのか、答えは今から明らかですね。