雨の日に傘を取り上げる仕組み

「晴れた日に傘を差し出して、雨の日に取り上げる」とは銀行の融資姿勢を揶揄する表現として有名です。

今日の日経夕刊に、新BIS(自己資本比率)規制の影響についての記事がありました。

何でも、邦銀に新しいBIS規制が導入されたのが2007年の3月で、この新規性が導入されてから初めての景気後退局面を今正に迎えているのだとか。

この新規制の仕組みとして、従来なら貸し出しリスクを固定的に融資額の100%と定められていたのが、貸出先の格付けに応じて融資額の20%・50%・100%・150%の四段階に細分化されることになったそうです。

で、景気が後退して企業業績が悪化すると、例えばある企業向けのリスク量が50%から100%に悪化することになり、融資額を半分にしなければ銀行の自己資本比率が低下する、という事が日常的に発生することになります。

つまり、晴れた日に差し出した傘を雨の日に取り上げる行為を、制度的に後押ししている状態なのだそうです。



う〜ん、特定の銀行の融資姿勢に問題があるのなら付き合いやすい銀行を選べば良いのですが、日本が国としてこのような制度を運用してしまえば全ての金融機関が同様の行動を取らざるを得ません。

企業としての信用が低い中小零細企業は直接金融といった代替手段を取れませんから、銀行の貸し渋りがもたらす影響は甚大だと思うのですが…。



最近何だか景気が良くなる方向の政策が見当たらない気がしますね。