ポストPC時代

iPad・Kindle Fireと戦う「Nexus 7」に足りないもの



Microsoftに続いてGoogleも自社製タブレットの投入に踏み切りました。各社、パソコン後の市場を取りに行っていますね。パソコン自体がなくなることはないでしょうが、用途としては業務もしくは凝った編集作業に限定され、コンテンツのビューワーとしてはスマホ・タブレットがより使われるようになっていくのでしょう。主要プレイヤーは、



●スマホ:iPhone(Apple)、Android(Google/各携帯端末メーカー)、Windows Phone(Microsoft)

●タブレット:iPad(Apple)、Kindle(Amazon)、Nexus(Google)、Surface(Microsoft)



という陣容になりました。今はまだ物珍しさから各社のハードウェアがそれなりに注目されていますが、落ち着けば消費者は結局自分が何をしたいのか、何のためにそのハードウェアを買うのか冷静に吟味するはず。その時に価値を持つのはコンテンツマーケットです。その意味ではGoogle陣営は全く整備が追いついておらず、AppleとAmazonの二強体勢が先行しています。私見ではこの差はもう埋まらないのでは、と思っています。特にタブレット市場は既に勝負が付いていると思うのですが、GoogleもMicrosoftも勝算があるのでしょうか?



日本メーカーは、、、残念ながら端末・部品のサプライヤー以上にはなりえないですね、、、 日本のコンテンツ産業はさっさと頭を切り換えて、主要なマーケットに売り込んで欲しいものです。コンテンツが王様である事に変わりはありませんよ。

Kindle出版を試してみましたが…

どうやら日本でもKindleの発売が間近なようです。私見では電子書籍のリーダーはiOSデバイス(iPhone/iPad)とKindleが主流になると思っているので、Kindleでの出版は非常に興味があります。で、少し試してみました。



基本的な状況把握をしておきますと、まずKindleは端末そのものも日本では発売されていませんし、日本語のコンテンツも私の知る限りリリースされていません。なので、現時点では英語のコンテンツをアメリカのKindle Storeで入手する、というのが前提です。今回は「CARZY」の英語版コンテンツをアメリカのStoreでリリースする、という事を目的に試してみました。



まず、アメリカのAmazon.comでアカウントを取得します。この時のアカウントとなるメールアドレスは日本のAmazon.co.jpで使っているものと同じアドレスでも登録可能です。次に、Kindleの出版プログラムにアクセスします。ここにKindle用のコンテンツジェネレーター等のツールも用意されています。Kindle Direct Publishing (KDP)へのログインリンクあるのでクリックすると、Amazon.comのアカウントでのサインインを求めれますので、サインイン。この時、お持ちのAmazon.comアカウントはまだPublisher登録が済んでいないので、必要な入力を済ませます。この時、Publisherの住所そのものは日本も国名欄に候補が表示されるのでOKみたいですが、肝心の受け取り銀行アカウントを登録する欄に日本が表示されません。今のところ、アメリカとヨーロッパの銀行にしか売上の振り込みはされず、他の国はチェックでの受け取りになるようです。これが済めば、いよいよKDPのメイン画面に戻って、出版するコンテンツの登録です。



”Add New Title”をクリックすると、コンテンツの入力画面が開きます。指示通りに、Book name・Description・Languageなどを入力していきます。ISBNコードを入力する欄もありますが、オプション扱いであり必須ではありません。権利を保持しているか・対象カテゴリーと続き、いよいよ表紙画像の登録、ようやくコンテンツそのものであるBook Fileのアップです。ここで問題発生。私は手元のPDFコンテンツをアップしようとしたのですが、容量に制約があり上限は50MBだそうです。しょうがないのでもう少し軽いコンテンツに変更してアップ。するとサーバー上でフォーマット変換が始まったようです。嫌な予感…。数分待たされて、アップ完了! プレビュー画面がありますので確認してみると、、、 ボロボロです、、、 どうもKindle用のコンテンツは最終的に全てAZWと呼ばれるAmazonの独自フォーマットに変換されるらしく、画面ではHTML・PDF・Wordなどの各種フォーマットに対応とありますが、実際は全て.mobiフォーマットに変換されてしまいます。当然ながら凝ったレイアウトや注釈などの体裁は保持されず、文章の区切りもバラバラ。これでは使い物になりません…。



事前にKindleにPDFコンテンツを転送してみてちゃんと読めることを確認しておいたので、PDFフォーマットもそのまま出版出来るのかと思っていましたが、ダメなようですね。DRM絡みが理由なのでしょうか? コンテンツのアップ画面にはDRMを掛けるかどうかの選択項目があるので、DRM不要な出版元には普通のPDFコンテンツの配布を許可して欲しいのですが。



結論としては、現状ではKindle向けにコンテンツをリリースするためには.mobiフォーマットでコンテンツを作成する必要があり、すると既存のiOS向け(iPhone/iPadと2バージョンあり)・PDF版と併せて4つ目のフォーマットを採用せねばなりません。しかもこの.mobiバージョンではいわゆる雑誌体裁の凝ったレイアウトを保持出来ないので、意味が無いのです。KindleにはMagazineを購読するプログラムもあるのですが、今のところ限られた大手出版元によるサブクリプション型サービスしか選択肢がないため、小規模の出版元には参入を許されていません。



というわけで、まだまだ未整備なところの多い電子書籍市場。多用なプレイヤーが自由にコンテンツを提供出来る環境にはまだ遠いようです。

時代は垂直統合へ

マイクロソフトSurfaceでiPadとMacBook Airは過去のものとなった



うーん、IT業界はまた大きく動き出したのかも知れませんね。Microsoftの新しいタブレットデバイス”Surface”、かなり好意的に受け入れられているようです。



Windowsの普及期にはOSはMicrosoft、CPUはインテル、組立はDellという水平分業が上手く機能してPC界を席巻した訳ですが、Appleがハードウェアとソフトウェアを両方手掛ける強みを活かした製品開発を進めて、潮目が変わってきたようです。華々しく迎えられたAndroidが思うようにパフォーマンスを発揮出来ず、端末メーカーが困惑しているのも一因です。ユーザーに今までにない新しい価値を創造的に提供しようと思うと、"全部をハンドリングする"事が重要になるんですね。Windows Phoneはまだシェアを取れていませんが、これからのMicrosoftの頑張り次第ではもう一度Appleとの二強時代がやってくるんじゃないでしょうか。



問題はAndroidですね。OSの互換性のなさ、ハードウェア仕様の乱立、アプリのエコシステムのなさ、などなど問題続出で混乱状態です。端末メーカーは結局全然利益を確保出来ず、サムスン以外は途方に暮れている状態。どうもOSとしての出来も悪く、ハードウェア性能を引き出すために端末メーカーが相当カスタマイズの手を入れないと使い物にならないらしいので、今後も抜本的な改善は望みにくいんじゃないでしょうか。利益の取れないメーカーは統合・縮小していって、最後に残るのはOSレベルから製品を差別化出来るビッグプレイヤーしかない気がします。Apple・Microsoft、そしてAmazonの三大陣営の戦いになるんじゃないかな。消費者としては選択肢が担保されていれば競争が激しくなって面白い製品が出てくるのはウェルカムなので、歓迎すべき状況だと思います。さあ、面白くなってきました。IT業界はこうじゃなくちゃ!

Yahoo!とCCCがポイント提携

ヤフーとCCCがポイントとIDを統一 「圧倒的な経済圏の確立を」



なるほど、これは良い手を打ちましたね。Yahoo!は宮坂新社長就任から目に見えて経営判断がスピードアップしています。今後もアグレッシブな動きを見せてくれそうで楽しみですね。



正直Yahoo!のポイントって全然使った事なかったので、貯める手段を調べてみました。



Yahoo!ポイントをためる

Yahoo!ポイント提携先一覧



う〜ん、Yahoo!ジャパンの直営サービスラインナップは少し寂しいので、日常的に貯まる可能性が高いのはヤフオクくらいかな。Yahoo!ショッピングも楽天に比べると利用率はかなり見劣りしますからね。しかし、Tポイントの提携先が凄い!



Tポイント提携先一覧



結構あちこちでTカードの提示を聞かれますからね。ガソリンスタンドでもポイント貯まるし、Tポイントの浸透度は凄いと思います。



これで世の中のポイントシステムは楽天とTポイントの二大サービスが突出という事になりました。楽天はグループ外にはポイントを使わせない方針を堅持するみたいなので、相互交流は実現性ないのでしょう。プレイヤー数はTポイントに集まりそうですね。

バイアウトの是非

ヤフーがどのようにFlickrをダメにしたのか? スタートアップが大企業に買収されるということ



読んでいると胸が痛くなります。久し振りにFlickrアカウントにサインインしてみようとして、確かに酷い事になっていました。ログインが無駄に複雑なのはYahoo!系共通のダメなところですね。Microsoftもそこはダメダメなんですが。



Flickrというサービスそのものの善し悪しはさておいて、思うのはベンチャーにとってのExitの在り方。希望に満ちたベンチャー企業が創業メンバーの努力と幾つかの幸運に恵まれて成長軌道に乗った時、着地点として想定するのはIPOとバイアウトの二つです。特に日本ではIPO環境がかなり厳しくなっており、昨今のコンプライアンス規制の厳格化を考えるとIPOのハードルはかなり高くなってしまっています。「起業のファイナンス」(著:磯崎哲也)は全てのベンチャー経営者とその予備軍にオススメする名著ですが、本書に上場の維持費用だけでも年間一億円前後は必要、と書かれています。勿論大きな企業価値の実現を目指すのならIPOを狙うべきでしょうが、そこまでの目標設定をしにくい状況では良いパトロンを見つけてバイアウト、というのは重要な選択です。



問題は”良いパトロン”を見つけることなんですが、Flickrのケースは残念ながら裏目に出てしまいました。せっかく熱烈なアーリーアダプターと良質なコミュニティ形成に成功した良いサービスが、持てるリソースを本来のサービス開発ではなく、内向きな無駄と思える作業に浪費させられていく。そもそも企業カルチャーがあまりにも合致しない結婚は上手くいくわけがないのですね。日本の場合、受け皿となるIT系のパトロン企業が限られてしまいます。ざっと挙げても、楽天・Yahoo! Japan・GMO・サイバーエージェント・トランスコスモス・ngi、あたりになりますよね。伸び盛りのサッカー選手がどのビッグクラブに移籍するかでその後の活躍度が大きく違ってくるように、ベンチャー経営者もよくよく吟味を重ねるべきです。



私は色々考えて、第三の道を選びました。”スモールビジネス”という在り方です。非公開で、売上数十億円規模を実現し、独自のポジションを確保している企業、というのが理想的かなと。ま、人生に正解が無いように、企業の在り方も経営者とステークホルダーの人生観次第。色んな在り方があって良いのですが、個人的には日本における幸せなバイアウトがもっとあっても良いんじゃないかなと思っています。livedoorは良い線行っていたのですが…。

新型MacBook Pro発表

次の時代を切り開く「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」速攻レビュー



Jobsのキーノートが見れなくなって寂しいのですが、それでも恒例のWWDCは最新のApple製品が発表される世界注目の場です。今回の目玉は”Retinaディスプレー”と呼ばれる高解像度の液晶を搭載したMacBook Proでした。iPhoneをお使いの方は、この液晶の素晴らしさをご存知のはず。「網膜解像度」というアピールの仕方はさすがにAppleで、インパクトも、技術的な根拠の確かさも備えた良い着眼点でした。つまり、VGA → XVGA → HDなんてスペック向上の流れにいきなりファイナルアンサーを出して、「もうこれ以上のスペックは必要無いんですよ」と宣言しちゃったのですね。これ以下のスペックを古くさく見せてしまい、かつこれ以上は必要無い。究極の勝ちました宣言ですな。



これが如何にWindowsの世界で実現困難な課題であるかは、下記をご覧下さい。(細かくて技術的な解説ですので、興味のない方はスルー)



解像度の呪縛から逃れようとするWindows 8



一世を風靡したMicrosoftですが、強みであったはずの豊富なサードパーティ環境が、逆にレガシーとなって足を引っ張っているのがお分かり頂けると思います。林さんが、
MacBook Pro Retinaディスプレイモデルは、これから数年先、時代をリードするノートPCとなることだろう。他社のマシンがこれに追いついくには、しばらく時間がかかるかもしれない。例えば、Retinaディスプレイの採用1つをとってもそうだ。中には、これを単に「アップルが高解像度の液晶パネルを調達して、はめ込んだだけ」のニュースだと思っている人がいるかもしれない。しかし、それは間違いだ。



 アップルは、4倍の解像度を持つ液晶パネルを採用し、従来よりも負荷がかかる画面描画をきちんとこなしたうえで、体感できるパフォーマンスの向上も得られるように、ほかのハードウェアスペックも大幅に強化した。それだけではなく、OSの側でもRetinaディスプレイの解像度をサポートできるように変更を加え、さらにはSafariをはじめとする付属アプリケーションすべてをRetinaディスプレイの解像度に対応させている。



 たとえ他のハードウェアメーカーと、OS提供者と、サードパーティの開発者が、どんなにうまく協力体制を築いたとしても、ここまで一気にことを進めるのには、それなりの時間がかかるはずだ。やはり、ハードもOSも、そして一部の人気アプリケーションも1社で作っているアップルだからこそ、時間の針を先へと進めやすい部分があるのだろう。
と語っているのは決して大袈裟な表現ではありません。西暦がキリストの誕生以前と以後で区別されるように、ディスプレイもRetina以前と以後で意味が異なる。そんなエポックメイキングな出来事だと思っています。これは電子が紙に近付いた、意味のある前進なのです。是非、多くの方にこの環境を経験して頂きたいですね。(私も現物触った訳じゃありませんけど(笑))



蛇足ですが、最近のIT系のニュースソースはITメディアが圧倒的に支持されていますね。昔はCNETだったのですが、朝日新聞傘下になってからダメダメです。メディアもメーカーも、かくもIT業界は移ろいやすいデリケートな世界。だからこそ面白い。

Windows 8 登場間近

Windows 8 Release Preview



うー、手元のWindowsパソコンをようやくXPから7に移行したばかりなのに、もう8ですか…。

しかもこのメトロインターフェース、斬新なのは良いんですが、一般ユーザー付いていけるのかな。

Macは好きで使う人が勝手にチョイスするから少々ユニークでも問題にならないんですが、パソコン標準のWindowsですからね〜

あちこちのサポート大変だろうな〜



他人事ではないです、はい…。

解像度とアプリの関係

解像度の呪縛から逃れようとするWindows 8



Webサービスをブラウザーを通じて提供している分にはあまり意識しないのですが、タブレットやスマホ向けにアプリを提供する場合は画面の解像度に関する問題は重要です。Appleが全てをコントロールしているiOS端末は別にして、AndroidやWindows Phoneは多種多様な仕様のハードウェアが存在するため開発者はどこまで対応するかの判断を迫られます。今のところ「CARZY」ではアプリの提供をiOS向けに限定し、その他のプラットフォーム向けには汎用性の高いPDFコンテンツを提供するだけに止めています。恐らく、妥当な判断だと思っています。



Androidデバイスのディスプレイサイズ、DPI一覧 update



↑チラッとこちらをご覧下さい。2011年10月の時点でこの有様。目眩がしますね…。



個人的には、モバイル端末はiOSデバイスとKindleに収束していくのではないかと予想。仮にKindle Phoneとか出たら、Android端末はかなりのシェアを持って行かれるんじゃないでしょうか。アプリの開発者サイドからすると、あまりにバラバラな仕様への対応を迫られるのは勘弁してほしい。各コンテンツプロバイダーはその辺りに気付いてきているので、Androidからの撤退が進むんじゃないかな。選択の自由が妨げられない程度の競争があれば、消費者はそれで良いんじゃないでしょうか。

Kindle待望

電子書籍マーケットに取り組んでいますが、現状は市場がなかなか立ち上がらないのを実感しています。

有料アプリも最低額の85円アプリはそれなりにダウンロード数が伸びる傾向にあるようですが、それも本来の価格から相当ディスカウントした設定ですから当初想定利益は確保出来ていません。

やはりAmazonがこの市場にちゃんと参入してくれないと、コンテンツの絶対量が揃わないのです。

そしてそのAmazon参入を一生懸命阻害しているのが、本来主役になるべき日本の出版業界。

その頭の悪さにはほとほと恐れ入ります。

自分達のマーケットを伸ばす努力をせずして、未来があると思っているのか?

年内にKindleの日本投入が噂されていますが、どんくさい大手出版社はすっ飛ばして、やる気のある中堅どころを中心に突破口を開いて欲しいものです。

前進あるのみ!