欧米にはなぜ、寝たきり老人がいないのか

欧米にはなぜ、寝たきり老人がいないのか



なるほど。この問題は非常に重要だと思います。幸い私達夫婦の両親は四人とも元気ですが、祖父母の世代は既に亡くなっています。多かれ少なかれ、パイプによる栄養分の点滴等、いわゆる終末期治療を受けて最後を迎えました。その姿は見るに痛々しく、本人にとっても、見守る家族にとっても、重く辛い時間でした。誰も望んでいない延命行為を何故続けなければならないのか。これは一人一人の人生観の問題として、全ての日本人が向き合うべきテーマなんじゃないでしょうか。



考えてみると、人生の最後の幕引きをどう行うか、という事が曖昧だから色んな問題が引き起こされている気がします。個人の尊厳もそうですし、無駄に掛かる医療費や年金財源、医療施設の負担、社会的なコストもろもろ。自分が死を迎えるに当たってどのくらいのコストが掛かるのか不安だから、高齢者が必死に貯蓄をして、消費行為も抑制され、若い世代も明るい将来像が描けずに晩婚化・少子化。諸悪の根源なんじゃないでしょうか、終末期治療という行為が。



この問題の解決は、実は容易です。個人と家族が、事前に意思確認をしておくだけで良いのです。税金の手当も法律改正も必要ありません。それぞれの生き方の問題ですから。この手の話題は子供世代からは口にしにくいんですけど、これからは死ぬためのリテラシーと言いますか、人生の幕引きのための段取りを考えておくことが大事なのだと思います。世界最長の平均寿命が、実は上げ底の惨めな時間の上乗せで実現しているのなら、それは名誉なんかじゃなくて恥ずべき事なんじゃないでしょうか。