スポーツカーの方向性

パリ・モーターショーが始まりました。

色々な意味で曲がり角の自動車業界なんですが、私の注目はランボルギーニ。

ご存知スーパーカーメーカーなんですが、今回の彼らの主張は「軽量・ハンドリング」。

つまり、もうどのスーパーカーも時速300kmは普通に出る時代。

でもそんなスピード、公道はおろか、サーキットでもそうは出せないし体感出来ない。

そんな無意味なパワーウォーズ・スピード競争よりも、これからはプライオリティをハンドリングに置くよ、と。

で、環境性能も追求していこうと思えば答えは一つ。

軽量化です。



おー、これは愛するTVRやロータスといったブリティッシュライトウェイトスポーツカーが目指していた方向性そのものじゃないですか!

確かに、500馬力を超えちゃうと、もうそれ以上のパワーは不必要ですものね。

こうなるとスポーツカーが再定義されて、新しい魅力の再発見に繋がるかも知れません。

あと皆さんに知って欲しいのが、サーキットでの走行体験。

これが特殊な一部のマニア向け体験ではない事が広まれば、もっと沢山の人がクルマの魅力を感じて頂けると思います。

本当は教習所とかが、大人向けのドライビングレッスンとかをカリキュラム化して啓蒙してくれれば良いんですけどね。

不景気で若者人口も減っていきますし、どうですか経営者さん?

鈴鹿を走ろう!

今までちゃんと調べていなかったのですが、あの鈴鹿サーキットの本コースを走るプランが幾つもあるようです。

そう、F1が走る、テレビやゲーム機で見る、あのコースですよ。

あそこを自分のクルマで走ってみたいと思いませんか?



鈴鹿モータースポーツクラブ(SMSC)



こちらの会員になれば、初年度4万円で本当に走れちゃいます。

問い合わせをしたところ、会員期限が翌年2月までの区分なのだそうで、12月以降の申込が翌年度扱いになってお得との事。

早速資料を取り寄せました。

そして、SMSC会員になれば、「鈴鹿ドライビングレッスン」なんてカリキュラムも割り引きで受講出来ちゃいます。

こちらも本コースを利用した内容で盛り沢山。



サーキット走行は決して走り屋さん向けのものじゃなくて、公道を走る全てのドライバーが身に付けておいた方が良いスキル。

誰だって、自分のクルマで本気で急ブレーキを踏んだりスピンしたりした経験は殆ど無いはず。

でも咄嗟のアクシデント時には、そういう経験が役に立ちますよね。

最近のカリキュラムはちゃんと初心者向けのカテゴリーが用意されていますし、参加者も普通のドライバーが沢山いて気後れする必要は全くありません。

何よりサーキットを走るという異次元体験は、きっと思い出に残る楽しい経験になりますよ。

季候の良い秋、あなたもモータースポーツを始めてみませんか。

F1GP

F1ファンってどのくらいいるんでしょうね。

鈴鹿に集まるファンの数はおよそ10万人と言われています。

これは国内のスポーツイベントの集客動員として屈指の規模。

その意味では今でも根強いファン層を維持しているのですが、最近の悩みは地上波放送の縮小。

鈴鹿でさえも生中継が危ぶまれる昨今ですから、他国GPの生中継なんてとんでもない。

熱心なファンは有料のCATVを契約して追い掛けることを余儀なくされています。

(私も今年はフジテレビNextを契約しました)



今年は実は希に見るチャンピオン争いの激しい年で、ここまで上位5人全員にチャンスがあります。

レッドブル・フェラーリ・マクラーレンの3チームがトップ3なんですが、マッサを除く5人が25点の差でデッドヒートを繰り広げています。

シーズン前半はレッドブルの独走かと思われたのですが、地道にチャンスを拾うマクラーレンと、ここにきて巻き返しの激しいフェラーリの追走で俄然面白くなってきました。

マシンの出来はレッドブルがまだ頭一つ抜けているカンジですが、チャンピオンを取るにはポイントを取りこぼさないことが大事。

その意味ではヴェッテルもハミルトンもクラッシュが多すぎ。

バトン・ウェーバーは若干消極的なので、個人的にはアロンソの逆転チャンピオンと予想しておきましょう。



さあ、次はいよいよ鈴鹿です。

日本メーカーの姿が見えないのは寂しいのですが、小林可夢偉の頑張りを含めて応援しましょう!

モータースポーツの愉しさを沢山の人に知って欲しいなと思っています。



P.S. あ、そうそう書き忘れていましたが、F1観戦にはこのアプリ(F1™ 2010 Timing App)がとっても役に立ちます。ちょっと高いですが、ファンにはオススメですよ。

次期エンツォはハイブリッド

次期フェラーリ・エンツォはハイブリッド確定!



時代の趨勢といえばそれまでなんですが、スポーツカーの象徴であるフェラーリがハイブリッドを搭載というのは寂しいというか、釈然としないというか…。

モーターの低速トルクは凄いらしいので、一度体験してみたいです。

チューニング次第でハイブリッドもスーパーカーたり得るんでしょうか?

トヨタ車について思うこと

世界に冠たる自動車生産国は、ドイツ・アメリカ・日本がトップ3と言えるでしょう。

日本の最大手メーカーであるのは勿論トヨタなのですが、ではそのトヨタのクルマはどのように評価されているのでしょうか。

客観的に評価を測るには、一番はまず販売台数でしょうか。

これは周知の通りGMを抜いて世界最大の販売台数を達成しましたので、その意味では最高評価ですね。



では、クルマ好きや自動車評論家も同じ評価を下しているのでしょうか?

多分に主観的な判断になりますが、そうは思えません。

それは何故なのでしょうか?



私はクルマには実用性領域と趣味性領域の二つの要素があると思っています。

これはどちらかに完全に割り切れるモノではなく、多くの場合両者の中間点を個人が選択するわけです。

何人乗りか、どれくらい荷物が運べるか、故障の頻度は低いか、維持費は、そもそも入手するイニシャルコストは、とかなり多くの評価指標があるわけです。

あと、一台で全部の用事を済ませるのか、複数台の所有が許せて分担させるのかにもよりますよね。

で、今の世の中では大多数、殆どの自動車ユーザーは実用性領域の価値をクルマに求めています。

だからスポーツカーは売れませんし、ミニバンや小型車といった実用性の高いクルマばかりを街で見る事になってしまいます。

ま、しょうがないですよね。

ユーザーの選択ですから。

ここに一番模範的な回答を出し続けてきたのが、他ならぬトヨタであると言えます。

だからこその世界一達成です。



そして、今私がトヨタに対して思う二つの警鐘。

まず一つ目。

あまりに趣味性領域を軽視しすぎていないか?

上述したように、数は少なけれど依然としてクルマに趣味性を求める層というのも存在するわけです。

そしてそういう人たちはいわゆるクルマ好き・カーキチであって、非常にクルマへのコミットの高い層です。

トヨタはこの層への訴求をあきらめてしまったのでしょうか?

ちょっと前まではあったんですよ。

MR-2、レビン、スープラ、アリスト、アルテッツアなんていうそれなりに安価で手に入れる事の出来る趣味性の高いモデル達が。

全部無くなっちゃいましたよね。

クルマのブランドイメージというのは、数は少ないかも知れないけれど、こういうクルマ好きの層が熱烈に支持する熱気によって作られる面が多分にあるわけで、だからこそ費用対効果が薄くなっている自動車レースに各社多大な予算を投入しつづけるのです。

今トヨタに高いブランドイメージを持つ人がどれくらい居るんでしょうか。

多くの人は輸入車を今でも支持していますよね。

私の周囲では、国産ならトヨタよりもホンダ・日産を選ぶという人が多いです。

その意味を分かっているのか?



二つ目の警鐘。

それは、自ら選んだ実用性領域のクルマ作りで、本当に真摯さを貫けているのか、という点です。

こちらが一例ですが、最近のリコール数は異常だと思われませんか。

例のプリウス騒ぎは起こるべくして起こったのだと考えています。

ご紹介したバルブスプリングの強度不足、これ非常に深刻なケースなんです。

エンジンのバルブ動作を支えるバルブスプリングなんてのは、基本的に非常に枯れている技術分野ですから、今更新しい機能や仕組みにトライして失敗したなんて事は無いんです。

原因はただ一つ、行きすぎたコスタダウンです。

必要な信頼性能を下回るレベルでコストダウンを追求したから、耐久性が犠牲になったんです。

これは供給している部品メーカーが弱小で対応に限界があったから起こったのではなく、神戸製鋼レベルの大メーカーが事前に起こりうる結果への警告を通告した上で、トヨタ側がそれでも良いと押し切った結果なのです。

恐ろしい。

調達本部の担当者は、自分の子供をこのクルマに乗せようと思うのでしょうか。

つまり、趣味性を犠牲にしても実用性領域にクルマ作りの軸を移すのは、それは会社としての戦略決定で何ら問題無いわけです。

問題は、最低限守らなくてはならない一線を、利益のため、販売台数のため、自分の業績評価のために、超えてしまう倫理観の無さです。

モノ作りをしている現場の誇りや矜持はどこへ行ったのか。

下請けを泣かし、社員に長時間労働を強いて得たその利益は、一体何のためなのか。

経営陣の自己満足だけなんじゃないの?



クルマには色んなあり方があって良いと思っています。

クルマ選びの答えは人の数だけあるし、それに向き合うメーカーの答えも沢山あって良いんです。

でも、その答えのベースは善意であって欲しい。

こちらにある奥田民生の歌、CMで耳にした方も多いでしょう。

歌詞を引用しますね。

クルマはあくまでも 快適に暮らす道具

クルマに乗らないと いけないワケではないぜ イエー

だけど好きなんだ いいだろ こんなにも愛しているよ

And I love car この気持ちを 歌うんだ 君と僕の歌を

[作詞/作曲 奥田民生]


動画



トヨタに足りないモノ、皆があって欲しいと思っているモノ。

それはやっぱりクルマに対する「愛」なんじゃないかな〜