交通系ICカード


皆さん、交通系ICカードをお使いですか? 関西ならICOCAやPiTaPa、全国的にはSuicaの利用が広まっています。電車に乗る時は勿論ですが、タクシーや駐車場やお店での支払いなど確実に日常に定着しつつありますね。しかし、残念ながら関西ではいまだにタクシーでは殆ど使えず、店舗の決済も使えるお店は限られています。こんなに便利な決済手段がどうして広まらないのか、その導入費用を調べてみました。

交通系ICカード「導入費用」は半端じゃない

こちらの記事を見ると、バスやタクシーなどの交通事業者が導入する費用は概ね3億円程度とあります。確かに小規模の事業者が導入するにはハードル高いですね。利用者の満足度が上がるのは間違いないですが、そのために設備投資しても売上にどれだけ反映するかと言われるとあまり見込めないでしょうね。バスやタクシーは全ての車両にカードリーダーと通信端末を設置する必要があるので、端末代とセンターサーバーの投資がどうしても嵩んでしまいます。世論に押される形で少しずつ導入が進むのを待つしかないのでしょうね。

では、お店はどうか。こちらは大きな投資なしに導入できる環境が整備されています。

実店舗にSuica決済を導入する方法まとめ!お店でSuicaやPASMOを使えるようにして、会計時間のスピードアップを目指そう。

結論をまとめますと、

・初期費用 :無料
・月額費用 :無料
・決済手数料:3.24%
・回収期間 :月6回(Airペイ)

となります。全然お金かかりませんよね。レシートを発行するプリンターも数万円で買えますし、導入しないお店の理屈が分かりません。売上の阻害要因、決済・予約・分煙などのネガティブ要素は極力排除するのが理屈だと思います。未だにクレジットカードも導入していないお店が結構ありますけど、手数料を節約しているつもりがそれ以上にお客さんが離れていることに気付くべきです。もっと環境を整備して、インバウンド旅行客をふくめたおもてなしを徹底しましょうよ。”スマート日本”が早く実現することを願います。

メッセージングアプリによるカスタマーサポート


今、「おちゃのこネット」も「パーツショップコンタクト」も、お客さまとのコミュニーションはメールが主体です。これ、正直古いと感じています。実際問題私たちは普段メールを殆ど使わなくなってしまいました。ウチの息子たちはスマホを与えた時「メールアドレスなんか要らない」と言って驚いた覚えがあります。冷静に考えてみるとそうですよね。今やスマホに入るメールは広告や一部のメルマガで、メールという媒体そのものがSPAMと化しています。

いまやコミュニケーションのプラットフォームは完全にLINEやメッセンジャーなどのメッセージングアプリに移行しているのですから、企業の側も変わらないといけない。少しずつLINE@を顧客サポートに使う企業は増えてきました。気の利いたお店はLINE@のアカウントを開設しています。iOSも11.3のリリースで標準のメッセージアプリにカスタマーサポートとの会話機能を導入しました。

ウチも変わらねば。実は少しずつ試していますので、導入を楽しみにお待ち下さい。

神戸スタートアップオフィスDEMO DAY


神戸スタートアップオフィスDEMO DAY

第5回目となる神戸スタートアップオフィスのDEMO DAYを見てきました。ウチの隣のオフィスで2016年から活動している神戸市主導のベンチャーアクセラレーション活動も今回の第5回目の活動で一区切り付けるそうです。私は始めて参加させてもらったんですが、最後に間に合ってよかった。5組のデモを見て、KURASERUさんの介護施設マッチングサービスが一番有望と感じました。確かに病院を退院してからが大変という要介護者は多く、ウチの母親も受け入れてくれる施設を探すのに苦労しました。未だにシステム化されていない領域に効率的なITサービスを持ち込むのは、家族・病院・介護施設の三者がハッピーになるとてもいいスキームです。もうマネタイズも出来ているようですから、ビジネスとして立ち上がっていると言えますね。

プロデューサーの西本凌先生によれば、他にも神戸で有望なベンチャーは増えているそうです。インバウンドでたった一人で売上20億円、利益4億円を稼いでいる会社もあるそうで、どこだろw こうやって成功例が増え、応援する支援サービスが充実し、何よりチャレンジするカルチャーが根付いていくのが嬉しいですね。神戸を始めとする関西は、もっとベンチャーの聖地としての存在感を高めて当然のポテンシャルがあるのです。博多に負けてちゃダメなんですよ。

ゲストスピーカーのスペースマーケットの重松さんのスピーチも面白かったです。これから人口が減る日本では色んなスペースが空いてくるはず。それをシェアリングする、というコンセプトは正しいですね。これはAirbnbよりもマーケットとしては大きいかもしれません。凄い勢いで伸びているビジネスみたいなので、要注目です。

最後に山下計画の山下哲也先生にはクルマのビジネスについてドキッとする指摘を頂きました。「早ければ2030年には手動運転車が全面禁止になるかもしれないよ。クルマのビジネスは急いだ方がいい」と。うーん、ちょっと不安になりましたが、そんなに早く自動運転社会が実現しますかね。将来がその方向だということは百も承知ですが、現実は机上の検討の通りにはいきません。Uberの事故のニュースのように、一進一退を繰り返しながら時間を掛けて社会に定着していく話なんじゃないでしょうか。新しいITサービスやデバイスの普及といったレベルとは社会に与えるインパクトが違いますから。仮に手動運転車が禁止になったとしたら、どうするか。これは確かに考えておかねばならない大事な視点だと思います。これは西川さんとやり取りする中で、「馬に例えて考えるのが分かりやすいんじゃないか。結果的に馬の価値は上がったかもしれない。馬を扱える場の提供まで含めたビジネスのチャンスかもね」という示唆がありました。確かに。私たちのターゲットであるコレクタブルカーはサラブレッドのようなもの。であれば、特別なステージとその価値を育むエコシステムそのものを育てることがビジネスとして成立するはずですね。

と、ほんの数時間の参加で沢山の気付きが得られました。社内に閉じこもってないで表に出て人に会う。そうすれば刺激は得られるんだなと再認識した一日でした。ちなみに、神戸スタートアップオフィスの活動はこの第5回で一旦終息でオフィスも3月一杯でクローズするらしいですが、500 KOBE ACCELERATORなんて活動もあるみたいなので参加してみたいと思っています。

Amazonの脅威


Amazon、怖くないですか? ひとりの消費者としては凄く頼りになる便利なサービスなんですけど、これがライバルになる同業者としての目線で見ると底知れぬ恐怖心を覚えます。モノを売るメガストアとして、また出店ショップを集めるモールとして、もはや無関係でいられるEC事業者など存在しないのです。いまはアメリカの時価総額でAppleがダントツの一位、AmazonはMicrosoftを抜いて三位につけ、二位のGoogleを追い抜く勢いです。近い将来、Amazonこそが世界最大の企業になるのではと思っています。それは何故か?

最大の牽引力はジェフ・ベゾスの飽くなきリーダーシップ。彼がどこを目指しているのか分かりませんが、多分「これくらいでいいか」なんて満足の限界点はないんでしょうね。どこまでも規模を拡大する、まさに密林として地球上を覆い尽くしてしまうその野心に恐ろしくなります。創業者を亡くしたAppleに今以上のパワーはもうないと思うので、ベゾスが現役で引っ張っている限りはAmazonの成長は今以上のスピードで続くのでしょう。気になる記事がありました。

Amazonの医療界の野望
Amazonの噂で一気に下がるもの: Amazonのマーク・トウェイン化

愛読している渡辺千賀さんのBLOGですが、Amazonの動向がいかに業界に大きなインパクトを与えるか分かります。
世の中は「Amazonが健康保険に進出」とか「Amazonが処方箋事業に進出」などと言っているのだが、私は個人的に「健康保険から医療機関まで垂直統合した大医療サービスを作る」と予想している。
前回書いたAmazonのヘルスケア業界進出(の可能性)は、業界内でも様々な地殻変動を起こしている。

まずは株価に見る世の中の総意としては「保険会社も、処方箋売ってるドラッグストアも問屋も相当まずい」という感じ。(北斗の拳的に言うと「おまえはもう死んでいる」状態。古いけど。)
話の発端はAmazonが自社の従業員向けに医療コストの削減を検討している、というだけのニュースなんですが、それが巨大なヘルスケア業界を揺さぶる一大事件に膨らんでいます。これがただの噂話に止まらないのがAmazonのAmazonたる所以。もうね、降参するしかないんですよ。

これはとても大事な視点で、勝てない相手に勝負を挑んでもドンキホーテになるだけ。そこは冷静に彼我の立ち位置を見極めて、私たちはAmazonがやってこないポジションをキープすることを考えるべきなのです。それには色んな考え方があると思います。

・Amazonが入ってこれないニッチ市場でポジションを取る
・Amazonがやらない面倒な手を掛けるサービスを提供する
・Amazonがやらないリアルな店舗戦略を採る

池に鯨は住めませんから、小さなニッチ市場で自分達のポジションを確立するのが一番の近道ですよね。これは世のスモールビジネスは自然に採用している戦略です。下手に大きなマーケットに出ていかない方が利口です。全てのEC事業者は、「自分達の市場にAmazonが進出してくる可能性はあるか?」という検討を最初にしておくべきです。それに対する答えが用意出来ない限り、そのビジネスをやってはダメです。受注生産や、個別対応が求めらるような手の掛かる市場も狙い目です。Amazonのデカさが災いして、彼らはスケールしない市場には進出しませんから。

リアルな店舗展開をする、というのはAmazon対策としては有力だったんですが、最近はこれも怪しくなっています。アメリカでホールフーズの買収なんかしちゃいましたから、これから実店舗の展開はやってくる可能性があります。書店も作ってますしね。さすがに日本で実店舗を展開することはあってもまだ先のことでしょうから、イオンやセブンイレブンは当面大丈夫かな。でもアメリカではコンビニはヤバイですね。無人店舗を始めてしまっていますから。

あまり心配しすぎても商売なんてできないんですが、それでもこれから「対Amazon」の戦略を考えるのは全てのEC事業者に共通の課題になります。良い智恵を絞り出しましょうね。

SNSやる人、やらない人

みなさんは、もしくはみなさんの周囲の人はSNSしてますか? 最近は昔に比べると利用する人に偏りが発生している印象があります。使ってる人はヘビーに使うし、使わない人は離れてしまっている。勿論FacebookやTwitterの流行始めはみんなが興味本位でどんなものか飛び付いた面があると思いますが、ブームも一段落して自分に合わないと感じた人が距離を置いてしまいましたね。私がFacebookに登録したのは2007年7月とありますが、もうあれから10年。重要なインフラとして定着しましたが、そのカバー率は当初期待されたほど拡がりはしなかったと言えるでしょうね。

4大SNS(Facebook, Twitter, Instagram, LINE)の日本における利用状況《随時更新》

私が見ているのは2016年のデータですが、Facebookの人口カバー率が21.3%、Twitterで31.5%、LINEで53.6%とあります。Facebookが五人に一人、Twitterが三人に一人、と聞くと、まあそんなもんですかね。LINEでやっと半分超えです。しかもこの人口カバー率にアクティブ率を掛けると、Facebookは全体の10%程度、Twitterで20%、LINEはほぼ全員がアクティブなので50%。SNSはやっている人がそもそも少数派で、日常的に使っている人は二割以下ということになりますね。では、やっている人とやらない人の違いは何か?

自己顕示欲? 承認欲求? 社交性? コミュニケーション能力? どれもあると思います。SNSやっている人は、目立ちたがり屋で自分を認めて欲しくてアピールが激しく、コミュニケーション能力が高くて社交的。こう書くと鬱陶しい人ですねw やらない人は、慎み深くて恥ずかしがり屋で少し消極的で奥手の人。ちょっとステレオタイプ過ぎますが、典型的なタイプとしては間違っていない気がします。加えて、SNS起因の様々なトラブルを回避したいという心理も強く働きます。いじめやストーカー、炎上騒ぎなどが頻発するのを見ていれば、普通の人は深入りしないでおこうと考えますよね。とすると、今後もこの比率は変わらないのではないかと思われます。これ、実は問題です。

なぜ問題か。それはSNSのビジネスモデルが広告に依存しているからです。全体の20%にしかリーチできない広告媒体は、いずれその費用対効果を厳しく問われる場面を迎えます。今はまだ全体のユーザー数が伸びているので表面化していませんが、全体の伸びが止まれば、もしくは各市場ごとの効率を見直す機運が高まれば、特に成熟した先進国マーケットではSNSメディアの広告媒体としての価値が過大評価されているということに気付くでしょう。では、その後にどうなるか?

リアルな対面型の広告が評価されるようになるんでしょうね。例えば、屋外の看板広告。電車の中吊り広告。人が外を出歩けば必ず目にする実体スペースがデジタルサイネージとしてネットワーク化されて媒体になる。これは屋外だけではなくて、家の中でも例えば冷蔵庫の表面とかがパネル化して媒体化するのでしょう。中身が表示されて、「牛乳が切れかけです、いつものブランドを自動発注します」、そしてそこに新商品の広告が出る。難だか邪魔くさいですけど。そうやって目にする全てのものが広告表示スペースになっていくのが未来なんじゃないでしょうか。んー、広告ブロックサングラスとかが売れたりしてw

動画コンテンツへの対応

日商120万円超えのアパレルEC、女性向け動画メディアの「PATRA」が1.3億円を調達

ネット環境がリッチになり、動画が身の回りに溢れてきました。私は古いのかもしれませんがあまり動画を見ません。しかし中三の息子も小六の娘もしょっちゅうYouTubeを見ていますし、そもそもTVをリアルタイムに見る習慣がありません。彼らにとってはタレントよりもYouTuberの方が身近な存在みたいです。動画の波は我々オールドタイマーにも忍び寄っています。Facebookで見る広告は段々動画が増えてきていると感じます。今後はECの現場でも動画を使う事が必須になっていくのでしょう。伝えられる情報量が多いのですから、リッチな表現に移行していくのは当然の流れなのです。しかし、問題が一つあります。

それは作り手のスキルが追いつかないということです。勿論制作物のレベルによります。撮った素材を前後少しカットして文字を載せる程度のことは少しやればできると思います。しかし、映画の予告編を思い起こせば分かることですが、たとえ短時間のコンテンツでもそこに要求されるセンスは画像編集に求められるものとは段違いに高いと感じます。多くの平均的なITスキルの持ち主であるショップオーナーさんが、自分のショップで商品紹介のムービーを作る作業にどこまで追従できるか。実はこれからショップによって大きな差が出てくる部分なのかもしれません。前向きに考えれば他のお店と差を付けるチャンスとも言えるのですが…。

さて、あなたのお店はどうされますか?

カプセルネットワークとかいう進化がAIの世界で起きているらしい

CapsuleNetの圧倒的俺得感

すっかり身近な話題になったAIですが、見えないところで日進月歩の進化が起きているらしいです。文章が面白いので清水亮さんのブログは定期的に読んでいるのですが、最近はカプセルネットワークとやらがブームらしいのです。AIに関する本は何冊か読んでみまして、カナダのジェフリー・ヒントン教授がAI界に多大なインパクトをもたらす第一人者であることは知っていました。そのヒントン教授が2017年の11月にニューラルネットワークを超えるアイデアとしてカプセルネットワークを発表していました。

グーグルの天才AI研究者、ニューラルネットワークを超える「カプセルネットワーク」を発表

専門的な知識を持ち合わせていない私にはこのアイデアの凄さを評価できませんが、どうやらAI技術をワンランク引き上げる大きな発見だったみたいです。上記の清水さんのブログのコメントがそのインパクトを物語っています。
世に出てるディープラーニングの本が一夜にして軒並み一世代前のものになってすごい笑える。さあライターの皆さん、本を書き直しましょう
私が一番身近に感じるAIの出来事は囲碁や将棋のプロに勝つAIが登場したことなのですが、その技術的基盤となったディープラーニングの本が一世代古くなってしまう発見、と聞くとこれから起きるであろう様々な進歩を想像して身震いします。

今の世の中で一番進歩が激しいのはITの世界。そんなチャンスの多い世界で仕事ができることがたまらなく楽しいですね。いい時代に生まれました。

Amazonの金融サービス

アマゾンが金融サービスに参入?

ついにAmazon創業者のジェフ・ベゾスが世界長者番付一位になりましたね。そうだろうな、と思わせるものがあります。IT業界で一番勢いがあり、かつ貪欲な会社だからです。その目指すところがどこにあるのか、どうなろうとしているのか、天井が見えない不気味さを感じています。

ECと金融・決済は非常に相性のよい組み合わせ。以前からAmazon Payという決済サービスは提供していますが、それでもあまり本気で金融サービスに取り組んでいるようには見えません。上記の記事の中に、
ウォールストリート・ジャーナルによると、このビジネスは今のところ、それほど成功しているわけではない。
とあるのがちょっと解せません。ビジネス的にそれほどインパクトのある売上には繋がっていないのでしょうか。でも楽天を見てみれば、今や金融サービスは同社の柱の事業ですよね。クレジットカード・銀行・証券・保険と、オールラインナップで金融サービスに全力で集中しています。どうしてAmazonは同じようにしないのか?

ただの憶測ですけど、いずれ本格的に金融サービスに進出すると思います。楽天と同じように自前の銀行・証券・保険を持ち、暗号通貨の取引所や独自の暗号通貨の発行まで手掛けるようになるんじゃないでしょうか。というか、やらない理由がありません。唯一考えられるのは、独占禁止法による法的な規制ですかね。あまりに支配的なパワーを持つようになると、事業内容に制限を加えられる可能性はあります。既にそれに近い支配力を持ってしまっているように見えますが…。

これ、日本の決済代行サービスとか、一般的な金融サービスにも多大な影響を及ぼすんじゃないでしょうか。三大メガバンクや楽天がAmazonに飲まれることまではさすがにないでしょうが、規模の小さな事業者は今からどうAmazonに対抗するのか戦略を立てておかないとマズいと思います。

ウチも他人事ではありません。対Amazonという観点で見たウチの強みは何なのか、どう生き残るのか、何で差別化するのか。局所的にはAmazon Payの導入(大変お待たせしておりますが只今準備中です)はウチに功罪両面の影響をもたらします。デメリットは、決済サービスの収益が取れなくなること。どこのショッピングカートサービスもクレジットカードの決済代行業務から得るバックマージンは無視できない収益源になっていると思いますが、これがAmazonに吸い上げられて無くなる可能性があります。メリットは、モールと比べた単独カートの弱点であるクレジットカードの登録や配送先情報の入力といった面倒なステップが省けるので、単独カートの利用価値が高まります。果たしてどちらの効果がより強く出るのか。どちらにしろ、勝ち残れる戦略を構築する事が必要とされていますね。ECに携わる事業者、全てに共通する課題だと思います。

利用規約の大事さ

サービスを新しく立ち上げる時、意外と大変なのが利用規約の作成です。恐らく作った経験のある方は少ないと思いますが、これをきちっと作っておかないと実際にサービスを提供しだしてからトラブルがあった時に慌てることになります。

普通はまず類似事例を調査することから始めます。全く世の中に無い新しいサービスを作る時は別ですが、多分そんなサービスは滅多にないんですよ。大体似ているサービスや参考になるものがありますので、思いあたるサービスの利用規約を見てみます。で、それを参考に自社のオリジナリティを入れて独自の規約を作るのですが、ここで注意しなければならないのは丸パクリはダメということ。実際には非常に似通った規約文言を、社名やサービス名だけ入れ替えてパクっているケースって結構多いと思うんですが、これはやめておいた方がいいです。実は以前は規約や契約書の文言には著作権の保護が及ばないという認識もあって、大っぴら(ではないかもしれませんが)にパクっているのが当たり前という状態もありました。しかし近年の知財保護のトレンドからも著作物の認定は年々厳しくなりますし、数年前に規約に著作権保護が認められたという判例もあります。

「規約」の著作権侵害が認められてしまった驚くべき事例。

他社事例は参考にしつつも、独自の条文をオリジナルに起こすべし、ということですね。

大事なのは、信頼のできる相談先を持つことだと思います。できれば、なるべく早い段階で顧問弁護士を探して契約しておいた方がいいですね。でも費用が心配ですよね。普通はどのくらいかかるのか、調べてみました。

顧問弁護士の費用について知っておくべき4つのこと
日本弁護士連合会が弁護士に対して行ったアンケートによると、顧問料は、月額5万円が全体の45.7%、3万円が40.0%、2万円が6.7%、10万円が5.7%とされています
どうですか? 想像していたよりは安くないですか。一応世間では顧問料の相場は月額5万円とされているようです。これは昔の日弁連の報酬規定に最低顧問料5万円と決められていたのが根拠になっているようですが、今はもっと安い顧問料で引き受けてくれるカジュアルな弁護士事務所も沢山あるようです。(”顧問弁護士 費用”などで検索してみてください) 契約している顧問料でどこまで対応してくれるのか、追加費用がどのくらいかかるのか、そもそも法務サービスのクオリティは、など実際に契約してみないと分からないことも多いのですが、信頼のできる弁護士さんを抱えることは企業にとって大事なポイントになると思います。ネットショップのオーナーさんがいちいち弁護士さんと顧問契約を結ぶ必要はないと思うのですが、ウチみたいにITサービスを提供している会社なんかは一定の売上規模が見えてきた段階でいいところを探すべきと思います。税理士さんと同じで、いいところを見つけることができれば、払っているお金以上のサービスを提供してもらえるものです。あまりケチらずに必要なところにお金を使う姿勢は会社を大きくするために必要なんじゃないでしょうか。

利用規約は、ある意味サービスの裏の顔と言えると思います。地味ですが結構その会社のキャラが出ます。ウチはウチらしい規約でサービスの発展に努めたいと思っています。