知財戦争

日鉄、トヨタと中国・宝山を提訴 鋼板特許侵害で

大手日本企業同士が訴訟になること自体が珍しいですが、日鉄にとってトヨタは一番のお得意先でしょうから、なおさら今回のニュースは異例です。当然こうなる前に水面下で調停を試みたと思うのですが、今後の取引への影響を考慮してもなお争うだけの価値のある裁判だと日鉄が判断したのですね。

もう日本企業が韓国、中国企業の後塵を拝するようになって久しいのですが、その遠因に知的財産の扱いがあったと思います。有り体に言えば、日本企業が苦労して開発した知的財産をあまりにも安易にパクられすぎですよね。高度成長期には他国企業を育てるだけの余裕が日本企業にもあったのでしょうが、相手が力を付けてきた今ではもうそんな余裕なんてありません。個人的にはディズニーや任天堂の法務アクションをやり過ぎな思いで見ていましたが、これだけ日本企業が厳しい局面を迎えてしまうと彼らのやり方が正しかったのかも知れません。

この先も日本企業が量でマーケットを取る戦略は採りづらいと思います。少量・高付加価値で勝負するなら、投入した研究開発およびマーケティング予算を回収するだけの時間が必要。いかに知財を守れるかが企業の存亡を左右する時代ですね。”攻める法務”が脚光を浴びていくんじゃないでしょうか。なんとなく地味な印象の日本の弁護士が華やかな存在になっていくのは良いことでしょうね。