投稿者 岡野 幹生 日時
三重の実家に知人を連れて視察に行ってきました。現場でないと分からないことが沢山ありました。驚いたのが、年間の農作業時間の7割が草刈りだと聞いたこと。帰ってから調べましたが、田んぼのあぜの草刈りを簡単にするイノベーションは確かに見当たらないのです。トラクターにアタッチメントを付けるのは田植えのあとは使えないし、ラジコンタイプは狭い斜面では使えない。相変わらず肩から草刈り機を下げて人が歩くしかないんですね。夏場は地獄です…。
想像以上に色んな工夫をしていて、米の品目だけでも7品種も作っていたり、売り先も農協は1/4程度で残りは民間流通市場だったり、設備投資もしっかりして、やることはやっている印象でした。ただ、見える化とか、標準化はされておらず、現場責任者の頭の中にしかスケジュールも手順書もありません。改善点は沢山ありそうです。
以前にお書きした通り、合理化で生産量を追っても幸せにはならないので、高付加価値路線を追求したいところ。それにはやはりマーケットのニーズを知らないとアイデアを出せないので、主婦目線、女性の視点が欠かせないのかなとも感じています。男性の職場になってしまってるので、女性活用が近道な気がしています。
何らかのイノベーションを起こしたいですね!
投稿者 岡野 幹生 日時
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次世代農業EXPO
インテックス大阪で開催された農業関連の展示会を見てきました。ITを活用したスマート農業、ドローンを使った無人の農薬散布、植物工場用の各種設備、新しい生産品目の提案、など楽しい内容が盛りだくさんでした。
やりたいことは沢山あります。やれることは増えています。ということは、目の前に非常に沢山の選択肢は用意されているわけです。大事なのは、ゴールのイメージなのだと思います。何を目指すのか、何のためにやるのか。これはつまり、経営理念の問題ですね。ここをはっきりさせておかないと、メンバーの意識がまとまらずに方向感がバラバラになってしまう。これはどんな企業の経営でも同じことです。
落ち着いて、考えをまとめてみます。
投稿者 岡野 幹生 日時
私の実家が農業生産法人を営んでまして、父親の株式を受け継ぐことになりますので色々将来の布石を打っています。残念がら経営が古いので近代化を進めたいのですが、考えるポイントは大きく二つあります。一つは生産効率の向上で、これは量を追う戦略。もう一つは高付加価値の追求で、こちらは質を高める方向です。さて、どちらを目指すべきか?
恐らく一般的に、農業経営の近代化は生産効率を上げて量を追うことを意識していると思います。しかし天候不順や果物などの嗜好品を除いては、基本的にコメも野菜も市場全体では量は足りています。下手をすれば余っている状況で単に量を追い掛ければ、それは不毛な安値競争を招くだけです。世界全体では食糧は足りていないのかもしれませんが、こと日本市場向けのビジネスを考えるなら量ではなく質を求めなければ誰も幸せにならないと思うのです。では、質をどう追うか?
トマトやイチゴなんかは汎用品の数倍する高単価な商品が珍しくありませんよね。その戦略が、コメや麦や野菜で成り立つのでしょうか。果たして三倍の値段がする米を買うかと言われると、それはないと思います。そこはスイーツと主食の差、糖度でわかり易く差別化できないと思うのです。よほど品種改良が進んでビタミンやミネラルが豊富に摂取できるとなれば別ですが、バイオの領域は零細企業の手に負えるものではありませんからね。となると、どこでも手に入る品目は捨てて、特殊なニッチにフォーカスすべしとなるのだと思います。これも普通の農家には簡単なことではない。
私が考える高収益な農業ビジネスとは、IoTやビッグデータによるスマートIT農業か、AIやドローンやロボットなんかの最先端農機具を開発するハードウェアメーカー(但しファブレス)という発想になってしまいます。これ、普通の農業の範疇を超えてしまっていますね。今の枠の延長で考えてもスケールする気がしないのです。だからこぞって参入した大企業が軒並み撤退してしまってるんじゃないでしょうか。
一つ現実的な切り口は、あまりに劣悪な労働環境を常識的なレベルに改善してあげることです。農業には普通の労働基準法が適用されないってご存知でした? 週に一日も休日なくても構わないし、割増残業手当を払う義務もないんですよ! 現代の日本で本当にこんな運用が許されているのか、目を疑ってしまいました。
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農の労務管理ガイド
特殊なことをしなくても、普通の労働環境で、普通に収益を生み出すことはそれほどハードル高くないはずです。全国の地域農業の担い手が意識改革を進めれば、明るい農村、住み続けたくなる農村が実現できるのではないでしょうか。ますそこから手を付けたいと思っています。