「いねむり先生」伊集院静

久し振りに小説を読みました。

伊集院静氏よりも、むしろ色川武大氏に触れたくて手に取った本。

懐かしい青春の思い出が一気にフラッシュバックしてきました。



色川武大氏をご存じない方でも、「麻雀放浪記」の阿佐田哲也氏は知っているでしょう。

真田広之主演で映画もヒットしましたよね。

私が最初に読んだのは高校生の時でした。

一応県内屈指の進学校だったのですが、雀荘に出入りするやんちゃなクラスメートがいるような、今から考えれば鷹揚なところのある高校でした。

元々将棋が好きだった私は、誘われて麻雀にも深入りし、体育祭の時も隠れて部室で麻雀に入り浸ったり、夢中でした。

その時仲間内でバイブルのように読まれていたのが「麻雀放浪記」でした。

カラフルな牌図が織りなす魅惑のゲームと、魑魅魍魎が登場するアウトローの世界。

板子一枚下は地獄、という危うい綱渡りの生き方に憧れました。

ま、本当に実行する根性はどこにもありませんでしたが。(笑)



そんな作者が、本名で文学作品も書いているのだと知って、著作を読み漁りました。

色川武大氏の脅威のテクニックに驚嘆しましたね。

すごい才能だと思いました。



でも、色川武大氏の本当の魅力は、その著作でも、アウトローの生き様でもなく、人柄そのものにあったのです。

それを改めて浮かび上がらせてくれたのが、伊集院静氏の本作。

もう色川武大氏が亡くなって二十余年経ちますが、私の中では本田宗一郎氏と並んで、懐の深い大人物の代表です。

実際にお目に掛かった事などないのですが、あんなに優しく、人を受け入れて許してくれる人は居ないと思います。

小事に狼狽え、人の粗が気になる自分の小ささが嫌になった時、いつもあの人を思い出して反省します。

懐かしい、昭和の匂いが色濃く残る人でした。

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