支払いサービスがAppleやGoogleにさえ難しい理由

支払いサービスがAppleやGoogleにさえ難しい理由



ショッピングカートをご提供していると、必ず決済に関する話が出てきます。

古くからあるクレジットカード決済代行各社さんのサービスと、新興の決済専門サービスの対比とか。

一番分かり易いのはPayPalです。

日本の会社には100年経っても実現出来そうにない画期的なスキームなんですけど、その後がなかなか出てきませんよね。

個人的には「Checkout by Amazon」や「Google Checkout」、更に「Apple ID」なんかが有望だと思うのですが、「Checkout by Amazon」はUS、「Google Checkout」はUS/UKに未だにマーチャントを制限しており、「Apple ID」は他社への決済機能を提供していません。

どうしてこのあたりが広まらないのかという疑問に対する答えが、上記のサイトを読むと見えてきます。

両社共に中刻部分に関していくつかの困難に直面している。互いに相手の弱点を強みとしていることは興味深い。Googleはカスタマーサービスに弱く、Appleはテクノロジーに起因するリスク管理に弱い。



カスタマーサービスは支払いサービスで非常に重要だ。そこにはお金のやりとりがあり、アカウントの制限、詐欺行為や損害への対応などによって事態は複雑化し、買い手、売り手双方からの質問の原因となる。Googleは、人間の対応が絡むことでは必ず失敗するところを見せてきており、Google Checkoutユーザーからのフィードバックもこれを裏付けている。つまり、今後の成長のカギはGoogleがいかにうまく顧客に対応し、カスタマーサポートのスケーリングを行っていくかにかかっている。これは、過去Googleが得意としてこなかったことの一つだ。



二番目のポイントがテクノロジーだ。私はよく、支払いにおけるリスク評価はテクノロジー主導であり、(業務遂行、ユーザー体験と共に)サービスの主要部分であると言っている。支払いサービスに参入しようとする企業には、詐欺行為をリアルタイムで発見し、資金移動を追跡してマネーロンダリングを防ぎ、侵入されたアカウントを検出して停止するなど、することがたくさんある。Appleはユーザー体験とカスタマーサービスに関してはすばらしいが、中核となるソフトウェア技術、特に支払い部分に関しては欠けているようだ(昨年のiTunes詐欺事件でアカウント侵入や偽支払いが起きたのが良い例)。PayPalで、Max Levchinをはじめとする多数の優秀な人が、詐欺行為を防ぎリスクを管理するために夜を徹して働かなくてはならなかったのには理由がある。これはきつい仕事だ ― しかも10年間にわたってリスク対応を最適化してきたPayPalの上を行かなくてはならない(そのPayPalも多くの問題に直面している)。大企業の中でこの機能を作り上げることは容易ではなく、Appleにそれが可能であるかどうか私にはわからない。
確かに。

PayPalを利用していて一番悩ましいのがアカウントのロック問題ですが、国境を越えて行われる悪意のある詐欺行為や、怠惰なマーチャントの不誠実な販売対応の尻ぬぐいをしていると考えるとPayPalを責める気にはなれません。



個人的にははやく旧式で時代錯誤なクレジットカード番号のオンライン入力という習慣が無くなって欲しいのですが、広く普及したアカウントを持っている有望な企業、Amazon・Google・Appleのうち本格的に支払/決済サービスに取り組む用意が出来ているのはAmazonくらいなんですね。

まさか楽天の決済が世界に拡がるとも思えないし、この業界は10年後も大して様子が変わっていないのかも知れませんね。

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