ヨーロッパ訪問雑感

ここ数年掛けて、ドイツ・イタリア・イギリス・フランスのヨーロッパ主要国をじっくり廻ってみました。

基本的にはレンタカーを借りて、首都に限らず、可能な限り広い地域を周遊するスタイルです。

色々感じること、見えることが沢山ありました。



1.ヨーロッパは一つではない

 「欧米先進国」とか「ヨーロッパ主要国」なんて括りで話をする事が多いのですが、実はそういうまとまった存在というのは無くて、それぞれの国によって国情は様々でバラバラだという事です。いわゆる工業国というのはドイツくらいのもので、誤解を恐れずに言えばイタリアは先進国として取り扱うこと自体がどうかというくらいレベルが少し落ちるカンジです。勿論歴史のある国で、非常にキレイな街並みを維持しているのですが、大きな企業が少なく、国のインフラも整備されているとは言えません。基本的な約束事が守られないとか、合理的なシステムが構築されているとは言えないところも目に付きます。その意味ではドイツが一番日本に産業面からは近いですね。イギリス・フランスは、共に産業の活力維持という面からは苦労している事が伺えます。ウィンブルドン現象と言われるように、イギリスは庇を貸して母屋を取られる事が多く、近年は金融方面を主力産業と位置付けて来ましたが例のリーマンショック以来ポンドの信任は落ち込む一方でもがいています。産業革命発祥の地ですが、新しい成長の芽をどこに見出すのか非常に苦しんでいますよね。フランスに至っては工業立国をはなから諦めているフシがあり、そもそも社会システムの維持の為に積極的に移民政策を取っていますが、これが裏目に出ている気がします。街を歩いていても非白人が目に付き、治安の良いエリアと悪いエリアの差が大きいですね。これは市民全体の大きなストレスになっているんじゃないでしょうか。



この様に、各国が抱える課題は異なっており、どこも苦労しているな、というのが実感です。





2.如何に成熟するか

 アメリカを含めた欧米先進国五ヶ国と日本に取っての今後の大きな課題が、成熟化へのストーリー構築です。人口は増えない。アメリカの一部に新産業育成の特異点(シリコンバレー)があるものの、各国共に新産業の育成には苦労している。でも資本主義社会は何らかの成長要因を保持しないと上手く回転しない。新マーケットに向けてあくまで量的拡大を目指すのか、国内に目を向けて高付加価値路線を取るのか。そもそも国内システムの維持に移民なりのテコ入れを取るのか、取らないのか。最近この将来モデルの考察に参考になる意見がポツポツ出てきています。



日本はアジアのイタリアに



または逆に日本の状況が評価される見方も増えており、犯罪率の低い良好な治安・国民皆保険に見る公的医療制度の充実・先行き不安とは言うモノの一定の整った年金基盤・それなりの産業規模・文化的な成熟、を実現しているのは実は他国が目指すべき良いモデルなのではないのかとまで言われています。我々自身が先行きに不安を覚えて先行する良いモデルを探しているのに、日本が手本だと言われても困ってしまうのですが…。私達はどこを見て進んで行けば良いんでしょうね?





3.中国との付き合い方

 これはもはや世界的テーマです。パリは世界一の観光客を誇る都市なのだそうですが、その通り非常に沢山の中国人観光客であふれかえっていました。周囲を憚るでもない彼らの声高な会話が路上でもお店の中でも空港でも飛行機の中でも蔓延しており、正直あまり愉快な気持ちにはなりませんでした。ああ、何十年か前に日本人が大量に海外旅行に出掛けた時、先進国の人たちはこういう思いを抱いたんだなと実感しました。世界の1/4が中国人なのですから、これは今後も世界中の街角で目にする光景でしょう。日本も必ずそうなります。中国の発展が今後どこまで続くのか、それはどの程度のレベルにまで到達するのか、人々の洗練度合いが一定の水準に収束するまでどれほどの時間が掛かるのか、誰にも分かりません。しかし世界の全ての人が向き合う覚悟を求められています。あなたは気持ちの準備が出来ていますか?





一つ言えるのは、日本という国の特殊性は特筆に値する、という事です。

こんな国はどこにもありません。

どこを守り、どこを変革していくのか。

鎖国に戻れる訳ではありませんから世界と付き合って行かざるを得ないのですが、後戻り出来ない事柄もあります。

特に人の問題は、一旦受け入れてしまえば後からしまったと思っても手遅れです。

進めるにしても、シンガポール的に高度な知識層に限定した移民策を考えるべきだと思いますね。



若い方は、是非積極的に国外に目を向けて下さい。

外を見ないと、外から見ないと、この国のカタチは見えてきません。

私達も次の世代に良い日本を受け渡し出来るよう、最善を尽くしていきたいと思っています。

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