日本の諸問題への処方箋

今の日本が抱える深刻な問題。少子高齢化、経済発展の沈滞、年金・社会保障システムへの不安。これらは共通の根っこから生じているように思えます。つまり、「良い死に方が見えない」ということ。実は、これは簡単な処方箋があると思っています。それは、余計な延命治療をしないこと。

最悪なパターンは、比較的体が元気なのに何らかの病気でベッドに寝たきりになったまま家族の介護の世話になること。10年、20年と家族の手を患わせることになるなんて考えたくないですよね。人生の幕引きが見えないから、不安になる。幾らあっても足りないと思うから、必死で貯め込む。悪循環の沼です。これ、本人も家族も社会も、誰も望んでいないことですよね。ではどうしてこの最悪のパターンを皆が恐れてビクビク暮らしているのか。死ぬ勇気が足りないからです。

五月に私の親父が亡くなりました。もう二十年もガンや心臓病などで苦しんできましたが、最後まで死ぬことは怖かったようです。私もいざその場を迎えたら、同じように思ってしまうのかも知れません。それでもいま思うことは、自分が自分らしく生きられなくなったら、それは幕引きの時が来たということだろうと。人間、自分の口でモノを食べれなくなったら、それはもうダメってことなんです。胃ろうや点滴で少しばかり時間を延ばしたとして、それが何になりますか。だから私は余計な延命治療は無用だと家族に伝えてあります。

これ、誰にでも取れる終活で、コストが掛からないんですよね。最後にお世話になるのは、せいぜい半年から一年程度。時間が読めれば、必要な経費も逆算できます。何千万円もおカネを持っておく必要なんてないんですよ。理想は安楽死が認められることですが、それは日本ではなかなか難しいでしょうから、最後の治療方針についてだけは自分がイニシアティヴを持っておく。ここが大事なんじゃないでしょうか。

もしこれが世の中に広く受け入れられれば、色んな話が変わってくると思います。年金や医療リソースは大きく節減できるでしょう。老齢世代から若い世代への所得移転がもっと進みます。社会のセーフティネットが軽くなるから、税制や規制をもっと身軽に制度設計できる。フラットタックスの実現、地方自治の裁量を増やす、安全・安心よりチャレンジを重視。これらは難しい政治のステップを踏まなくても、個人個人の気持ちの持ち様だけで実現できる、ある意味簡単な対策です。

人に迷惑を掛けず、人の役に立って死んでいきたい。それはみんなの共通意思ですよね。ただ長く生きるより、尊厳を大事に死ぬ。これが子どもや孫の世代のためになる生き方なんじゃないでしょうか。笑顔でバイバイって逝きたいですよね。Hasta la vista, baby

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