中国のゼロコロナ政策の行方は?

上海が大変なことになっていますね。中国はここまで”ゼロコロナ政策”を採用して、上手く機能していました。「ゴキブリが100匹出るのを待ってから退治するより、一匹でも出たときにすぐ退治する方がいいに決まってる」というのは非常に説得力のある説明でした。ここは欧米や日本のような民主主義国が真似できない一党独裁政権国家だからこそできる強権を発揮して、ある意味世界の最先端でした。これがオミクロン株で包囲網が敗れたのか、一気に大都市圏で感染者が増えてしまっています。上海という人口2500万人の超大都市でロックダウンが成功するのか、ハラハラしながら成り行きを見守っています。

友人が上海に住んでいて逐次Facebookで近況をアップしてくれるのですが、上海の一般市民はメディアの報道よりもはるかに民度の高い落ち着いた対応をしているようです。配給制の食糧や手元の物資を同じマンション内で融通していたり、グループチャットでマメに情報をやり取りしていたりと、みんな利己的な振る舞いを抑えてなんとかこの急場を凌ごうと必死な様子。なんとか乗り切ってほしいですね。

中国政府はこの先もゼロコロナ政策を放棄するつもりはなさそう。上海や深圳といった一部の大都市で感染が拡大しているものの、他の大部分では相変わらずゼロコロナ政策下で平和な日常を享受しているらしく、コロナを受け入れる理由がないのだとか。上海の成り行きが今後を大きく左右しそうです。

これは決して他人事なんかではなく、いまや中国のサプライチェーンと無縁の国も企業もあり得ないのですから、中国が混乱して生産が滞ればウクライナ危機どころの影響では済みません。欧米は高いインフレ率の押さえ込みにやっきですから、中国のコロナ対策と併せて世界は臨戦態勢です。日本だけがインフレプレッシャーから置いていかれている不思議な状況ですが、ここからの半年がこの先の数年を左右する大事なターニングポイントになりそう。中国政府とアメリカFRBの手綱捌きに期待します。