クルマイベントの理想形


Pebble Beach Concours d'Elegance

世界最高のクルマイベントはなにか? そう聞かれたら、迷わずにMonterey Weekend、と答えます。世界トップの自動車大国アメリカ、その底力を否応なく見せつけられる圧倒的なパワー。こんなに華やかな世界が現実に存在するのかと思える、クルマ好きの楽園ウィークなのです。対抗馬はGoodwoodですが、こちらは私はまだ見に行ったことがないのではっきりとはご紹介できません。(この状態で世界トップと断言するなという話ですがw)

Montereyの良さは、複合的なイベントの集積にあります。Pebble Beach Concours d'Eleganceでのコンクール、Rolex Monterey Motorsports Reunionでのレース、各種コンクールやギャザリングが他にも沢山あり、夜はオークション。モントレー半島中がクルマ一色に埋まるこの一週間を楽しみに一年を過ごすカークレイジーが世界中から集うのです。

これを日本で作れないのか。過去沢山の日本人が摸索してきたと思いますが、なかなか形にならない。CARZYが上手く立ち上がったら、これにチャレンジしてみたいですね。多分クルマ業界のしがらみに無縁な私のようなアウトサイダーの方が良い距離感を保てるのだと思います。日本のクルマ社会の層の厚さ、深さを最近つくづく思い知っています。でも残念ながらそのポテンシャルが出せていない。オーガナイザーが狭い自分の商売目線に凝り固まっているのが元凶なんじゃないでしょうか。

理想のクルマイベントを日本に。これも新たな目標ですね。

CARZY The Sports Car Heritage Gathering 2018 KYOTO


CARZY The Sports Car Heritage Gathering 2018 KYOTO

大雨の中、予定通りに京都の北野天満宮にて表記イベントを執り行うことができました。ご参加頂いた皆さま、ご来場のみなさま、そして北野天満宮関係者さま、スタッフ一同、本当にありがとうございました。

当日は警報が出るほどの雨脚で、正直当初エントリーの半分も来車頂ければいいか、なんて西川さんと話していたんですが、結果的にはフルオープンのおクルマが2台だけ欠席されただけでなんと58台もの名車にお集まり頂きました。みなさんのクルマ愛と西川さんへのお気持ちを考えるだけで、感無量です。改めて御礼申し上げます。

当日は、事情で参拝できない西川さんに代わり私が代行で本殿参拝をさせて頂き、全国の天満宮の総本山である北野天満宮さんより交通安全祈願をご祈祷いただきました。そもそもどうしてこのイベントが始まったのかと申しますと、全国の天神さん12,000社は菅原道真の故事にならって牛がシンボルマークとなっているのですが、他の社は全て臥牛(伏した牛)なのに対して、北野天満宮さんだけは全国唯一の立ち牛。この姿がランボルギーニのエンブレムと酷似しているところから、クルマのイベントの話が持ち上がったという背景です。少々強引ですねw

天神さんの七不思議

ランボルギーニ誕生秘話!あの"猛牛"の由来とは!?

このイベントは正式には三回目なのですが、当初は暴走族が騒いでいると警察に通報されたのも笑い話、いまや参拝者から「あの名車が集まるイベントは今年はいつやるのか」とお問い合わせが入るほどの定着ぶりです。我々クルマ好きからすると一般の方に関心を持って頂けるのは嬉しいことですね。EVや自動運転の時代になっても、名車の魅力は人を惹き付けるものなのだと思います。

境内をご案内頂いたあとは、新設された文道会館にてトークショーが開催されました。

・トークショー1
   『京都からクルマの文化と産業を語る』
    産業代表:齊藤壽一氏(堀場製作所副会長)
    文化代表:鮒子田寛氏(京都出身、日本のレース界黎明期の第一人者 日本初のF1ドライバーにしてル・マン24時間レースドライバー)

・トークショー2
   『カー&ドライバー誌表紙作家が語る、クルマのカタチ』
    岡本三岐夫氏×渡邊アキラ氏

京都という伝統文化の担い手が、実は現代のクルマ業界にどれほど深く関与しているのか、クルマ好きも唸る深いお話しを聞かせて頂きました。また、クルマ雑誌の表紙を飾る素敵な原画を前にして、作家本人が制作の裏側を語るトークも普段知ることのない裏話を聞けて興味深かったです。

最後に私どもの新サービス「CARZY.net」のご紹介もさせて頂きまして、これからのクルマ文化をより発展させていくお手伝いをさせて頂きたい旨をお話しいたしました。

15時からは地元警察車両の先導の元、北野天満宮から名車によるパレードをして解散という流れでした。

みなさん、ご無事に帰路につかれましたでしょうか。恐らく普段は絶対に雨の中に出さないおクルマも多かったことと思います。ちらほら帰宅後に愛車を乾燥させてお手入れされている様子も拝見しました。申し訳ない気持ちもありますが、イベントへのご協力のお気持ちを有り難く承りました。ご遠方や札幌や宮崎からご参加の方もいらっしゃいましたので、お一人お一人のお気持ちが本当に嬉しかったです。

このイベントは毎年継続して開催して参りますし、今後はCARZY Live!も復活させて各地でクルマ好きの皆さまにお目に掛かりたいと思っております。どうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます!

クラシックカー取引の注意点

恐らく多くの方はクラシックカーを実際に買ったことはないと思います。私もそれほど経験があるわけではありませんが、仕事がら多くの事例を見聞きしてきました。非常に経験の深い方のお話しをお聞きする機会がありましたが、現実の状況は普通の常識とはかけ離れた世界です。

普通の方は、買ったクルマは万全の状態であると信じていますよね。ここがそもそも違います。確かに国産・輸入車を問わず新車をディーラーで購入すれば、それは安心できます。新車保証もついていますから、通常は3年程度はメーカーが品質を保証し、何かあれば無償で交換・修理対応が受けれます。

しかしこれが中古車だとどうなるか。普通は販売店が保証を付けているでしょうね。これはお店によって違いますが、概ね1年、年式の古いクルマでも半年程度は保証を付けるでしょうね。逆に保証を付けれないなら、その店は自信のないクルマを売っているのかという話になります。ここも当たり前として皆さんお考えでしょう。

これがクラシックカーになるとどうなるか。保証はあり得ない世界になります。何故なら、そもそも何十年も昔のクルマが万全のコンディションで保存されていることは皆無に等しく、誰も責任を負えないのです。クルマを構成する部品は3万点と言われていますが、この中にはゴムやパッキン、マウント、シール、などの経年劣化する部品も含まれています。そもそも機械部品が壊れずに動く限界は、普通に考えて10年がいいところでしょう。クラシックカーの世界は製造後何十年、ヘタしたら戦前のクルマを扱うわけです。壊れていない訳がない、という話なんですね。ここを普通の新車や年式の浅い中古車の感覚で考えると、トラブルになります。

極端な話、引き渡されたクルマを受け取ったその場で運転して、動かした途端に壊れた、なんてことが本当に起こります。エンジンの始動一つ取っても、クセのある個体もありますから慣れた人が扱わないと一発で壊れます。半クラッチの扱いも細心の注意が必要です。不慣れな人間が不用意に動かすと、その場で壊れます。これをクレームであげてしまうと、売り手も困ってしまうのですね。ですから、現状渡しでノークレーム・ノーリターンがクラシックカー取引の原則なのです。

そんな世界は怖くて入れない、入りたいけど入れない。そんな人が沢山いらっしゃることと存じます。確かにそれなりに気合いを入れないと踏み込めない世界ではあるのですが、そこでしか得られないワクワクする魅惑の異次元ワールドがあるのも事実なんです。私たちは、この世界への取っ掛かりをご提供したいのです。

怖くて入れない空気を醸し出しているのは、一つには業界のプレイヤーの体質に問題があります。端的に申せば、古いのです。信じられないかもしれませんが、クラシックカー取引の世界では、売り手が主人で、買い手は僕(しもべ)なんです。売ってやる、買わせて頂く、が当たり前。これっておかしいですよね。そもそもは情報の非対称性が存在したからこその慣行なのだと思います。クルマ屋さんの方が詳しかったんですね。しかしこれはネットの時代で様相が一転しています。今や情報収集能力の高い個人の方が、情報に関しては専門のクルマ屋さんを上回ってきていると感じています。時代が変わったのです。

私たちの思いは、このネットの普及した二十一世紀に適した、現代的で透明性の高い合理的なプラットフォームをご提供することにあります。古い業界を、今風のイケてる業界に変えたいのです。そしてこの世界に新しい顧客層を生み出したい。そしてクラシックカーの世界を活性化させ、発展させたいのです。そこにみんなの笑顔が待っているはず。

色々ハードルがあるとは思いますが、このサービスの手応えを感じています。皆さんと繋がれる日がくることを楽しみにしています。

CARZYが目指すもの

トヨタの豊田章男社長は言いました。「愛と付く工業製品はクルマくらいですよね」と。そう。家電やスマホに愛という言葉はあまり使いませんよね。でも自分の愛車をそれこそ子どものように愛でるクルマ好きは沢山います。それだけクルマというのは思い入れの持てる、愛着の湧く存在なのです。

いま、100年ぶりにクルマ環境が激変しつつあります。移動の手段としての社会インフラの側面が強くなり、自動運転やシェアリングサービスなど、どんどんクルマがコモディティ化していきます。それは社会の要望に応える道ですから、否定はしません。しかし、一定数のクルマに愛を求める層の気持ちは置いてきぼりなのです。CARZYはCar Crazyのために、思い入れを持てるカーライフの充実に貢献したいと考えています。

私たちはそのために、コレクタブルカーの個人間売買サービスをご提供しようと考えました。対象をコレクタブルカーに絞ったのは、愛着を持てる対象としてのクルマにフォーカスしたいからです。ミニバンや軽に存在価値がないとは言いませんが、次世代に残す価値のある趣味性の高いクルマとしては対象にしない。クラシックカー、スポーツカー、希少車、そういった愛すべきクルマ達をまずは専門に取り扱いたいのです。

個人間売買サービスというコンセプトは、現状の中古車業界について恐らく多くの人が感じている問題点を解決するための手段として考案しました。ネットというディープインパクトがもたらされて早20年が経ちますが、いまだにクルマ業界は古い体質を抱えたままです。沢山の分野で情報の非対称性が解消されつつあり、数多のマーケットプレイスが市場の歪みを補正してくれています。いまやネットで消費者が必要な情報を入手できて当たり前。なのに、中古車に関してはあまりに仕組みが古いのです。それは趣味車の分野において顕著。クラシックカーに興味はあっても入っていけない。難しそう、だまされそう、なんだか怖い。そんな印象を一般のクルマファンは拭いきれず、派手なパレードを遠巻きに眺めているだけだったのです。

何が原因か。私たちは、透明性の高いマーケットが整備されていないことに原因があると考えました。コンセプトのイメージは明確。「趣味車の分野におけるメルカリ」です。売り手と買い手が直接つながる、オープンで透明性の高い現代的な取引市場が求められているのではないでしょうか。これは中間業者の中抜きと考えられるかもしれません。確かにその側面は否めませんが、それ以上に公明正大なマーケットの創出は新しい大きなユーザー層の創出につながると信じてもいます。多少の摩擦があったとしても、結局は業界全員の幸せに結びつく。それは歴史が証明する真理だと思います。

いま、少しずつ準備を進めています。最初に公的な場所でお披露目させて頂くのは、5/13(日)の北野天満宮でのイベントです。CARZY The Sports Car Heritage Gathering 2018 KYOTOでお目にかかりましょう!