農業の未来は?

日本の農業に「規模拡大」なんていらない ー 根本的にズレている安倍内閣の農政



日本が少子高齢化社会を迎え、定年退職後の生き方が大きなテーマになりつつあります。抜本的に定年が延びない限り、退職から年金の受給までの空白期間をどう凌ぐか苦慮されているシニアも多いことでしょう。一つの選択肢になるかも知れないのが「帰農」、つまり故郷に帰って農業に就業する生き方ですね。この記事には幾つか重要な指摘があります。
・日本の農産物輸出額は低すぎる

・穀物生産(つまり米作)は儲からない。儲かるのは、野菜と畜産

・野菜/畜産に大規模農地は不要
なるほどね。私の実家(三重県)は農家でして、日本の平均耕作面積が約1ha規模のところを、約30〜50haほどの面積を手掛ける農業法人を父親が経営しています。その田畑の多くが担い手のない老人世帯の耕作地で、農協が一旦受け皿になった後に地域のやる気のある農業法人/個人に耕作委託に出しています。今のところその殆どが米作です。農家は皆自分の田畑に愛着があるので、都会に出て行って帰ってこない息子を待ちながら親が細々とコメを作っているのですが、コンバインや田植機が故障した時が転機になります。高額な修理費を払って自分で農業を続ける自身がなくなると、体のことを考えて自作を諦めるんですね。で、委託に出す。



この前実家に帰った時に父親の農業法人の決算書を見てみたんですが、驚きましたよ。補助金の多さに。雑収入に計上されている補助金の額がほぼそのまま経常利益になっている状況に目眩がしました。政策が変わったら経営成り立ちませんものね。危なっかしいんですよ。しかも補助金で購入した資産(土地・農業用機械類)は資産圧縮なんて特例もあって、その年には税金を払わなくて良い特例付き。まあ補助金の効果を減殺させないための手法で、減価償却費も積めないから長期的には帳尻が合うんですけど、目先のお金を確保してあげる為に至れり尽くせりなんですよ。



農業というものを、地域の環境保全やコミュニティ維持と絡めて考えるから、話しがややこしくなるんですね。確かにこの記事にある通り、帰農するシニアを考えれば大規模農業なんて進められたら付いていけませんからね。今時の大規模農業法人が使用する機械はすんごい高いんですよ。コンバインも田植機も1,000万円クラスは当たり前。それに自前の乾燥・脱穀施設や倉庫を確保すると、本当にちょっとした製造業並みの投資が必要になります。とても年金をアテに食いつなぐ元都市生活者の手には負えません。



どうするのが良いんでしょうね? 野菜はともかく、米作農家が畜産に転換するのはとても無理でしょう。ノウハウもスキルもありませんからね。コメがこれだけ沢山作られているのは、他の品目に比べて圧倒的に手が掛からないという大きな理由がありますから、野菜も大変ですよ。そこを付加価値の高い品目を選択して輸出ルートの開拓まで視野に入れて動くとなると、本当にビジネスセンスが必要だと思います。ハードル高いですね。あと、帰農に関して大きな障害になるのが、奥さんです。定年前からマメに顔を出していれば良いんですが、それをしていないと年を取ってからいきなり全く知らない田舎のコミュニティに入っていかなければならず、実際に苦労していらっしゃる例は私の実家周辺でもありました。



私の結論としては、やはり若手世代に新しい経営を担ってもらうしかないんじゃないでしょうか。儲かる農業モデルを実現してもらって、定年後の帰農ではなくて、積極的な職場としての魅力で人を惹き付けるようにならないと展望は開けないと思います。大規模農業には従業員としてそれなりに人手が必要なのは事実なので、シニアにはビジネス経験を活かしたアドバイザリー的なポジションが良いんじゃないでしょうか。人のマネージメントとか、販路開拓とかね。



そろそろ50年、100年先を見越したビジョンが必要な時に来ています。都会で燻っているより、実は美味しいかもよ>若人の諸君!

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