シャープの未来は?

経営危機が伝えられるシャープですが、果たしてどうなるのでしょうか。SONY・Panasonicに劣るとはいえども関西の家電の雄、今の苦境は痛々しい限りです。今年夏の社債償還が2,000億円もあるそうで、Wikipediaを読んでみましたが正直絶望的な気分になりました。「経営危機」と題された項目にある危機の原因として挙げられている部分をご紹介しましょう。
1.堺工場は稼働しなくても年間1,000億円の赤字が出るため、無理に稼働した[ 10]。販売量より多い生産をし、それを本社が市場価格より2割程度高く買い、在庫と潜在的赤字が積み上がった。[ 11][25][ 12]。またほとんど当時稼働していない堺工場の損失を、東日本大震災関連の特別損失として計上したが、一流企業ではあり得ないという[26][ 13]。

2.市場が高価格・大型液晶を求めていない[ 14]のに、目標を転換せずにそのまま赤字体質を積み上げた。クアトロン[ 15](通称「チーズバーガー」)が市場で受け入れられなかったことにもかかわらず生産を続け、工場に在庫が積み上がった。大型パネル工場では必要とされるスマートフォン用の小型液晶をうまく生産できなかった。

3.堺工場で不具合があると、自分たちで確認せずにサプライヤー全部を集めて確認させる[ 16]など、サプライヤーに不満がたまった。他にも「シャープとは二度と取引したくない」、「性質の悪い企業」(マスコミ)などという声がある[27]。

4.ソニーに対して受注量を納められなかったことが複数回あった。東芝にも納入遅延を起こした。そのとき悪びれもしなかったという。ソニーは出資比率に応じて堺工場の液晶を買う予定だったが、片山社長のソニー役員に対する横柄な態度もあり、提携を解消しサムスンと組んだ[
17][28]。アップル向けの納入遅延を2012年3月と9月(2ヶ月遅延)に起こしている。以上などの理由により外販が伸びず、設備は余剰となった(2012年8月現在外販比率1割)[ 18]。

5.アクオスフォン用の米クアルコム製の中核半導体チップを入手できずに、自分たちの生産目標も達成できなかった。(サムスンは入手し、Galaxy S IIIに使い大成功を収めた。)

6.信用が増すにつれ、社債などの直接金融に頼るようになり、銀行との関係が希薄になった。

7.2000年頃の購買部門のミスで独自の薄膜系太陽電池の工場を作ったために、工場の買い手が現れない。2011年8月頃から世界中で太陽電池メーカーが倒産・撤退・赤字化しているのに、撤退の決断ができなかった。(シャープ自体も5期連続赤字。特に2011年度は売上高2200億円に対し、赤字が220億円。)

8.液晶に投資しすぎた。液晶関係で亀山工場と堺工場だけでも投資額は9,450億円である。自己資本比率は亀山以前の01年3月期には47.1%あったが、12年6月末は18.7%。販売の7割を液晶に頼る「一本足経営」となり、液晶市場の不振が屋台骨を揺るがすことになった[
19]。1兆円を超える有利子負債はシャープには大きすぎるという。それ以前にはほぼ無借金経営を続けていた。

9.片山社長時代に液晶部門担当者を主要部署に配置した。このため液晶部門が手薄になった[29]。

10.「エコポイントなどでテレビが売れたため市場が回復したと判断を誤った。」2012年8月27日に奥田隆司社長が労働組合を訪問した時に言った言葉である[30]。

11.2012年第1四半期(2012年4-6月)の売上原価率は99%であり、年間販売管理費4,000億円がそのまま赤字になっている。2012年3月期まではだいたいバランスがとれていた。

12.韓国は戦略的ウォン安を仕掛けたという。また韓国の電力コストが日本の3分の1と安い(国営電力公社は年間4兆ウォンの赤字[31])。中国、台湾なども低コストで品質の高い(ガラパゴス化していない)機種を大量生産している。シャープの国内生産では全くコスト的に太刀打ちできなかった。

13.新企画が出てきた。(1)目覚ましベル付きテレビ(AQUOS H7 40V)[32]、(2)コピー機上部に外付けするプラズマクラスター発生器(一式約10万円)[33][ 20][34][ 21]。

14.日本の税制上、巨大設備に必要な投資ができにくい(御手洗キヤノン会長)[35]。

15.世界経済が危機に陥ったとき、日本全体として技術と品質の高度化[36]を選び国内需要を確実なものとし、世界市場の獲得につなげようとした。それが「ガラパゴス化」を生んだ。逆に中国(レノボ、ハイアールなど)・韓国(サムスン(三星)、LG、現代(ヒュンデ)など)、台湾(TSMC、鴻海などファンドリー)は徹底したコストダウンにより急激に成長する新興国市場を獲得し、その後簡潔な機能を重んじるアメリカ市場で勝った。低コスト・高品質[37][38]のこれらのメーカーとの競争に敗れた日本は、生産委託、進出、提携しか選択肢はなくなった。当時の日本の集団思考(グループシンク、集団浅慮)の結果が液晶やエアコン市場などでの没落に現れた[39][40][41]。

16.米VISIO社と台湾・瑞軒科技(AmTRAN)の2社には韓国LGディスプレーが提供する損失補填資金があった。友達光電(AU)や奇美電子(Chimei)も同様な仕組みを持っていた。また大手ファンドリーが、日本から発注されたパネルを増産し中国のメーカーに横流しをする。中国メーカー製品は日本製品と同等品質で、開発費負担が無い分もうけが大きいか安く販売できる。それらの仕組みの中に日本企業は入っていなかった[42]。

17.トップ経営陣の争いと迷走[43][44]。事業本部長が持ち込んだ再建プランを「経営改革は外資系コンサルタントに任せる」として、奥田社長は受け取らなかったという[45]。重要な交渉時期に、奥田社長が巨額赤字を計上した12年11月の中間決算発表の説明に追われ、その空白期に(代表権がない)片山会長が影響力を持った。

18.個々の企業の問題ではなく、日本銀行の無策による超円高が原因である。せめて1$=100円なら競争できた(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)[46][47][48]。

19.両者と取引がある人が『鴻海が「売れるものが良いもの」と考えるが、シャープは「良いものが売れる」と考える。』という[49]。

20.オンリーワン技術が競争上の強みになるとは限らない。アップルの新型iPadで採用したのは、シャープのIGZOとサムスンのアモルファス液晶パネルだが、IGZOの解像度をわざと落としている。1社からの調達は安定性と価格から見て危険であるからだ。シャープとの提携に独自技術を守る日本の役所が出てきて、鴻海は困惑を感じている[50]。
うーん、これは短期間に挽回できる気がしませんね…。一番の問題は、この状況が長引いて優秀な技術者が会社を離れてしまうこと。早い段階でギブアップして会社更生法(or民事再生法)を申請した方が良いんじゃないでしょうかね。で、経営陣を入れ替えない限り抜本的な改革は出来ないと思います。ま、こういうところを迅速な意志決定に踏み切れるようなら今の危機を招いていないんでしょうけど。ボロボロになって手遅れになる前に、出直してくれ!

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コメント

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Cadeau 日時 :

いつもお世話になります。

毎回拝読させていただいています。



さて記事の2行目に、



今年夏の車載償還が・・・



とありますが、 社債償還 の変換の間違いだと思います。



車載償還って変換されてしまうくらい、車がお好きなんですね。^^

CONTACT岡野 日時 :

Cadeauさん、ご指摘ありがとうございました! (^^ゞ

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