Webの限界と可能性

最近感じるのは、Web、特に日本市場におけるWeb業界の頭打ち感です。概ね、普通の日本人にはパソコンもスマホも行き渡りました。一日の始まりにその日のニュースをTVではなくネットから得ている人も多いでしょう。メールは今や完全に社会のライフラインですし、買い物も実店舗を回って店員のレベルの低さに呆れるくらいなら最初からネットで買った方が良い。Facebookで知人の近況を見るのが楽しみ、という人も増えていると思います。もうWebは特別な人のものじゃない。



それでも、Webには依然として限界があります。”リアル”と”バーチャル”という言葉で現される通り、今でも現実の人と人の繋がりこそがリアルであり、ネットはそれを補う存在に他なりません。限りなく拡張されていくかに思えた仮想現実の世界に、我々はどこかで歯止めを掛けてエスカレートし過ぎない限界を設けているのですね。そのバランスが、見えてきたのが今年あたりなんじゃないでしょうか。



ネットを過小評価するつもりはありませんし、その必要もありません。世界が一つの神経系で結ばれ距離と時間を超えてコミュニケーション出来る現代は、まさに驚異です。ある意味夢の世界ですよね。そして、このパワーを活かせるかどうかは、結局個人のリテラシーにかかっています。他人とコミュニケーションしたいという欲求、発信するに値するコンテンツ、その表現方法、全て個人の資質に大きく依存します。分かり易く言えば、その人が面白いかどうか、です。



人には承認欲求があると思います。もはや衣食住に困らない先進国に生きる身としては、これこそが日々の最大のテーマなのかも知れません。勿論人によってスタイルは異なりますので、ひっそり身内に対してだけコミットする人もいるでしょうし、出来るだけ目立ちたい人もいるでしょう。でも自分を知って欲しい、認めて欲しい、という願望は多くの人の胸の内にあるのだと思います。その発露の場としてWebが使われるのなら、幸福感を実現するステージとして得難いポジションであり続けるのでしょう。



22世紀はどんな世になっているんでしょうね。知らない世界を想像するとワクワクします。SF映画を見るだけじゃなく、未来に繋がる先端領域で仕事が出来ることがこの上ない歓びであり誇りです。人生が旅であるなら、なるべく船の前にいたいなと思っています。

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kitune 日時 :

そういえば宇野常寛という評論家が朝日新聞2012年8月25日夕刊「オウムは終わったか」という記事の中で

「オウム真理教を生んだ社会構造の半分は既に解決されつつある。孤立した若者たちが手軽にインターネット上のコミュニケーションに接続し自分の居場所を見つけられるようになったからだ。昔だったらカルト宗教しか受け皿がなかったような寂しい若者たちが今ではネットを通じてサブカルチャーのコミュニティーに加入して仲間を見つけ充足している。ネットの潜在力がオウムの問題を半ば自動的に解決してしまった」

と述べていました。ネットがカルトの防止に役立っているとは盲点でした。

kitune 日時 :

そういえば評論家の宇野常寛が8月25日朝日新聞夕刊の「オウムは終わったか」という記事の中で「オウム真理教を生んだ社会構造の半分は既に解決されつつある。孤立した若者たちが手軽にインターネット上のコミュニティーに接続し自分の居場所を見つけられるようになった。昔だったらカルト宗教しか受け皿がなかったような寂しい若者たちが今はネットを通じてサブカルチャーのコミュニティーに加入して仲間を見つけ充足している。人々がこれほど簡単に自由に結びつける時代はない。ネットの潜在能力がオウムの問題を半ば自動的に解決してしまった」

と述べていました。ネットがカルトの増殖を防止しているという指摘は盲点でした。

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