決断力

ソフトバンクのUSスプリント買収が公式に発表されましたね。久し振りに見るアグレッシブなニュースで、嬉しかったです。スプリントの経営は決して順風ではなく、インフラもソフトバンクの既存ネットワークと互換性がありませんからリスキーな買収という声もありますが、決断した孫さんを凄いと思います。考えてみれば、旧vodafoneを買収した時も同じようにリスキーで成功確率低いと言われていたはず。今日のSoftbankの隆盛を見れば、正しい経営判断であった事は明確です。



こういう決断力のあるスケールの大きい経営者が少なくなってしまいました。創業オーナー社長が減って、サラリーマン経営者が増えちゃったんですね。個性的で活躍が目立つ経営者と言えば、柳井さんとか、稲盛さん、永守さん、三木谷さん、渡邉美樹さん、堀義人さん、などなど皆創業者です。



個人的に、人を動かす最大のエネルギーは”怒り”だと思っています。感情を表に出すのが憚られる現代ではあからさまに怒りを表現することは難しいのでしょうが、旧世代の経営者の創業のモチベーションは生まれ育った貧乏な環境や周囲への怒りだった事が多いはず。満たされた良い時代に産まれた若者が、あまりエネルギッシュな大志を持たないのは仕方がないのかも知れませんね。



乱暴な意見ですけど、私はもっと大企業を倒産させるべきだと思います。「Too big to fail」なんて言ってないで、ダメになった企業は市場から退場させる。そこで抱えていた人材が放出される。勿論短期的に痛みは生じますけど、そこで人材の流動性が生まれ、一定数が起業に向かう。これが健全な社会活力の生み出し方なんじゃないでしょうか。社会全体がソフトランディングを志向しすぎて膠着状態に陥っている。それが日本の病状だと思います。外科手術が必要なんですよね。日本という国のあちこちに。

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コメント

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ペットフードラビン 日時 :

お世話になっております。

いつも楽しく読ませて頂いております。

今回かなり共感する部分がありましたので書き込みさせて頂きました。

私の世代はいわゆる『ゆとり』のちょっと上の世代なのですが、あらゆる事に興味をもってチャレンジしていく気持ちを持っている人って少ないように思います。

私は20歳から10年会社で社会勉強をして30歳で企業すると決めていました。

まだまだこれからです。

ブログ更新頑張って下さい!

CONTACT岡野 日時 :

ペットフードラビンさん、こんにちは。



社会の活力って、結局は個人個人のパワーの積み上げだと思いますので、自分で商売立ち上げてやろう!っていうガッツは凄く大事だと思います。ツライ事もありますけど、納得感のあるのが起業の良いところ。頑張りましょうね♪



コメント頂けると凄く励みになります。ありがとうございます!

曾田 日時 :

吉川洋東大経済学部教授は「平成大不況の起源は高度成長終了後にある」と述べました。

日本は内需中心で高度成長しましたが、70年代後半から国内の経済競争を制限する政策に大転換しました。そのため、新たな内需が生まれなくなり、この内需不足を補うために70年代後半から日本企業は外需に代替を求めて洪水輸出を始めました。その結果、貿易摩擦が起こり、日本の輸出を抑えるために85年のプラザ合意で1ドル240円から120円の円高になりました。この急激な円高が原因で87年にバブルが発生し、91年にバブルが崩壊して、その後日本は平成大不況に陥りました。00年代後半には不良債権の処理が終わりましたが、まだ日本は内需中心に再転換できていないので不況が続いています。



バブル崩壊直後の93年ころにテレビで欧米のエコノミストが

「欧米人はなぜ日本が高度成長したのかではなく、なぜ高度成長後に日本の成長が止まったのかと思っている」

と述べたのですが、この指摘こそが日本復活の処方箋だと私は思います。



私が思うに、高度成長後に日本人は「豊かになりたい」という気持ちから「貧乏に戻りたくない」という守りの姿勢になってしまった気がします。精神的リバウンドです。

戦国時代から江戸時代になってしまった感じです。



76年に映画『犬神家の一族』が大ヒットして横溝正史ブームが起こりました。横溝正史の小説は60年代にすでに時代遅れになっていたのですが70年代後半に急に再評価され始めたのです。この原因は高度成長後に日本人が未来ではなく過去を振り返り始めたからでしょう。

まあ、1975年に第1回先進国首脳会議(サミット)が開催された時は欧米と日本以外は後進国だったので日本人が「もう成長しなくていい」と安心してしまった気持ちも理解できなくはないですが。



前出の欧米のエコノミストは「日本人はもっと豊かになろうと思うべきでした」と述べました。

ユニクロの柳井正社長も『現実を視よ』という本で「成長しなければ即死する」「日本人はまだ日本はアジア諸国より豊かだと思っているが思い違いだ」と述べました。

「もう日本は成長しなくていい」という考えとは正反対の意見ですが私も柳井氏に賛成です。

CONTACT岡野 日時 :

曾田さん、こんにちは。



現状認識には諸説あるでしょうが、先進国の生活水準にキャッチアップしてしまったのは事実だと思います。その上で、更に豊かさを目指すモチベーションってなかなか持ちにくいですよね。守りに入るのもむべなるかな、なんじゃないでしょうか。



私が思うに、問題は日本社会の過剰な同調圧力です。本来起こるべき健全な新陳代謝が起こらない、もしくは起こらないように操作しているところに根っこがあるんじゃないかな、と。何もかも市場原理に任せておけば良いとは言えないんだ、というのが青木昌彦スタンフォード大学名誉教授らが提唱する修正市場主義の考え方だと思いますが、日本はあまりに恣意的な操作が多すぎるんじゃないでしょうか。何でもかんでもソフトランディングで、痛みを発生させない。最小不幸社会を目指すあまりに、歪みを解消すべきシステムを作動させていない。



暴力的な資本主義が正義でもないし、勿論社会主義も機能しない。中間に解があるのですが、そこの運用ルールが左に偏ってるのが日本の問題じゃないかな、と思ってます。じゃあどうしたら良いんだ、と言われても困るんですけど(笑)。なので、せめて潰すべき企業は潰す、あたりの当たり前のことからやるのが良いんじゃないでしょうか。JALの処理もANAから見れば不公平感ありまくりですものね。

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