コンプライアンス不況?

最近の日本を見ていて、根が深い問題だなと感じたので書いておくことにします。いわゆる”コンプライアンス”とは法令準拠を差しますが、改めて定義を見てみると、
企業が経営・活動を行ううえで、法令や各種規則などのルール、さらには社会的規範などを守ること。一般市民が法律を遵守することと区別するために、企業活動をいう場合は「ビジネスコンプライアンス」ともいう。



 もともとは1960年代に米国で独禁法違反、株式のインサイダー取り引き事件などが発生した際に用いられた法務関連の用語であるため、「法令遵守」と訳されることが多いが、英語のcomplianceは「(命令や要求に)応じること」「願いを受けいれること」を意味し、近年では守るべき規範は法律に限らず、社会通念、倫理や道徳を含むと解釈される。(出典)
とあります。先進国家に生きる我々は法治に従うべきでルールは守って当然ではありますが、最近どうもこれが行き過ぎなのではないかと感じる時があります。何か新しい事を始める時に、真っ先に粗探しをしてしまう。結果として瑕疵を潰すことにばかりパワーを費やしてしまい、その新しいアイデアが形になるのが遅れるばかりか、出来上がったものが当初想定していたイメージからかけ離れた非常に面白みのないものに堕してしまう。身の回りにもよくある事だと思いませんか? 本田宗一郎がバイクを作り始めた時、厳密にコンプライアンス基準をあてはめていたらスーパーカブは世に出なかったかも、なんて考えちゃうのです。誤解を恐れずに言えば、新しいビジネスって、どこか”怪しい”ものなんじゃないでしょうか。今まで重視されなかったニッチなマーケットに向けて、今までなかった製品・サービスを提供するんですから、それが当然だと思うわけです。それを前例がないからとか、安全性が証明されていない、なんて言い出すとせっかく芽吹いた小さい芽が摘まれちゃうんじゃないでしょうか。いわゆる同調圧力に潰される。



これはしかし難しい問題で、日本社会の良さや特性を出している基がこの同調性だったりするわけで、そこを垣根を取っ払って行け行けドンドン社会になったら、それはもう日本ではありません。移民は一定の制限を加えないと、日本のカルチャーが壊れちゃいますもんね。そう考えると、日本社会に活力を取り戻すというのはかなり難しい舵取りが必要になります。アメリカはそこを掛け金を釣り上げた超資本主義ルールと移民奨励で突破している訳ですし、中国やロシア・ブラジルなんかの新興国は規制が緩い。日本が日本の良さをキープしたままでどう頑張れば良いのかとなると、小判鮫商法で他国で芽が出た新商品・サービスをなるべく早く取り入れる努力をするか、グローバルに展開する日本企業がまずルールの緩いマーケットで試してみる、なんて事が必要なのかな。夢のない話ですけど。



社会が成熟して、秩序が整って安定すればするほど活力は低下するものなのだとしたら、日本が追うべき経済活性化とは非常に困難な二律背反なのかも知れませんね。そんな難しい事を今の政治家に期待出来るはずもなく、やはり民間セクターが個別に努力するしかありませんか。日本国内だけでなく海外マーケットに目を向ける、外で多めにリスクを取る。それが日本企業に必要な行動指針なんでしょうね。内にこもっている時代では無いということで。

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