シリコンバレーという特異点

Instagramの創業者たちに学ぶこと



昨日の続きみたいな話なんですけど、Web界隈では最近最も大きな話題なのでご勘弁を。



さて、このエントリーを読んでどんな感想をお持ちになったでしょうか?私的にはデジャブーというか、結構前から考えていたポイントだったりします。つまり、広くワールドレベルではシリコンバレーという特殊な場所がIT系の中心点であり、この仕事に携わる人全ての憧れでもあるのですが、では皆が皆シリコンバレーに行かないと、スタンフォード大学に入って人脈造りしないとダメなんでしょうか。私はそうは思いません。これはつまり、地方問題なのですね。



若くて、自分のキャリアをこれから積み上げようと思う人は、都会に対して強烈な羨望の念を抱くことでしょう。人が多くて、エネルギッシュで、経済・文化・全ての情報の発信源。そんな渦の中心に自分の身を置いて刺激に触れたいという思いは良く分かります。もし自分の今の環境に対して、物足りなさや、ある種の焦りの様なものを感じていたとしたら、その憧れは強く身を焦がすかも知れません。その衝動に思い切って身を任せ、世界を見てみるという事も面白い生き方でしょうね。そこを否定はしません。



ただ、それしか選択肢が無いというのは、あまりに薄っぺらな価値観では無いのか、というのが私の思いです。今はシリコンバレーとその他という軸での話なのですが、実は東京とその他地方という軸で、日本における仕事の仕方についてずっと考えてきた事と通じると思うのです。確かに東京には面白い仕事がある、優秀な人が集まっている、チャンスがある。でも、それしか選ぶ道がないなら、地方の立場は?



日本は広い国です。桜の開花も北から南まで各地でバラツキがあり、桜前線の動きを見ていれば日本には多様な地域があって一様ではないのだという事が良く分かると思います。それぞれの地方に伝統があり、文化があり、コミュニティがあります。確かに中心地からの物理的距離は埋められないけれど、これだけ交通手段が発展し、情報流通が盛んな今、それは昔に比べれば相対的に重要度が低くなっているんじゃないでしょうか。保守的だと思われるかも知れませんが、私は今住んでいる神戸という街が好きです。東京よりも、大阪よりも人が少なく、それでいて街の文化度は高く、風光明媚で食べ物も美味しい。東京だって飛行機に飛び乗れば1時間で着いちゃいますからね。その気になれば人的交流も充分可能だと思います。



結局、求めるゴールをどのレベルに設定するのか、という事に帰結するのでしょう。バイアウトもしくはIPOで10億ドルレベルのアウトプットを短期に追求するなら、それは地球上でシリコンバレーでしか実現出来ないでしょう。しかしそもそもビジネスをする人全てがそんなゴールを設定しているのか、すべきなのか、というのが問題です。歩く速度が人によって違うように、生き方のペースも異なるはず。人の価値が持っているお金だけで判断されるものではない様に、同じ尺度でビジネスの成否を測る必要はないはずです。多様な生き方があって良い。そんな事をつらつら考えました。

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