Groupon系ビジネスの難しさ

最近、某グルーポン系ビジネス提供社さんとお話しして感じた事を少し。

おせち問題で世間的認知は高まりましたが、改めてこのビジネスの特徴をまとめてみます。



 ・サービス提供価格の50%以上の割り引きが前提

 ・一地域ごとに一日約10程度のクーポンが掲載

 ・販売額の約半分を手数料として徴収



が標準的なパッケージです。

これ、実際の金額で考えると良く分かるのですが、相当な粗利がある商材でないと利益は確保出来ません。

つまり、定価1万円の商材を提供する場合、このパッケージに従えば提供価格は50%引きで5,000円、更にそこから半額手数料で取られますから手元には2,500円しか残りません。

つまり75%引きでの販売に耐えられるコスト構造が必要です。

勿論粗利率の高い商材もあるでしょうが、普通に仕入元から仕入れた商品を販売しているショップさんでは赤字になるでしょうね。

飲食店・美容室・マッサージ店などのリピート型のサービス業の場合は、将来のリピーターさん確保の狙いから利用する意味は充分あるかも知れませんが。



そしてこのビジネスの注意点。

例のおせち事件で図らずも露呈した通り、商材の品質保証に不安が残ります。

本当に前提となる定価で販売されているのか。

クーポンでの割り引きを見越した高めの定価設定がされていないのか?(二重価格の問題)

本当に当初の提供条件を守れるのか?(キャパを超えた販売の危険性)

実はこの問題、提供しているクーポン会社にもジレンマをもたらします。

つまり、お店の実態を考慮して無理の無いクーポン提供条件を考慮すると、お店の為には良い提案になるのですが消費者に訴求しなくなってしまうのです。

例えば、飲食店を例に取りますと、来客がまばらな時間帯、例えば夕方の早い時間帯や、深夜帯にしか使えないクーポン、もしくは休前日には無効なクーポンを提案したとします。

これはお店のリソースを最大限に活用するという意味では非常に正しい提案なのですが、消費者側から見ると一番希望する条件で使えない使い勝手の悪いクーポンになってしまいます。

お店の利益と消費者の利益がバッティングしてしまうのですね。

お店の側に立つと消費者の利益を損ない、消費者の利益を追求するとお店の負担が高くなって無理が生じる。

このジレンマは解決の難しい問題です。



恐らく、今後もしばらくはGroupon系ビジネスは活発化するでしょう。

しかしトラブルは続発すると思っています。

そうなると、利用した消費者も嫌な思いをし、お店も嬉しくない、歓迎されざる体験だけが蓄積してしまうのではないでしょうか。

実際、このサービスを利用した企業の多くが再度利用する意志を持っていないという調査もあるようです。

そもそも安易な安売りに繋がりやすいサービス形態ですから、よくよく理解と自制心を持って扱わないと、お店にとって一番大事な信用を売り渡してしまう可能性があります。

注意が必要ですね。

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コメント

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アサカ マサノリ 日時 :

こんばんは、岡野さん

最近のグルーポン系はスゴイですね。

岡野さんのブログ見て内容が良くわかりました。

お店側は慎重に考えないと大変な事になりますね。

いつも勉強になります^^。



っで、岡野さんは利用された事ありますか?

私は実は最近はまっています。美容院のセット価格です。やはり、75%引きでいろいろやって頂けると経済的に助かります。1年分は予約しました^^。他にもいろいろ・・・。おせちの件はお店側の怠慢じゃないかと思います。食べ物でもちゃんとしたお店はありますよ^^でもネットですしグルーポンだけではなく、写真と内容が異なったり、詳細と違ってたりはなるべく無くなると良いですね。

CONTACT岡野 日時 :

アサカさん、こんにちは。



利用はした事ありませんが、ちょいちょいチェックはしてます。利用する側からすると、ちゃんとサービスが提供されるのであれば良い事ずくめですよね。質を見極めて、賢く使う消費者さんには凄くメリットがあります。問題は額面上の質を担保し続けられるか、にあるんですけどね…。

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