日本経済の向かうべき方向とは?



崩壊する世界 繁栄する日本



どこで紹介されていたのか忘れてしまいましたが、しばらくデスクに積んであった本を読んでみました。

なかなか面白いですよ、これ。



目次をご紹介しましょう。

第一章 「国家のモデル」とは?

第二章 アイスランド「自壊した“ヘッジ・ファンド国家”」

第三章 韓国「失敗したモデルを引きずる“自称・貿易国家”」

第四章 ロシア「原油安で崩壊寸前“オイル至上主義国家”」

第五章 イギリス「フェイクマネーに溺れた“金融国家”」

第六章 ドイツ「欧州を代表する“外需依存国家”」

第七章 スペイン「不動産バブル崩壊と共に沈む“建設業国家”」

第八章 中国「輸出減と輸入激減が進む“縮小成長国家”」

第九章 アメリカ「マッチポンプが崩壊した“金融詐欺国家”」

終 章 日本「繁栄する“新国家モデル”」


リーマンショック以降の金融危機に翻弄される代表的な国家モデルを幾つかの例を挙げて解説し、日本の今後向かうべき方向について提案を試みた内容です。



元祖産業革命発祥の国として栄華を誇りながら、硬直してしまった経済を何とか新しい切り口で発展させようと模索しているイギリス。

世界に冠たる製造業立国として常に日本の先生であったドイツ。

身近な脅威であり、機会でもある、世界が注目する中国。

そしてやはり世界一の経済大国アメリカ。

各国の分析は大変面白く、また数字の裏付けがある納得感の高いレポートになっていると思います。



詳細は本書をお読み頂くとして、大事なのは日本の今後の方向性です。

すなわち、日本の輸出企業とアメリカの金融機関、それに世界中のバブル諸国が円安を望んだ結果、日本銀行の大々的な為替介入が行われたのである。

 先に、日本は相対的にグローバル化していないと述べたが、あれはあくまで貿易や対内直接投資の話である。海外投資という点で見れば、日本のグローバル化は充分に進んでおり、世界中のあちらこちらで同時に進行した、バブル経済膨張の資金源となり続けたのである。

 割を食ったのが、日本の国内の消費者と中小企業だ。

 円安のおかげで輸出企業の業績は確かに好調だったが、日々、購買力を削られていった日本国民の消費は縮小し、主に国内を標的市場とする中小企業の業績も伸び悩んだ。

 また、日本の投資家も、国内より通貨が高騰する海外に優先して投資を行った結果、日本国内向けの投資は拡大せず、全体的なGDPの成長率が抑えられたのだ。


この現状認識を基に、著者が提案するポイントは次の通りです。



 ●その国の(特に輸出)企業が好業績を上げる事が国民経済発展の至上命題ではない

 ●日本の雇用・資金が海外に流出するグローバル化の進展は国民に幸せをもたらさない

 ●むしろガラパゴス化を進めてローカルで産業を磨きオリジナリティを追求する事が、安売りに迎合しない強みの獲得に繋がる

 ●つまり円高容認策を取って、個人消費の拡大を目指すべし



う〜ん、この現代でグローバル化に背を向けてガラパゴスを推奨するとは何と斬新な。

しかし著者も言うように、グローバル経済の申し子のようなアメリカが実は巨大なローカル国家で、石油・食糧・防衛と言った国家の基盤は絶対に対外開放しない、いわばグローバル化と保護主義の使い分けをしているのは明らかです。

日本は地理的に外国と適度な距離がある事で、大きな戦争に巻き込まれずに独自文化を永年育んでくる事が出来ました。

世界が一つになった現代でも、日本語という参入障壁がクッションになってグローバル化の荒波から一定の距離を置く事が可能になっています。

勤勉な国民性と、盤石の国家資産があるのだから、今ある資産を大事にした方が良いかもしれませんね。

あ、ちなみに日本の国家財政は全然心配要らないらしいです。(説明略)



この著者(三橋貴明氏)、何でも2chで有名になった人らしいです。

ネット出身の政治家に最も近い人でもあるらしく、今後の動向注目ですね。

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