円安の是非

本来その国の通貨は強いが良いに決まっています。なので現状の円安は宜しくないと思っているのですが、如何せん為替は相手との相対関係で決まるもの。米ドルが高金利である限り、少なくともしばらくは円安基調が続くのでしょう。

円安で困ること。第一は各種の輸入財の価格が高くなること。エネルギーや食料価格の高騰は国民の生活を直撃しますので、庶民としてはツラい。

逆に円安で良いことといえば、輸出が伸びること。トヨタの業績は絶好調ですし、他にも国内に製造拠点を立地する企業は軒並み高収益を上げています。更にはインバウンド客の伸び。日本の観光価値が広く知られると共に、これだけコスパよく滞在を楽しめる国はそうありませんから、そりゃ人気も出ます。

問題はこのメリット・デメリットを通算したときに、果たして日本全体では得なのか損なのか。私には本当のところはわかりませんが、日本にはメリットが多いような気がしています。

戦後の日本は高品質で安価な製造業で一世を風靡しました。現場力でコツコツと改善を積み上げることが日本人には向いていたんですよね。それに対して、日本人の一番不向きなところが出たのがITの領域だと思います。どうも日本人は戦略的な思考が弱いんですかね。本当に論理的に判断すればアメリカ相手に戦争仕掛けるということはなかったのだと思いますが、どこかで美学に死ぬという叙情的な部分が捨てきれない。逆にアメリカや西欧の先進国は、とにかく勝つための踏み込んだ思考を突き詰めます。戦争に倫理も品格もない。大事なのは勝つこと。日本人はそこまで下賎になりきれない。MicrosoftもAmazonもやってることはエグいですものね。個人的にはあそこまでして勝ちたくない。で、そんなこと言ってるから世界市場で勝てない。でもね、それでいいんじゃないですかね。二番手、三番手で充分。力で圧倒するんじゃない、愛される国を目指せばいいのだと思います。実際そうなってますし。となると、やっぱり地道に製造業と観光で食べていくのが現実的で、そのためには円安でいいのかもなと。

最近どこに行ってもインバウンドの外国人観光客を見かけますよね。で、彼らは一様に日本滞在を愉しんでくれているように見えます。そして我々も収益を立てる。それでいいんじゃないでしょうか。「人間は死ぬまでマウント競争」と言ってる人がいましたが、それはシンドイ道。今の若い人たちはさっさとマウント競争から下りちゃってる。賢いんですよ。そしてそれが平和な気持ちで愉しい人生を送るための秘訣なんだと、最近思います。日本は良い国ですよね。そう思いませんか?

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