一年前にはここまで中国経済が苦境に陥るとは思っていませんでした。どうしてここまで習近平が諸国にケンカを売りまくるのか理解できませんが、焦っているのでしょうか。習近平は個人的に毛沢東に心酔しているそうです。それを聞いて納得しましたが、ロールモデル選びを間違っていますよね。あれだけ文革で国中を大混乱に陥れた大失政を見て、まだ憧れを持ち続けているとはどういう心理なのか理解に苦しみます。どんなにマイナス評価があってもやはり今の中国の偉大な建国の父としてレジェンドであり続けているのでしょうか。本当に見習うべきは鄧小平だと思うんですけどね。少なくとも前任者までは二期10年で政権交代するというルールに従っていたのに、いまや習近平は終身国家主席。国の統治が大きく歪んでいます。恐らく長老連中もこの状況を苦々しく思っているはずですが、今のところ強権で押さえ込んでいます。しかしこれだけ経済の不調が明らかになると、この体制がいつまでも続くとは思えず。遠からず体制崩壊の日がやってくるでしょう。ベルリンの壁が崩れたのも突然のできごとでしたからね。経済は国の在り方に決定的なインパクトを持ちます。
こうしてみると、やはり中国は民主主義を定着させずに共産党独裁政権のままで経済発展を目指すというプラン自体に無理がありました。少し前にBRICSという言葉がありましたが、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ、どこもその後の発展は順調とは言えないようです。これに中東のイスラム諸国やアフリカ・中南米諸国を加えても、結局のところ各国の民主主義体制が確立されているかどうかが発展に大きく影響することがわかります。その点、日本は江戸時代の封建体制から明治維新を経て、本当に上手く民主主義体制に移行した希有な国なのです。日本と同様の急速な民主化を実現できた国はありませんし、多分今後もない。仮に中国で共産党支配体制を打つ崩そうという動きが出たとして、スムーズにことが運ぶとは思えませんよね。プーチン後に民主的な政権がロシアに生まれるか、アラブの王族が権力を手放すか、中南米は、アフリカは。どこをイメージしても、ことはそう簡単ではありません。となると、21世紀も相変わらず先進国の顔触れは同じなんでしょうね。私にはインドにも中国と同じような未来しか見えません。一定の発展はするでしょうが、先進国の入口で大きなカベに直面して挫折すると思います。あの国の人権意識のなさ、民度の低さはヤバいです。
ではなぜ経済発展にとって民主主義が大事なのか。それは個人の創造力こそがイノベーションのカギになるからです。新しいものは、常に古い価値観の否定から入ります。そこを既得権益層が強権で押さえつけては何も生まれない。だから、若い人のアイデアを尊重する姿勢が社会の側になければならない。これは言うほど簡単なことではありません。ブルカが強制されている国でファッションが発展するでしょうか。そういうことだと思います。
日本がなぜスムーズに民主化できたのか、その理由は教育体制にあった気がします。江戸時代から庶民の間にも教育の必要性は広く浸透していました。民主化とは何か、権利と引き換えに義務が発生すること、公への奉仕、礼を重んじる精神。そういった民主化に必要なベースが日本にはあった。しかしそのベースがない国がイチからこれを作るのは至難の業です。
そう考えると、日本の優位性が簡単に失われるものでもないことがよく分かりますよね。我々は自信を持って、粛々と日本が受け継いできた良さを磨いていけばいいんじゃないでしょうか。
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