「失われた30年」という表現の根拠としてよく引き合いに出されるのは、各国のGDPの伸びのグラフです。
↑つまりこのグラフなんですが、改めてG7+中国の過去30年分の推移を見てみると、目立って伸びているのはアメリカと中国くらいですよね。2012年当時は1ドル=80円程度の為替相場でしたから、現在の円安を考慮すると日本もそれなりに成長しているとも言えます。
そもそも、なんですが、日本は製造大国として成長を遂げましたよね。それが1990年代からグローバル化の進展に伴い、製造業の海外流出が一気に進行しました。この海外現地法人の生産分は当然国内GDPには含まれません。あんなに工場が激しく国外に移転したんだから、そりゃ国内のGDPが伸びなくても当然ですよね。むしろここまで空洞化を補ってよく踏み止まっていると褒めるべきです。ちなみに、2021年度の日本企業の海外現地法人の売上高は300兆円以上に上ります。(出典)国内のGDPが500兆円程度ですから、既に6割方は海外生産に移行してるんですよね。これを足せば日本の生産力は800兆円規模となり、順調に伸びていると言えます。
統計って実は数字の取り方次第で全く違うストーリーを表したりして、作成者の意図を読まないと鵜呑みにするのは危険なんですよね。実はネットなんてプロバイダー費用を除けば殆どのコンテンツが無料なので、GDPとして補足できないという大きな問題もあります。そう考えるとそろそろ国内GDPなんて古い指標に頼らずに、グローバル時代に即した新しいモノサシで測るべきなんじゃないでしょうか。一番の問題は間違った数字にミスリードされて、人々の気持ちが上がらないことにあります。政府は国民のモチベーションを上げる工夫をしてください。
コメント