日本は悪くない

「失われた30年」って誰が言い出したんでしょうね。確かにバブルが弾けた1991年以降、GDPは成長していないように見受けられます。バブルに日本中が踊り狂ったライトがあまりに眩しくて、その後が急激に暗闇に落ち込んだようなどんよりした空気になってしまいましたね。そして日本人みんなが自信を失い、総ネガティブ社会になってしまいました。今の若い人たちは将来に明るい展望なんて持っていない、夢を見ることが非現実的な感じ。それが当たり前だと思ってきました。しかし、です。日本の現状を客観的に振り返ったとき、本当にそんなに状況は悪いのでしょうか? そんな私たちを勇気づけてくれる良い動画を見つけました。

ウリケ・シェーデ教授の著作は読んでいないんですが、その内容を簡潔に抜き出したのがこの動画のようです。

YouTubeには”日本スゲー”上げ動画が沢山溢れていますが、ウリケ・シェーデ教授からはそういう軽薄なコンテンツとは全く違う知的な力強さを感じます。

  • 失われた30年が続いたのに、未だに日本は世界第三位の経済大国である
  • 日本は独特のカルチャーを維持している
  • これは明らかに何かが上手くいっている証拠であり、その上手くいっていることに注目すべき

確かにそうなんですよ。メディアで喧伝される日本の状況は印象としては最悪のように思えるのに、事実として伝えられる数字は決して悪くない。

これっておかしくないですか? どう見ても好調な国のできごとですよね。我々は歪んだ現実を伝えられているのではないでしょうか。

ウリケ・シェーデ教授は語ります。「日本は成長スピードよりも安定を選択したのだ」と。つまりアメリカのようなスピードを何よりも重視する国は、イノベーションによる奇特利益の破壊を厭わない。これはGoogleやAppleやFacebookやテスラといった破壊的な巨人の登場をもたらす代わりに、社会を不安定にさせる。サンフランシスコ市内の治安の悪化ぶりを見れば、そのデメリットも大きいのです。

これは日本人にとって決して歓迎すべき絵面ではありません。日本人は、”タイト”なカルチャーを守り、社会を不安定にすることを好まず、災害や大不況といった逆境に対する強度を選んだ。その結果として社会の変化はスローで、一見イノベーションが進んでいないように見える。それでも遅まきながら変化が起きていないわけではなく、日本社会は着実に前に進んでいる。これはあくまでも選択の問題で、アメリカと比べて日本が劣っているわけではない。何だか勇気付けられますね。ダメダメ言われながら頑張ってきたことが評価された気がして、嬉しいです。

俯瞰で見てみると、バブル期までの絶好調だった日本は主に製造輸出大国として成長してきたわけで、それがグローバル化の大波に襲われて工場が中国を始めとする海外に流出していったわけですから、シンドイのは当たり前。むしろこの逆境を耐えながら、それでも国力を大きく落とさなかった努力は特筆ものなんですよね。コロナ禍が一段落した今、日本の文化の持つパワーが再評価されて世界から多くのインバウンド客が訪れています。そして大なり小なり日本に感動して帰ってくれているはず。そうやって獲得した”日本ファン”は資産です。今後も日本の食やアニメなどのサブカル、そして日本という国の佇まいそのものが強力なソフトパワーとして世界を席巻していくでしょう。そう考えると、日本の未来には明るさしか見えません。変に国民を暗い気持ちにさせるネガティブキャンペーンに毒されず、若者は将来に希望と自信を持ってポジティブに向かってほしいですね。我々の子や孫の世代が幸せに暮らしてくれていることを願って止みません。

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