私も今年で57歳。還暦も見えてきて、そろそろバトンタッチのことを真剣に考える年になってきました。昨年親父が亡くなったばかりなので少々気が早いのですが、仮に今私が死んだらどうなるか。妻と子どもに総額が発生します。現金は問題ありませんが、厄介なのが会社の株式。非上場の株式の評価額の算定には色々やり方がありますが、基本的にはB/S表の純資産額で見ます。永年経営していると、内部留保の現預金や資産がそれなりの金額になっているはず。しかし現実問題その現預金は会社の資産であって、相続者が自由に使えるわけではありません。不動産ならまだ処分できますが、株式はそうはいかない。非常に厄介なことになります。では、どうすればいいか?
実は「事業承継税制」(PDFファイル)という仕組みがあり、これを使うと中小企業の事業承継に大きなメリットがあります。非常にざっくり言うと、「子どもに会社を継がせて相続税を免除される仕組み」です。当然ですが幾つかの要注意点があります。
- 相続のタイミングまでに子どもが3年以上役員を務めていること
- 相続後に子どもが5年間代表として事業を継続すること
これは結構引っかかるポイントで、親が体調を崩してから慌てて手を打とうとしても手遅れ、親が死んでから子どもが代表として経営していく環境を用意できるか、というのはまあまあ難易度が高いと思います。親が意固地でいつまでも後継体制を作ろうとしないと後手に回ったり、社内の根回しができない状態でタイムリミットが来たり、先代社長が亡くなってから社内が揉めて会社がダメになったり、ということは容易に想像できてしまいます。私の場合は親父が死ぬまで後継体制を作ってくれなかったので、既定の相続税を馬鹿正直に納付するハメになりました。まあ現金を残してくれたので大丈夫でしたが。一番大事なのは、後継者である子ども本人のやる気と適性の見極めでしょうね。これをちゃんとせずに、あなたの役割だから、と押し付けると、子ども本人も残った会社の既存スタッフも誰も幸せになりません。昔と違って会社の売却という手段に後ろめたさも無くなったので、子どもに継がせない方が良いと判断したら、なるべく早めにM&A先を探した方がいいです。何ごとも慌てるとロクなことはありませんので。あと大事なのは、ちゃんと本年で相談できて融通の利く税理士さんを確保しておくこと。これもなかなか高いハードルで、一般的な税理士は細かいだけで社長の気持ちなんか全く分かっていませんので、大事なことの相談相手にはならないんですよね。皆さんの事業承継がハッピーにいきますように!
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