Porscheの苦境

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まあ、そうなりますわね。VWグループのEVシフトには危うさを感じていましたが、あまりに性急な路線変更が顧客が望んでいない方向に切られたら、いくら大企業でもあっという間に経営が傾いてしまいます。これは日産とかでも同じですね。クルマという商売の難しさ、怖さは、新商品が世に出るまでのリードタイムの長さにあります。ある企画が決まって世に出るまで、数年単位の時間がかかるのが自動車業界。つまり今我々が目にしているクルマは全て何年か前の意志決定に基づいているわけです。恐らくこの数年のEV離れにはメーカーも気付いていたでしょうが、一旦走り出した企画を途中でやめるわけにはいかないんですよね。怖い世界です

IT業界にはムーアの法則と呼ばれる性能向上の経験則があり、18カ月で性能が倍になる歴史がずっと続いています。しかしこれは半導体という特殊な領域に置いてのみおこることで、世の中の普通の製品開発はこんなに級数的には性能向上しません。特にEVはバッテリーという化学的な性質のデバイスの性能向上に依存しています。もちろん年々性能はアップしていますが、それでもITの世界に比べれば非常にゆっくりしたスピードでの進歩です。恐らくこの先も電池の性能が向上する速度はそれほど速くはならないでしょう。更に充電設備の普及や発電環境の変化などを考えると、数十年単位でしか時計の針は進みません。VWは焦ったのでしょうね。もしくはEU自体が世の中の規格制定のイニシアチブ欲しさにスタンドプレーに走ったのでしょう。EVに深くコミットした会社ほど大きな煽りを喰らってしまいました

そう考えると、トヨタは冷静でした。ガソリンエンジンは当面やめない。主力をハイブリッドに置きながら、EVも水素も、可能性のある動力源は全て手を付けておく。どれが勝ってもいつでも勝ち馬に乗れる体制を作って、余裕の高みの見物。まさに横綱相撲です。個人的にはこの先数十年は相変わらずHVが主力な気がします。内燃機関をEV技術が補完するのが一番合理的で痛みを伴わない改革ですものね

クルマは見た目のデザインとエンジン、と思っている私にとっては、まだまだエンジン車を愉しめる時代が続いてくれそうで嬉しい限りです。ちょっと古いクルマたちを末永く愛でて参りましょう

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