暴力性

いよいよ2025年も今日で終わり。今年一年を振り返ってみて、強く意識した言葉が「暴力性」でした。今年も色々なところで圧倒的な力の発露や理不尽さを目にしました

ウクライナ戦争はもう始まって三年が経ちました。イスラエル・パレスチナ戦争も三年目を迎えています。ロシアや中国のような非民主独裁体制国家が暴走するのはまだ理解できますが、イスラエルのような民主国家がここまでやるのかというのは全くの驚きでした。好戦的な首相がミスリードしているだけならまだしも、ちゃんとした議会があるのにそれを止められない。引いては国民がそれを支持しているのかと思うと、なんともやり切れない思いに沈みます。当たり前と言えば当たり前なんでしょうが、国際政治の舞台っていまだに弱肉強食で力がモノを言う世界なんですね。我々は戦後80年アメリカの影に隠れて意図的にそういうことを考えずに来たので、感覚がマヒしているところがあります。近隣国が本気で暴力に訴えてきたとき、我々はどう対処するのかということを真剣に考えるべきですよね。戦わずして勝つ、が最良の戦略であることはもちろんなのですが

国際政治の世界の暴力性と並んでもう一つ無視できないのが、資本主義市場経済の世界の暴力性です

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あまりに桁外れすぎてもはや羨望の気持ちもありませんが、冷静に考えるとおかしいと思いませんか? だってたかが個人ですよ。いくら成功したとはいえ、ひとりの人間がその辺の小国の国家予算を超える額の資産を持ててしまう社会がおかしくないですか? 百歩譲って、それは機会を活かした正当な報酬だったとしましょう。その結果社会はどうなりましたか? アメリカもEUも、金持ちはもう普通の街中には住めず、ボディーガードに送り迎えされてゲートの中で暮らすのが当たり前。日本みたいに子どもが気軽に近くの公園に遊びに行ける社会の方がレアなんです。街中は荒れ放題に荒れ、店にシャッターが下り、街角はホームレスとジャンキーの寝床。これがみんなが想像していた未来なのでしょうか。これで誰が幸せになったのでしょうか

これ、誰が悪いかと言えば、結局のところシステム、仕組みが悪いんですよね。第二次世界大戦後に東側諸国で共産主義ムーブメントが起き、その後の冷戦構造に西側が勝利したのですが、実は勝ったはずの西側のシステムもまた正解ではなかったということが今白日の下に晒されているのだと思います。この三十年ほど、グローバリズムの御旗に向かって世界中が突っ走ったのですが、それは国内の製造業を破壊し、コミュニティを分断する結果になってしまった。荒れ果てた国内の惨状を前に、各国の為政者はみな途方に暮れているように見えます

そう考えると、日本は「失われた三十年」などと揶揄されながら、結果的に一番国としての良さをキープしている勝ち組に見えてきます。日本にそこまで深い戦略的思考があったわけでもなんでもないのであくまで結果論ですが、日本という地理的、文化的な世界との絶妙のポジション、距離感が我が国を世界の荒波から守ってくれているのですね。ドイツのように陸伝いに難民が押し寄せてくることもなく、経営者が従業員の何百倍もの報酬を受け取ることもない。日本が「世界で最も上手く行っている社会主義国」と言われますが、実はこれが世界が目指すべきファイナルアンサーなのかもしれない。要点は

  • 移民の制限
  • 課税制度

にあると思います。国の根幹を揺るがす移民問題についてはもうみんなが問題意識を持っています。その国の文化に理解があり同化志向の強い人だけを受け入れる。社会の継続性と一貫性を守るためなら一定の人口減は受け入れる覚悟が必要かなと。経済的には衰退の道かもしれませんが、AI等の生産性向上が活力の低下スピードを補ってくれるかもしれません

そして社会の分断を防ぐためには、富裕層への重課税制度が必要だと思います。資産課税や相続税の強化など、どれだけ実効性があるかはわかりませんが、今のままでは社会が荒れ放題です

結果として日本型の社会システムが大きく見直され、世界的に評価が高くなるんじゃないかなと想像しています。もちろん日本にだって活力低下や古い社会システムが温存されてしまうなどの課題はありますが、諸外国と比較すれば相当うまくいっている部類だと思います。日本という豊かな文化の土壌で育まれたソフトパワーは今後ますます求心力を強めていくでしょう

既にTop12のうち半分が日本発のコンテンツになっているのがとても心強いですよね

というわけで、決して日本の未来を悲観する必要はないんじゃないでしょうか、というのが2025年最後のエントリーでお伝えしたいことでした。来年も皆さまにとって良い年でありますように!

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