なかなか面白い記事でした。要約すると、「グローバルな潮流からのある程度の隔絶と乖離こそが、日本の成功の秘訣となっている」ということですね。そもそも日本の現状を成功と見ていいのかという話はありますが、そこは端折ります
日本とアメリカ、さらに中国という三つの国はとても面白い対比関係ですよね。欧米的価値観の象徴であるアメリカ。アジアにおいてもなお独自の立ち位置を取る日本。そして四大文明時代から世界にその名を轟かせながら、ようやく近年になって主要先進国にキャッチアップした中国。カルチャーの発信元という観点からすると、ここ数十年は圧倒的にアメリカが世界の主役でした。ハリウッド映画、ポップミュージック、スポーツ。世界中の若者はみなアメリカのスターに夢中な青春を過ごしてきました。しかし21世紀は日本の存在感がかつてなく高まった時代でもありました。20世紀の後半は日本製の家電プロダクトが世界を席巻していたのでMade in Japanのブランド力はあったのですが、今の日本の価値は漫画・アニメや食文化、つまりソフトパワーがベースです。大人世代が思っている以上に、世界の若者たちの心の中に日本という存在は深く刻まれているのだと思います。
アメリカと日本、まったく違うのに、不思議にウマの合う両国。ある意味とても奇妙は組み合わせです。アメリカは、西部開拓時代のメンタリティが価値観のベース。弱肉強食が基本で、勝つことが正義。パワーはあればあるほどいい。そこに弱者への憐憫や忖度はない。日本のベースは、美意識ですよね。強いことよりも美しいことが大事。勝つにしても勝ち方が大事。そして美学を持った敗者に寄り添うメンタル。この両者の違いは様々なシーンで浮き立ちます。
ウォーレン・バフェットが最近語ったように、日本の経営者は「アメリカの典型的な経営者ほど、自分の報酬に貪欲でない」。世界中のセブンイレブンを運営しているセブン&アイ・ホールディングスのアメリカ部門のトップは、2024年に4900万ドルの報酬を得ている。これは、日本の親会社のCEOの報酬のほぼ23倍だ。日本にはさまざまな欠点や課題があるが、少なくともCEOが一般人と別次元に生きているように感じない場所だ。
イーロン・マスクがいくら有能な経営者でも、一兆ドルの報酬を払うのが当然とは日本人は絶対に考えません。明らかにアメリカとはものの考え方の基盤が異なるのです。
人間の遺伝子に大きな違いがないのであれば、この差は生きている土地の違いが生み出しているのでしょうね。日本が島国で、他国の侵略に遭わずに歴史を紡いできた。日本語という世界でこの国でしか話されていない独自の言語をベースに文化が築かれている。ネットで世界が繋がってもなお、日本という独自のカルチャーが高純度で保存されている。この独自性こそが日本の価値であり、全ての根源です。であれば、例え世界がグローバル経済で一つになっても、日本は適切な防波堤をなくすべきではないと思います。無節操な移民の受け入れは、日本社会を破壊します。例え向かう先が社会の衰退であったとしても、それこそ滅びの美学を死守すべきなんじゃないでしょうか。日本じゃない日本なんて世界の誰も望んでいないと思います。スーパー・ガラパゴス、万歳です


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