人口が減ることは悪いことなのか

どの経済学の教科書にも、資本主義システムは右肩上がりの成長を求めるもの、と書いてあります。過度なインフレ等は社会にとって害悪ですが、それでも成長は経済発展に必須の条件であると思い込んでいます。しかし、それは本当なのでしょうか?

世界経済とか国家だと話が大きくなってよくわからないので、皆さんの家庭を考えてみましょう。国家のGDPとは、いわば家計収入。まあ多いに越したことはありませんが、仮に総収入が減ったとして、それはすなわち不幸なのでしょうか?

そんなことはありませんよね。収入がいくらあっても、分不相応な見栄を張ると余計な出費が増えるだけ。世にたくさんのセレブと呼ばれる人たちがいますが、彼らの生活は本当に誰もが羨むほどよいものなのでしょうか。想像してみてください。使い切れないほどの部屋数がある豪邸。ガレージに収まらないほどのクルマたち。クローゼットからあふれんばかりのブランド品。毎日の豪華なランチ。そりゃ最初はぴかぴかの生活に気分も浮かれることでしょう。しかし世の中、上には上がいます。どこまでいっても、自分よりリッチな人が周囲には沢山いるのです。モナコに浮かぶヨット、一艘一艘はとても高額なのでしょうが、一番大きな船のとなりに停泊しているヨットは肩身が狭く見えます。最後に残るのはベゾスみたいなITビリオネアかアラブの王族だけ。そんな世界でずっと背伸びをして生きていくのでしょうか。しんどいですよね

もちろん喰うや喰わずの生活の心配は誰もしたくありません。おカネがあれば余計な苦労はしなくて済むでしょう。しかしそのレベルであれば、大事なのは気の持ちようの方で、通帳の残高が気持ちの安定をもたらしてくれるわけではないのです。分相応、足るを知る。物質より精神の豊かさ。これは国家においても同じことが言えるんじゃないでしょうか

従来の経済の常識では、規模をもたらすのは人口です。アメリカのGDPが成長しているのは、人口が増え続けているから。そして現代の人口の多い国の代表である中国とインドは、実はもう人口増加がピークアウトしています。

恐らく今世紀中には、世界の人口は減り始めるんですよね。なので、全地球的な人口ボーナス期には遠からず終わりが来るのです。しかし、それが即ち不幸なことなのか。少なくとも、地球環境的にはいいことですよね。このまま人口が増え続けて、SFアニメみたいに本当に地球外への移民を考えなければならない未来は、どう考えてもハッピーではない。人類は地球の外では暮らせないのです

今の若者が子どもをつくりたがらないのは、多分生存本能よりも思想や理屈が勝ってしまった結果なのでしょうね。戦争や疫病などの災厄がシビアな時代では、とにかくみんなが生きることに必死でした。動物的な本能に従って生きていたのです。しかし現代は、生きることに意味を求めてしまう。もうあんなに無邪気に暮らすことはできません。となると、この先に人類を待つのは絶滅という考えたくない未来しかないのかもしれませんね。それが必然であるならば、受け容れるだけです

じたばたせずに、参りましょう

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