「NETFLIXの最強人事戦略」

●「NETFLIXの最強人事戦略

働き方改革の名の下に色んなワーキングスタイルが摸索されていますが、恐らく今一番進んでいる事例の一つだと思います。インパクトのあったところをご紹介。
重要な行動規範の周知を図り、それを実行するかどうかを各人の裁量に任せる
ネットフリックス文化の柱の一つは、「徹底的に正直であれ」だ
エンパワメントに関していえば、私はこの言葉が大嫌いだ。よかれと思ってやっているのだろうが、そもそもエンパワメントがこんなに注目されるのは、今行われている人材管理の手法が従業員から力を奪っているからにほかならない。力をとり上げることを狙っているわけではないが、やたらと介入しすぎる結果、従業員を骨抜きにしている。
従業員に力を与えるのではなく、あなたたちはもう力をもっているのだと思い出させ、力を存分に発揮できる環境を整えるのが、会社の務めだ。そうすれば、彼らは放っておいてもめざましい仕事をしてくれる
ビジネスリーダーの役割は、すばらしい仕事を期限内にやり遂げる、優れたチームをつくることである。それだけ。これが経営陣のやるべきことだ
若干抽象的で分かりにくいかもしれません。しかしながら、企業が作り上げてきた様々な人のマネージメントの仕組みが、本当に機能しているのか全員が考え直した方がいいと思います。例えば分かりやすいのは、
有給休暇制度の廃止を考えてみよう。従業員には、「妥当だと思うだけの休暇をとり、適宜上司と相談してほしい」とだけ伝えた。さてどうなったか?彼らは前と変わらず、夏期とホリデーシーズンに1、2週間ずつ休暇をとり、子どものスポーツの試合のためにちょこちょこ休みを入れた。従業員を信頼し、自分で責任をもって時間を管理させることは、彼らに力をとり戻させるために私たちがとった初期の施策の一つだった。
有給休暇制度を廃止したんですよ! これはちょっと衝撃でした。ウチで同じようにしたらどうなるだろうか? 
従業員を大人として扱うとよい成果が得られること、また従業員もそれを望んでいることがわかった
まあ、そうなんですよね。リモートワークを導入するときのポイントがここにあって、要するにスタッフを信用するかどうかが問われるんです。信用できないと、自宅でもちゃんと仕事をしているのか監視しようとしてカメラを付けたり細かい報告を上げさせたり、ロクな方向に行きません。人は信用されれば、その信頼を裏切りたくはないものだという哲学がないと実行できない施策なんです。


しかしながら、普通の企業がいきなりNetflixを真似て同じ仕組みを導入しても失敗すると思います。それはNetflixの人事システムを支える前提条件というものがあって、それは高い労働流動性が確保されているからだと思います。
今のチームが理想のチームでないことが、私たちの足かせになっていないか?
会社は家族ではなく、スポーツチームだ
社内の人材を登用すべきか、社外からハイパフォーマーを連れてくるべきかを判断する
私も今まで”家族”という言葉をよく使っていましたが、そこにはある種の嘘が紛れています。家族なら解雇することも新たに採用することもないのですからね。ウェットな感情を持ち込みすぎずに、スポーツチームとして必要な人材を適所に配置する、という考え方をした方が気持ちが楽ですね。だからチームにフィットしないと判断すれば、そこは人を入れ替えて良いのだと思います。その人が悪いわけじゃない、ただこのチームにフィットしなかっただけ。無用な人格攻撃をせずに、お互い客観的に適性のマッチングを判断できるといいですよね。

Netflixの特徴的なカルチャーとして、徹底的に正直に情報をオープンにするスタイルがあります。
やるべき仕事の内容や背景情報を、従業員に明瞭かつ継続的に伝えることだ。「これが今の正確な状況で、これが私たちの成し遂げようとしていることだ」と伝えるのだ。マネジャーが、やるべき仕事と事業上の課題、幅広い競争環境について伝え、説明し、隠し立てのない姿勢でいることに時間をかければかけるほど、方針や承認、インセンティブの必要性は薄れる
これが答えです。本来は社内に隠しごとなんてないはずなんですよね。腹を割って本音で話せるか、都合の悪い情報も含めて全てをさらけ出してオープンになれるだけの度量があるか。最後は経営者の器を問われるのだと思います。