もっとちゃんと伝えよう。
2009年10月20日(火) 7:46:37
おとといの「もっとちゃんと応援しないと」の記事に、友人からメールをもらった。
加藤和彦の自殺に関して、ボクが「頭の隅でユーミンや桑田が自殺したらどう思うかを想像した」と書いたことへの反応である。一部ご紹介する。
先日、神奈川でのユーミンのコンサートに行ってきたんです。わりとショックな言葉だった。
そこで、ユーミンが前半から涙ぐんでいるのはわかったんですが、アンコールでは号泣してしまい(あのユーミンが!)
「みんな、こんなにナイスにしてくれて、ありがとう。
自分で言うのもなんだけど、たいしたことない歌なのに・・・」
と言ったんです。
これまで30年間、時代の先を歩き、トレンドや恋愛の道しるべ的に憧れていたユーミンの弱気な発言。なんて言っていいのかわかりませんが、私も泣いてしまいました。超えられない存在だと思っていた人が急に近く見えたというか、親が急に甘え出す年代になってしまったこととリンクした、というか・・・
好きな人をずっと好きでいるために、できることは全部やっておきたい! そんなことを考えた週末でした。
あの強気で陽気なユーミンが…。あなたの歌はこんなに素晴らしいのに…。
たぶん、一時期でも時代の先頭を走った人は、自分の中でのハードルがどんどん上がり、下げられなくなってしまうのだろうと思う。真面目で真摯な人ほど高く高くハードルを上げる。そしてある日ハードルを越えられなくなった自分に気づき、「みんなの期待に応えられない自分」が自分の中でクローズアップされていく…。
いままで素晴らしいものを提供してくれただけで、こんなにもボクらの人生は豊かになっているのに。その素晴らしい価値に気づかないまま、ボクらの声も届かないまま、深く悩み、苦しんでいく。
手軽に、簡単に、いろんな芸術作品やありがたい言葉やオリジナルな情報を享受できるようになった現代。
手に入れやすくなったからこそ、こちらからも手を伸ばして、もっとしっかり感謝や愛情を「伝える」ことをしないといけないのだと思う。彼らには心ない言葉もたくさん届いている。それに負けないくらいたくさん「心ある言葉」を伝えないといけない。ここでも書いたが、意外と本人には伝わってない。誰かがきっと伝えてるよと思っても意外と誰も伝えていない。それどころかとっても孤独な状態にいたりする。それはきっとサイレント・マジョリティがサイレントのままでいるからだ。
加藤和彦は「これまでに作ってきた音楽というものが本当に必要だったのか」「死にたいと言うより生きていたくない、消えてしまいたい」と遺書に書いていたらしい。
居ても立ってもいられない気持ち。
もっとちゃんと伝えよう。