マイクロソフトSurfaceでiPadとMacBook Airは過去のものとなった

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マイクロソフトSurfaceでiPadとMacBook Airは過去のものとなった

マイクロソフトはガッツありますね。アンダードッグになったらガッツで反撃しないと、RIMのように丸まってても座して死を待つだけですもんね...

ソフトウェア利用者の数こそ億単位だけどクールネスも未来もアップルに持ってかれっ放しのマイクロソフトが、この不利な形勢にSurface発表イベントで待ったをかけました! 販売戦略でヘマ踏まなければ、これでゲイツ・チルドレンもジョブズ後継陣営の破竹の勢いを止め、流れを変えることができるかも...またエキサイティングになりますね~はい~。

命運をかける新兵器、Microsoft Surface。美しいデバイスです。美しく、機能的で、シンプル、実直。MacBook AirもiPadもSurfaceの前では前座に追いやられてしまいます。それもそのはずで、Surfaceはアップルのジョニー・アイヴがジェダイマスターと仰ぐ巨匠ディーター・ラムスが唱える「良いデザインの十原則」を驚くべきことに全部きっちり踏襲してるんです。

1個1個見てみましょう。

ハードウェアとソフトウェア両方に通用する良いデザインの原則

良いデザインはイノベーティブである。

Surfaceでは強度そのままに軽量化できる新工法「VaporMg」採用。内蔵のキックスタンドもこれで実現しました。タブレットモードで使う時には見えなくて、後ろに立てかけたい時にだけ出てくるんだけど、これってなかなか思いつきそうで思いつかない斬新なアイディアですよね。

カバーをキーボードとして使うアイディアもおお~ときました。独創的なデザインのブレイクスルーと言えそうです。Proモデルはマルチタッチと感圧式ペン入力をコンボで搭載してるんですが、これも両方同時にっていうのは今市販のタブレットやコンピュータではまだないHTC flayer/jetstream、ereneben T2/T4、Samsung Galaxy Note/Series7 Slate、ThinkPad Tablet/X、 Asus EP121/B121、HP Slate500/Slate2、富士通 Q550、東芝 Wt301等々ぐらいです。

ソフトのユーザーエクスペリエンスもこれまた斬新で、単なるPalmやNewtonの進化の延長ではありません。Metroのライブタイル見れば、もうアプリ立ち上げなくても情報がリアルタイムでチェックできるし、分割画面でマルチタスクも可能。Metroはタッチ向けに一から開発したものなんですが、物理キーボード+トラックパッドでも操作できるのです。いんや~Metroほどイノベーティブなユーザーエクスペリエンス、地球はもとよりスタトレのU.S.S.エンタープライズにだってないでしょう。

良いデザインは製品を有用にする。

タッチスクリーン、ケース兼用キーボード、内蔵スタンド、これ全部合わせてPro版ではIvy Bridgeの頭脳をどんと搭載。Surfaceはその辺のどんなタブレットやウルトラブックよりも便利に使えます。ソファでも机でも、用途に合わせてSurfaceは自らその姿を変える―これぞ本当のモーフィングコンピュータ、そう納得できる初の製品ですねー。

有用なのはソフトウェアも一緒で、ライブタイル、マルチタスキング、そしてPhotoshopなどプロフェッショナルのプログラムもフルに使えちゃう。まさに娯楽仕事を両方こなせるコンピューティングデバイスに地平を拓く製品、なのです。

良いデザインは美しい。

Surfaceは文句なく美しい。オフにして美しく(iPad、MacBook Airもですが)、オンにして美しい。シンプルかつスリークなミニマリズム。この特性はソフトにも共通しています。

一度でも見たり触ったりした人はみんなSurfaceは本体からしてゴージャスだって思うみたい。中身のMetroもカラフルでシンプル...ハードウェアにぴったり似合います。OS XとiOSは中身だけ昔の装飾残して敢えて「スキュアモーフィズム(skeuomorphism)」と呼んでるわけですが、ああいう小細工はありません。

良いデザインは製品をわかりやすくする

Surfaceはハードもソフトも説明書見なくても使いこなせます。3秒使えば、タブレットからウルトラブックに変身させる方法もわかるし、Metroは起動一発で丸わかり。高度な機能もどんどん見つけられますよ~はい~。

良いデザインは邪魔にならない

Surfaceはやりたいこと一直線で、間で邪魔するものは何もありません。ハードウェア的には、手にもつことを念頭にデザインされたタブレットで、ちゃんと手に馴染む角度がついてます。ウルトラブックモードで使う時のキーボードは他のどんなキーボードよりもいいんだぜ、とマイクロソフトは自信満々でした。そこまで言うなら触らせてくれたっていいのに誰にも触らせてくれないんですよね。でも確かに邪魔にならない。タブレットの画面をカバーすると、その度にキーボードは消えちゃうんです。トラックパッド内蔵なので、キーボードから手を離さなくても、文書のどの箇所でも編集できるし。なにしろ速い。アップルみたいにワイヤレスの周辺機器で補うより、絶対こっちの方がエレガントです。

ソフトのMetroも同じで、一番大事なもの(=あなたの情報)一直線! 間に立ちふさがるものは何もなし。

良いデザインは正直

小細工は排し、SurfaceもMetroも各々の役割をしっかり果たすようデザインされています。見た目だけで中身のないお飾りもなくて、ハードウェアの全カーブ、全部品、全ノッチに意味があり、任務遂行のために存在するんです。Metroは一番ちっこいアニメーションに至るまで意味を持たせてデザインされています。ここには暇潰しに存在するものは何もありません。iOSやOS Xと違って人工皮膚も皮革もナシ、既に廃れちゃってるもののフェイクもナシです。

良いデザインは長もちする

マイクロフトはVaporMg工法でつくったものは半端無く長持ちすると力説してました。画面のガラスはゴリラガラス2で、今あるものでは最高のもの。キーボードもしっかりした造りに見えますね。Metroも昔のビジュアルメタファーとか一切使ってないので、時の風化に耐えそうです。全情報がユーザーに丸見えで、余計な装飾はゼロ。隣に並べるとiOSが古臭く見えてしまいますよ。みんなタッチスクリーン使わなくなったら話は別だけど、このMetroのユーザーエクスペリエンスは今世紀ずっと行けそうな予感

良いデザインは細部の細部まで首尾一貫している

Surfaceは、明らかにハードウェア、ソフトウェアの隅々まで一貫した哲学で造られています。あらゆるものが同じひとつの価値体系の元にあり、全ディテールがあるひとつの発想の中に組み込まれていて、同じ原則に従っているんです。

これはアップルにはない良さ。アップルのハードは細部の細部まで首尾一貫しているんだけど、そのハードの原則にユーザーエクスペリエンスがついていってないんです。比べちゃうと客観的に言っても雑然としてます。アイヴのデザインがフォーストール(iOS上級VP)の革で汚れがついちゃってる印象です。

良いデザインは環境にやさしい

製造の詳しい話は取材してないので、ここは割愛。

良いデザインは可能な限りデザインしない

マイクロソフトもアップルもハードではこの法則を厳格に守ってます。が、先述のようにマイクロソフトはユーザーエクスペリエンスにまでこの原則を徹底したところがアップル以上にアップルなんですね、どうしちゃったんでしょうね。

Metroのデザインは可能な限りミニマルにとどめてますし、フェイクな面やピカピカのドアノブが闊歩するiOSやOS Xとは真逆...。Metro界では情報が神。どのグラフィック要素も表示を可能な限りクリアにするために存在するんです。ユーザーと情報の間にへらへら割り込んでくる余計なグラフィック要素は一切ない、という言い方もできますが。

これが興奮せずにいられようか

マイクロソフトが実用化でヘマ踏まなければ...つまり価格・バッテリーもちでアップルに対抗できるものを打ち出し、キーボードが太鼓判通りなら...向かうところ敵なしのアップル帝国の勢いを本当に止められるかもしれません。少なくとも緩めることはできるんじゃないでしょうか。

もしMicrosoft Surface Proの値段が約束通り800ドルか900ドルで、バッテリー寿命が6時間か7時間で出たら...形勢はきっと変わりますよ。アプリのエコシステムがまだないので厳しいけど、マイクロソフトにはユーザーも開発者もエコシステム完成に必要な資金も潤沢にあるので、そのうち揃うんじゃ...。

昨日までマイクロソフトに唯一欠けていたもの、それはもっと良い戦いのプラットフォームでした。が、これでまた昔のようにがっつり戦えるピースがすべて揃ったかたちですね。

秋発売の暁には、チョイスは2つです。1)仕事用にMacBook Airを買って遊び用にiPadを買うか、2)ウルトラブックにも使える美麗デザイン&スリークなタッチUIの超高速タブレットを1台買うか。

コンピューティング新時代を始めたのはiPadです。が、ハードウェアは革新的で美しくても、レガシーも背負ってるんですね...。便利で楽しいカラーのNewtonをゴージャスでサクサクなハードに乗せたのがiPadなら、MacBook Airはおそらく完璧なウルトラブック。アップルのラップトップの進化で頂点に立つ製品です。だけど悲しいことに中身がOS X/iOSのフランケンシュタインLion...。 あれは一時代の終わりを画するものであって、未来ではないんです。 どちらも死ぬほど素晴らしく売れてる製品なのだけど、ハードウェアとソフトウェアを合わせた全体をパッケージとして眺めると、ラムスのデザイン十原則のテストは落第なんです。

ですが、Surfaceは落第ではありません。土台から上まで新しい。iPadのようなタブレットにも使えるし、MacBook Airのようなウルトラブックにも使える、コヒーレント(論理一貫型)な製品。古さと新しさをひとつに融合したのに、しっかり馴染んでる、そんな新製品なんですね。

いや、神タブレブックの再来...ではないし、そう、アップルだって黙ってはいませんよね(それを期待してる自分もいる!)。でもSurfaceはもしかして、iPadが先鞭をつけたコンピューティング新時代の約束を満たす最初の端末になれるんじゃないかな。

いや~ワクワクワクワク血が騒ぎますね。Surfaceは見た目もゴージャスだけど、僕が80年代からずっと追い続けているクパティーノシアトルの抗争の新たなドラマの始まりを画すものだと思うんですよ。前と違うのは、同じ役者で役割りが入れ替わったこと。アップルが勝ち組で自らの成功と伝統にがんじがらめに縛られてる囚人なら、マイクロソフトはアンダードッグ(負け犬)、今のMSには捨てるものが何もない者だけが享受できる自由がある。果たしてアップルはジョブズの遺産食いつぶして生きるのをやめ果敢にイノベートし続けていけるのか?

どうなるにせよ、今秋、新たな戦いが始まります。これは面白いことになってきましたね。

JESUS DIAZ(原文/satomi)