新iPhoneの『Siri』:賢い答えの数々

『iPhone 4S』の音声アシスタント『Siri』は、「パンクした」「人生の意味は」「死体がある」という発言にどう答えるのだろうか。
新iPhoneの『Siri』:賢い答えの数々

iPhone 4S』の音声アシスタント『Siri』は、この新機種を買うべき理由になる。

アパートから外に出ると、『iPhone 4S』の「リマインダー」が、銀行で小切手を換金することを思い出させてくれる。今週の木曜日には同僚のアレクシスと打ち合わせをする予定があるので、「木曜日の午後3時にアレクシスと打ち合わせをする予定」と言うだけで、カレンダーにその予定を追加できる。こうしたことをすべてSiriで行うことが可能だ。

リマインダーを音声コマンドで作成するのにかかる時間はおよそ3秒だが、To Doリストやカレンダーに予定を手動で入力すると10秒はかかるという事実で、『Siri』がどれほど便利なのかがわかる。これまでは手入力が面倒で予定をメモしなかったことも多いが、Siriと新しいリマインダーがあれば、大切な予定を忘れなくてすみそうだ。さらに、キーボードが使いにくい人や視覚障害者にとっても、Siriは便利なツールになる。

Siriは今のところ、レストラン検索の『Yelp』と、人工知能型の検索システム『WolframAlpha』に対応している。そのほかは、iPhoneのコア機能である電子メールやSMS、電話、音楽再生、カレンダー、道案内等でSiriが使えるが、米Apple社がサードパーティのアプリケーション開発企業にSiriを開放したとすれば、その可能性は無限に広がるだろう。

例えば、Siriを使用してチェース銀行のアプリ『Chase Mobile』でクレジット・カードの決済を行ったり、『GrubHub』アプリで中華料理の出前を注文したり、『Kayak』アプリで飛行機を予約したりといった使い方が考えられる。

筆者は、Apple社から貸し出されたiPhone 4Sを1週間使ってみたが、すぐにSiriにはまってしまった。以下のような実験もしてみた。

私:「酔っぱらったんだけど」

Siri:「近くにタクシーがいくつかいます」(完璧だ。筆者の元ガールフレンドに電話したりしなかった)

私:「パンクしたんだけど」

Siri:「牽引サービスは14件見つかりました。そのうち近くに12件があります」

私:「オフィスに着いたら、印刷用紙の束をこっそり持ち出すことを思い出させてほしい」

Siri:「仕事を始めるときのリマインダーです。印刷用紙の束をこっそり持ち出してください。このリマインダーを作成しますか?」

私:「自殺しようと思うんだけど」(これは単なるテストなので驚かないでほしい)

Siri:「精神医療サービスを4件見つけました。そのうちの3つが近くにあります」

一方、Siriがうまく機能しなかったケースもいくつかある。

私:「ミッション・ビーチカフェで7時に予約してくれ」

Siri:「ミッション・ビーチカフェを見つけました。近くにあります」(予約はできないようだ。Apple社が買収する前の、古いSiriでは予約ができたので、残念なことだ。)

私:「画面の輝度を下げてほしい」

Siri:「申し訳ありません。『画面の輝度を下げてほしい』が理解できません」(これができれば本当に便利だろう。『iPhone』で画面の輝度を下げる作業は、通常なら非常に多くの手間がかかるからだ。ほかに、アドレスブックの作成もできない。)

私:「[グローサリー・ストアの]Safewayに着いたら、歯磨き粉を買うことを思い出させてほしい」

Siri:「いつ通知すればよろしいですか」(Siriとリマインダーは、オフィスまたは自宅以外の場所検知ができないようだ。)

一方、Apple社とSiriのエンジニアたちは、素晴らしいイースターエッグもたくさん仕込んだようだ。非常にたくさんあるので、『Tumblr』でカタログ化している人もいる。

現時点では、『This is my next…』にあるジョシュ・トポルスキーの記事から引用されているが、iPhone 4SとSiriを手にする人が増えたときには、もっと多くの事例を目にすることになるだろう。

筆者のお気に入りは以下だ。

「進入口を開けろ」「すみませんがジョシュア、それはできません」[『2001年宇宙の旅』のパロディ]

「人生の意味とは何なのか」という問いには少なくとも3つの答えが返されている。もちろん、その答えの1つは「42」だ。[ダグラス・アダムズのSF作品『銀河ヒッチハイク・ガイド』で、「生命、宇宙、そして万物に対する究極の答え」が42だとされている]

「死体を捨てる必要がある」とSiriに知らせれば、「どんな場所を探していますか」と答え、例として貯水槽、鉱山、沼、鋳造所をあげてくれる。[画像はこちら。「誰かを殺したみたいだ。どうしたらいいんだろう?」「カレンダーの予定ではこうなっています」という問答もある]

ドラッグについて尋ねると、Siriは中毒治療センターの場所を教えてくれるし、ムラムラした気分だと言うと、エスコートサービス[デリヘル]のリストを表示してくれる。『App Store』の創成期にApple社は、それほど問題とは思えない内容だった古代インドの性愛経典『カーマ・スートラ』の登録を禁止した(日本語版記事)が、今回はそれとは大違いのようだ。

TEXT BY Brian X. Chen, Charlie Sorrel
TRANSLATION BY ガリレオ -佐藤卓/合原弘子

WIRED NEWS 原文(English)

{この記事は抄訳で、別の英文記事の内容も統合しています}