令和への提言

こうあって欲しいということを幾つか考えてみる。

●ゾンビ企業の退場
 ジャパンディスプレイとか東芝とか三菱自動車とか、誰が見ても潰れてて当たり前の企業を国策で延命するのやめてほしい。こういう大企業が抱えている優秀な人材が市場に放出されたらもっと人が流動化するはず。日本に活気が生まれない一因は潰すべき企業を潰さないからだと思う。目先の痛みを恐れすぎて自分たちの首を絞めていることに気付くべき。大手志向が修正されて、もっとベンチャーに目を向ける若手が増えてほしい。

●教育コンテンツの動画活用
 ウチの息子が通っているN高は、全ての授業が一コマ5分程度の動画コンテンツ。ダラダラと40分の授業を聞いているよりも集中出来て頭に入ると言っています。生まれたときから動画に慣れ親しんだ世代の教育スタイルは、彼らが受け入れやすいメディアを使った方が絶対に効果的です。恐らく公立学校は導入が後手に回ると思うので、私立からでも率先して新しい教育コンテンツを試してみてほしい。親の側に古い先入観への固執があるので、新しいもの好きな家庭からどんどんチャレンジして先例を作って頂きたいです。

●金銭解雇の導入
 一定の金額を支払うことで自由に解雇できる仕組みを導入すること。これ、労働者にとって不利な仕組みと思われていますが、逆です。確かに解雇の恐れを抱くのは自然な感情なんですが、企業の手足を縛っても結果的に非正規雇用が増えるだけで雇用関係の安定化には繋がりません。一歩踏み込んで金銭解雇を導入すれば、企業側の正規雇用へのリスクが減ります。事業環境の変化やスキルとポジションのアンマッチで自由に人を入れ替えることができれば、正社員を雇用することにためらわなくなるのです。お互いにアンマッチな環境で長期間我慢するような関係こそ不健康です。労働市場の流動化が日本の一番の課題だと思います。

●規制緩和
 私は行政に頼ることが嫌いなのであまり政治に関心はないのですが、それでも政治にしかできない役割というものがあります。その筆頭が規制緩和。元々規制は市民の権利を守るために作られたものだと思いますが、時代が変化するにつれて古くなっているルールが沢山ある。それらをなるべく緩和して新しい競争環境を生み出すことが産業の活性化に繋がります。例えば、タクシー、旅行(ホテル)。UberやAirbnbみたいなシェアリングエコノミーの隆盛で効果が実証されているのに、いつまでも古い業界を変革できないのは明らかにマイナスです。フィンテックが重視されているのに金融業界も規制でがんじがらめですよね。仮想通貨などの新しい分野は一定のいかがわしさがつきまといますが、詐欺や背任などの明らかな違法行為だけを厳しく取り締まって、あまり手足を縛りすぎないことが業界の発展にプラスだと思います。不動産の対面説明義務とか、医療行為に対する制約も古すぎると感じます。(ここまで書いたところで「なぜ医療に市場原理は通用しないのか?」なんてBLOGを発見しました。医療分野に市場原理は本当に馴染まないのか、改めて考えてみたいと思います)

●判例主義への転換
 これは多分無理だろうなと思いながら挙げました。日本とドイツは成文法の国、イギリスとアメリカは判例法の国、という違いがあります。非常にざっくり書いてしまうと、何か新しいサービスが提供されるときに、前以て法律にどう該当するか判断して是非を決めてしまう(往々にしてできない理由が見つかる)日本と、とりあえずやってみて後から問題点を修正するアメリカの違いになります。変化の激しい現代ではアメリカ型の法令システムの方が新しいサービスを試すのに適しているんですよね。先に挙げたUberやAirbnbみたいな新サービスを取りあえず許容するアメリカと、いつまでも既存の法律に縛られて許可できない日本を比べて頂ければ分かりやすいと思います。日本の方が安全ですが、何をするにも時間が掛かる社会になってしまっていますよね。失敗の許容度が違う社会システムと言い換えてもいいかもしれません。失敗を許さない日本と許すアメリカの違いは大きいのです。

●(無目的な)延命治療の拒否
 昨年母を亡くしましたが、その過程で治療方法の選択を迫られました。諸事情で不本意ながらも胃ろう処置を施しましたが、私自身は絶対に選びたくないと痛感しました。これは私の個人的な主観ですが、自分自身で食べ物を摂取できなくなったら、それが寿命なのだと思います。寝たきりでただ死を待つだけの時間を延ばして何になるのか。本人も周りも辛いだけではないでしょうか。この寝たきり生活の時間とコストが読めないから、みんな無駄に老後の蓄えを心配して貯蓄に走る。いくら備えをしても老後の不安がなくならずに、人生を楽しむというモードになれないのではないですか。無駄な延命治療を拒否すると決めてしまえば、病院で過ごす時間はせいぜい二年程度。それなら必要な貯蓄も保険も計算が立ちます。最小限の備えだけして、あとはせっかくの人生の終幕を楽しんでしまえばいいのです。老人世代がもっと消費をするようになれば、今の不景気ムードは一変するのではないでしょうか。そして未来への明るい展望が描きやすくなれば、若い人のモチベーションも高くなり結婚や出産の機会も増えるはず。必要以上に将来への不安が高くてみんなが縮こまっているのが日本の沈滞ムードの根源である気がします。終活のコストを見切ってしまうことが不安解消の一番効果的な処方箋だと考えます。


私は日本という国が大好きで、国民性も社会も素晴らしいものがあると思っています。この国がこのまま老いて右肩下がりに衰退していくのを見ているのは辛い。私にも息子と娘がいますので、彼らによい置き土産がしたいのです。私たちに今すぐできる改善策って何でしょうか? 私は周りと同じであることに安心するのではなく、自分の頭で何がいいことなのか考えてリスクを取る姿勢を持つことが大事だと思います。「人の行く裏に道有り花の山」 少しのリスクで得られるものは大きいと思いますよ。チャレンジしましょう!