ShopifyとAmazon

日本という恵まれた素晴らしい国に生まれ、活動をしていると、どうしても目が国内に向いてしまいます。ウチの場合は、カラーミーショップ、楽天市場と競争していると思っていますが、実はそうではなく、本当の競争相手はShopifyでありAmazonなのですね。地理的な要因を超えるITの世界においても、日本語という言語の壁は生きています。どんなに世界で使われているワールドサービスでもこの日本語のカベを超えるのはなかなか大変で、すぐには入って来ません。しかしそれは時間の問題で、いずれは来る未来なのです。

paperboyさんが社員250名で凄いなと思っていましたが、shopifyは3,000人です。ここと戦うのかと考えると溜息が出ますが、それでも私たちも生き残らなければなりません。ウチにはウチにしか無い強みがあるはず。ウチの良さを一番分かっていないのは私たち自身なのかも知れません。その意味でユーザーさんの生の声に触れるのはとてもよい気付きの機会です。ご期待を頂くその声にお応えしたい。誰よりもその想いは強いのです。勝ち残れる戦略を見出さねば。これが今の私の一番大事な課題です。

西野監督の決断について

日本代表、ポーランドに負けはしましたが、決勝トーナメント進出を決めました。素晴らしい成果にまずはおめでとうと申し上げます。

その上で個人的に感じること。まず一つ目。一番真剣にものごとを考えているのは、当事者。ですから外野は外野であることを自覚して、当事者に尊敬の念を持って見守るのが本筋です。あれこれ言うのは勝手ですけど、所詮素人の戯れ言ですからね。岡田監督もそうでしたよね。けちょんけちょんに言われてたのに、南アフリカ大会で結果を出したら急に英雄扱いされて、今までの論調はなんだったのかと。特にメディアはモノを言うのが仕事なのですから、自分たちの言説には責任を持って欲しいです。だから尊敬されないんですけど。というわけで、私も西野監督の判断自体は尊重しますし、結果を出したことは手放しに凄い事。快挙にまずは拍手です。

その上で思うこと。私には、ああはできないですね。これは岡田監督も言ってます。

結果出たんだから、西野さんの勝ち/岡田武史論
自分は小心者だからね。ビビって攻めにいくな

小心者だから、というのは岡田さん一流の謙遜だと思いますが、私が何より思うのは、自力で結果を出すチャンスが目の前にあるのだから、それを放棄して他力に依存することは危険だということです。今回は結果が良い方に出ました。その良い結果が出る確率を計算しての決断なら言うことはないのですが、果たして最初からそこまで考えていたのか。少なくとも試合前には、勝ちに行く、と言ってるわけですからね。試合途中での方針変更が選手に正しく伝わるか、そしてその確立見通し通りに他者が動くかどうかは保証の限りではありません。もし、セネガルが一点取って追いついていたら? その時西野監督は自身の方針を後悔しないのでしょうか。私は凄くすると思います。私なら、悔やんでも悔やみきれない気持ちになると思います。だから、その後悔をしたくない思いを優先して、ポーランド戦でも引き分け狙いで攻めたと思うのです。これは、正しい、正しくない、という話ではありません。この問題に正解なんてないのです。あるとすれば、哲学や価値観の相違ですよね。だって、同じことを南米のチームがやったら、素晴らしいマリーシア(ズル賢さを意味するサッカー用語)なんて褒め称えられるのでしょうから。その意味では、日本サッカーも厚みを持ちだしているということなのだと思いますね。

外野の雑音はほっておけば良いのです。大事なのは、決勝トーナメントの対ベルギー戦です。ここを全力で攻めて、世界を驚かせて欲しい。結局、評判や世論なんて、行動でねじ伏せていくしかないんですよ。監督も選手も、みんな心に期するところがあるはず。目にもの見せてやりましょうよ。ホンモノの侍精神を!

おちゃのこサークル勉強会

今年の3月から始めた「おちゃのこサークル」のパネラーさんにお集まり頂いて、第一回目の勉強会を大阪で開催しました。5店舗さん、それぞれがトップクラスの実績を出されているお店ばかり。日頃の運営の裏側などをお聞かせ頂きましたが、流石とうなるポイントが沢山ありました。西本凌先生のベンチャーマインドに関する講演のあとに、各お店の抱える課題についての講評など。私も少しスピーチさせて頂きました。大事なのは大きな志を持つことですよね、ということをお伝えしました。

現状はCARZYの立ち上げを急いでいますが、おちゃのこネットは重要な事業の柱であり、これだけ沢山のお客さまの期待を背負っているという自覚もあります。決して疎かにはしておりませんので、そこだけ誤解なきようにお願い致します。

いつものことですが、お食事会が一番面白い場なんですよね。色んな裏話を沢山聞かせて頂きました。こういう場を定期的に持ちたい、そして皆さんにいい刺激を持ち帰って頂きたい。そう強く感じた夜でした。またお目に掛かりましょう!

One on Oneのフォーマットを変えてみました

弱みを見せあえる組織の作り方:「悪い兆し」早く共有できる仕組みでトラブル激減

今まで個別面談のときには、Wordのシートに下記の項目を記入して提出してもらっていました。

・今年になってからの成果
・問題点、改善点(個人・会社)
・この1年の目標(個人・会社)
・会社への要望点

面談の開催頻度は、以前は3ヶ月に一度、最近は2ヶ月に一度のペースでした。で、ちょっと重いな、と感じたのですね。開催頻度が少ないという知人のアドバイスもありましたので、毎月開催にするタイミングでシートのフォーマットも変えてみました。冒頭の記事はリクルート時代の同期の中尾君の筆によるもの。このフォーマット、なかなかシンプルでいいですよね。

・悪い兆し
・良い兆し
・トピックス

”兆し”という表現が実は重要で、これが”ポイント”とかだと事後報告になってしまいます。つまりカタチになって現れたものしかレポートが上がってこない。これでは実際の所は遅いのです。問題がカタチになる前、なるべくタネの段階で、小さい芽を発見したい。そう経営者は思っています。それを実現しようというのがこのフォーマットに込められた意味なのですね。

このフォーマットは個別のOne on One面談にも有効だと中尾君本人にお墨付き頂きましたので、今回の面談から導入してみました。良い効果がでることを願っています。

Y Combinatorへの応募

シリコンバレーというメジャーリーグ

こちらで宣言したY Combinatorへの応募ですが、ちゃんと実行しました。Summer 2018へのApplyボタンが生きていたので信用したのですが、実は締め切りは3月でとっくに過ぎていたので実際の応募はWeb上からはできませんでした。それならそうと書いておけよ、と毒づいたのですが、ここであきらめては起業家の名がすたります。YCのトップであるPaul Grahamの連絡先を探して、直接連絡を取ってみました。正直、毎日一杯訳分からんヤツから連絡あるんだろうし無視だろうな、と期待していなかったのですが、なんとPaul本人から返事がありました! この時点で既に感動。だって、あのPaul Grahamですよ。シリコンバレーの良心、レジェンドですから、IT業界で知らない人はいない雲の上の存在。忙しい中を手間を割いてくれたのは、それなりにCARZYのビジネスモデルに関心を持ってくれた証拠なのかなと勝手な想像をしています。

その返事の文面は、Taroに相談しろ、というもの。私にはどの”Taro”さんかすぐにピンときました。そう、日本人としてただ一人YCを卒業したあの福山太郎さんのことです。そして返事のメールにはご丁寧に太郎さんのメールアドレスがccで付いていました! これでもう福山さんも無視するわけにはいきませんよね。だって、あのPaul Grahamの紹介ですもの。というわけでやり取りが繋がり、アドバイスも頂きました。内容はシンプル。
Batchに入るかどうかはYC次第なので、私はなんともですが、何社か現バッチの会社に会うと、すでにサービスローンチは前提のもと、顧客や売上がついている会社がほとんどのようです。ですので、今はβ版のローンチに専念され、最初のトラクションがでた際に再度ご応募されるのを個人的にはおすすめします。
サービスがローンチされる前にYCに行ったとしても、早く開発をすすめる、こと以外の助言がYCも出来ないからです。
至極ごもっともですね。確かにそうなので、まずはサービスのトラクションを上げることに専念します。

一つ気になっていることは、YCのスキームがアメリカ在住ベンチャーの育成に限定されていること。彼らの考えるベストプラクティスが、シリコンバレーでチームを編成して、シリコンバレーのエコシステムの中で成長を目指すこと、にある以上は仕方ないのですが、CARZYのようにまずは日本でトラクションを作ってから世界展開を目指すビジネスには都合が悪いところがあります。仮にBatchに受かったとして、本当にチームをシリコンバレーに移すのか? 我々の強みは日本国内のコレクタブルカー人脈にあるのですから、今すぐアメリカに行ってもビジネスのローンチは難しい。しかし、本気で世界を狙うなら、どのタイミングであれ、ビジネスのHeadquartersをアメリカに移すことは必要かも知れない。何だか日本企業としてのアイデンティティを問われているようで悩ましいですね。SONYもホンダも日本にありながら世界企業に成長したしな。でもIT業界で日本出身でホンモノの世界企業になった例はまだないんですよね。メルカリはその突破口になるのかどうか。

しかしながら考えることのレベルが数段階上がった気がして、凄い高揚感があります。この楽しみを一人でも多くの日本人起業家に味わって頂きたいなと思っています。

メッセンジャーの翻訳機能

Facebook 自動翻訳 MessengerーFBのMessenger、自動翻訳機能で米国/メキシコ間の言葉の壁を取り払う

いいですね。メッセンジャーの翻訳機能。最近Airbnbを使ってみて関心したのは、これでした。アメリカの物件を予約したのですが、ホストと予約期間や追加料金の発生など一定のやり取りは必要でした。いつもならGoogleなどで毎回テキストを翻訳してからメッセージを送るのですが、Airbnbでは画面にそのまま日本語で打ち込むだけで自動的に相手側の言語に翻訳してくれる機能が実装されています。ただのGoogle翻訳なのですが、これを意識させずに自然に使えるところがさすがです。技術の正しい使い方ってこうだよなと思わせられました。昔からあるのになかなか発展しないのが、この翻訳技術。精度を上げるのは難しいのでしょうが、一番分かりやすい技術の恩恵のカタチです。LINEもこういうところを頑張って欲しい。各社の日本語対応が進む事を願っています。

コロンビア戦の感想など

W杯が始まりましたので、素人の感想など。コロンビア戦は後半途中からしか見れてないのですが、緒戦勝利というのは見事な結果ですね!

人によっては、開始早々のハンドでコロンビアが一人少ない状況になったのはラッキー、勝って当然と言うコメントもあります。しかし、その状況を作り出したのは日本ですからね。そして、10人になってからも、少なくとも前半のコロンビアは劣勢には陥っていませんでした。同点に追いつく底力を見せたわけですからね。そこを踏み止まって、後半に勝ち越したのは、ああ日本も地力が付いたということだな、と感慨深く思いながら終了の笛を聞きました。

下馬評では圧倒的に日本不利で、恐らく誰も勝つなんて思ってませんでしたよね。現場で孤軍奮闘する西野監督の心中、そして選手のプレッシャーとモチベーションを考えると、外野は黙って応援するだけだなと思いました。四年に一度のお祭りは絶好のスタートを切りました。これで一気に楽しみが増えましたので、今後の戦い振りを見守りたいと思います。

メルカリ上場の意味

週刊isologue(第480号)上場前後の資本政策(メルカリ特別編その5)

経営者の方には是非有料でもこのコンテンツをお読み頂きたいと思います。メルカリが東証マザーズに上場しました。売り出し価格3,000円に対し、初日の終値は5,300円、これで時価総額7,100億円の企業が出現したわけで、日本にもユニコーンが姿を現したぞという世界に向けてのアピールができたと思います。このメルカリ上場の意味は大きい。
メルカリは一種の奇跡であって、必ずああいった成長ができるとは限らない
というのは事実として認識しておかなければなりませんが、それでも
今どき、イケてる人材が起業すれば10億円超の資金が集められるのも当たり前
になっているのもまた事実。アメリカのベンチャー市場に対して羨む声をよく聞きますが、実は10〜20億円規模のおカネを集めるなら日本の方が集めやすい、という声もあるのです。(渡辺千賀さんの記事を参照) 私たちは日本という守られたマーケットでビジネスが出来ているラッキーさをもっと自覚すべきなのです。

その上で、山田進太郎さんは日本国内での成功に飽き足らず、さらに10倍、100倍の成長を志向して海外に展開しようとしています。その野心が素晴らしい。この人もホンモノです。
特に、シード、アーリー期のスタートアップは「予言の自己成就」が起こりうるところが特徴です。

つまり、「うちはユニコーンになるくらいの大成功をするかも」というのを投資家が信じて、高いvaluationで多額の金額を調達すれば、実際にその調達した多額の資金で優秀な人材を獲得したり、マーケティングを始めいろんな施策に先行投資ができたり、すごいオフィスを作ったり、ができるので、本当にイケてる企業になってしまう(予言が成就する)ことにもなり得ます。
全ての出発点は、志、です。目線を高く持って参りましょう。

働き方改革が経営にもたらすもの

働き方改革キックオフセミナー

三重県津市で開催されたセミナーに参加して、サイボウズの青野社長の講演を聴いてきました。ウチで複業してくれている岡田君の存在もあって、サイボウズさんは気になる存在です。「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。」著作も拝読しました。恐らく、サイボウズの働き方改革の動きを見ている人たちは、共通である不安を抱くと思います。「理念は素晴らしいけど、そんなことして経営的にマイナスになるのではないか」と。

非常に乱暴な表現をすれば、サイボウズ流の働き方改革とは、個人のわがままを聞いてあげること、です。これはがむしゃらに働いてきたモーレツビジネスマンであればあるほど反感を持つところです。
会社に何しに来てるの?
遊びじゃないよ、仕事だよ、ツラいのが当たり前だよね?
おカネを稼ぐって厳しいに決まってるじゃない
そんな声が聞こえてきます。私にもそういう思いはあります。しかし、これが古い価値観だと青野さんは言います。

サイボウズでも始めから綺麗な理念があったわけではありません。28%という高い離職率に悩み、このままではダメだ、何かを変えないと。そういう苦しい摸索から一つ一つ手探りで突破口を開いてきた結果が、サイボウズ流の働き方に結実しています。青野さん自身がモーレツビジネスマンでブラック経営者だったのです。ITベンチャーなのだから深夜残業当たり前、そういう会社に入ったんでしょ、という姿勢でした。しかしそれではどうにもならないカベにあたった、ということなのです。

社員が会社を辞める理由はさまざまです。そこに統一の解があるわけではなく、一人一人の事情に向き合うことしかできません。それが個人の尊重ということです。しかしここで大きな問題が生じます。それは公平性をどう担保するか、です。どうしてアイツは自宅で作業が許されるのか、どうしてあの人は時短で早く帰ってしまうのか。これを不公平だと感じてしまうとチームがめちゃくちゃになります。そうじゃないんだ、一律に同じルールを強制されて会社の都合に合わせないといけないことがそもそも理不尽なんだ、組織よりも個人を大事にしよう。これが大きなパラダイム転換なのです。ここの価値観の転換ができないと、本当の意味での働き方改革は実現できないと思います。

実際に働き方改革を導入したサイボウズでは、経営にどんな影響があったのか。実は想像以上にプラスに働いたのですね。時短や育休で辞めずに済んだ人が確保できたのがまず大きい。そして、複業やリモートワークで東京以外で働いたことが、新規の顧客や地方のチャネルの開拓につながっています。人は会社以外でもなにがしかのコミュニティと関係性の中で活動しているわけですから、そこでできた新しい人脈や仕事関係が本業の役に立たないわけがないのですね。そんな上手く行くか、と疑問視される方は、自分が会社を離れてどんなことをしているのか思い描いてみればいいと思います。みんなどこかで誰かと何らかの新しい価値を生み出しているはずですよね。根本は、人を信用しようよ、ということに尽きるのかも知れません。

数多のビジネス書を読んだ経験では、結局組織の盛衰はメンバーのモチベーションを引き出せるかどうかにかかっていると考えています。人が集まって活動している以上、その人の能力を最大限発揮してもらうこと以上に大切なことなんてないのです。あとはみんなオマケです。

いま日本の古い大企業に不祥事が相次いでいます。そろそろみんなが気付きだしているところなんじゃないでしょうか。大企業の理屈って古いんじゃないの、旧来の価値観の延長上に幸せってないんじゃないの、と。組織のために個人が我慢するんじゃなくて、個人の幸せのために組織になにができるか。この大きな転換点をクリアできれば、日本も復活するんじゃないでしょうか。みんな幸せになるために生きてる。このシンプルな原則に立ち返って、全てを組み立てましょう。これが21世紀の新しい価値観なのだと思います。

天災とリモートワーク

久し振りに大きな地震でしたね。神戸は大阪に比べれば揺れは小さかったらしいのですが、それでも震度5弱。電車が全て停まって大混乱の一日でした。

そんな中でも何人かのスタッフは自宅からリモートワークで仕事をしてくれていました。まだ導入途中で全社員が対応できているわけではないので仕事が止まってしまいましたが、リモートワークの威力を認識させられました。BCP(事業継続計画: Business continuity planning)なんて言葉もありますが、災害や不慮の事態に強い体制を作っておかなければと改めて痛感しています。リモートワークの推進は決してスタッフにとっての働きやすい環境作りというだけではなく、お客さまにとってもメリットのある施策なのです。更に深化させていこうと考えています。

情報活用スキル

私はスパイアクションものが好きなので、そういう映画やドラマをよく見ます。そこに情報分析官という担当者が登場しますよね。現場でドンパチやる主人公を支える役回りですが、セクションのトップを含めてこの情報分析のスキルが大勢を左右します。これ、ビジネスでも同じですよね。

まず、溢れんばかりの情報の洪水の中から本当に重要な情報をチョイスすることが既に困難です。何気ないことに見えても、初期のサーチスキルには相当な個人差があり、のんなネタどこで拾ってきたのと驚くべき高品質の情報を提供してくれる人がいたりします。普段からアンテナ張ってるのでしょうし、ネタ元のストックがあるんでしょうね。目利きができないとノイズとお宝の区別が付きませんから、高い次元の視点を持ち合わせていることも必要なのでしょう。こうなると誰もができることではなく、もはや専門職の領域です。

次に必要なのは、集めた情報から本質を抽出して、ではどうすべきなのかの判断をすることです。最終的な意思決定は経営者の仕事ですね。ここは最後はセンスの問題なのかも知れません。習ってできることではなさそうな気がしますね。悲しいことですが。

では我々凡人はどうすればいいのか。月並みですが、早く動くことしかないと思っています。間違っているかもしれないけれど、どこかで腹を括って決める。実行してみる。ここでいつまで迷っていてもはっきりした答えは見えてきませんし、見えてきた頃にはビジネスの大勢が決まってしまって手遅れです。不安でも不完全でも、決めて先に進んでみることしかできない。そこで間違っていることに気付いたら修正する。怖いですけどね、失敗を認めるのは辛いですが、傷つくことを恐れない姿勢だけが大手に勝てる我々の武器なのかもしれません。経営者のメンタルタフネスが求められますが。

WYSIWYG編集の呪縛

実家の農業のウェブサイトを作ろうと、おちゃのこさいさいを使っています。いわゆるCMSツールなのですが、競合サービスとしてはJimdoWixWordPress、国産サービスだとグーペペライチなんてサービスもあります。

サービスの特色は大きく二つに分かれるのですが、一つはWYSIWYG編集タイプのサービス、もう一つは独立編集タイプのサービスです。触って頂くとすぐに分かるのですが、先の例だとJimdo、Wix、ペライチはWYSIWYG編集タイプのサービスです。編集モードに切り替えると、表に見えるサイトの状態から必要箇所をそのまま編集できる作りになっています。これは直感的に対象を触れるので、分かりやすいですね。ただ、少し使い込んでみるとたちまち袋小路に嵌まる感じが出てきます。それはWYSIWYG編集の罠と呼びたくなるところなのですが、用意されている編集機能を超えてカスタマイズしたいと思った時に途端にハードルが上がるのです。WYSIWYG編集も万能ではなく限界がありますから、画面上の編集で対応しきれない領域が必ず出てくるのです。その時にどこから触ったらいいのか途方に暮れる、というのはよくあるパターンだと思います。

おちゃのこさいさいやグーペのような独立編集タイプのサービスは、最初は表示箇所と編集領域との紐付けを理解するのに時間がかかりますが、いったんそこをクリアしてしまうとそこさえ触っていればできるというメリットがあります。どちらがいいのかは難しいところですね。

ビジネスとして評価してみると、この手のCMSツールはマネタイズのカベが高いという難点があります。つまり、ショッピングカートのように商売に必ずしも直結していないために、お金を出して有料のサービスを使おうというモチベーションが高くないのです。現状は無料のサービスがこれだけ沢山出回ってしまっていますので、ユーザーとしてはまずはお金を掛けずにサイトを作ろうと思ってしまいますよね。これはビジネスの落としどころとしてはよくよく考えてサービス設計しないとツラいです。

ショッピングカートとモールのビジネスモデルの違いと同様の構図がCMSの世界にもあると思います。サービス提供型ビジネスの世界における、単体CMSとモール、つまりマーケットプレイスの構図ですね。マーケットプレイス型の代表例がEPARKなのでしょう。飲食はそれだけで大きなカテゴリーなので、食べログやぐるなびが鎬を削っていますね。ここに面白いビジネスモデルの提案余地があるのか、レッドオーシャン化していて幸せになれない領域なのか、見極めが大事です。

CMSツールの世界も奥が深いですね。

Microsoft、やりますね

Microsoft、Officeをメジャーアップデートへ――Fluentデザイン言語を全面的に採用

サティア・ナデラ氏がCEOに就任してからMicrosoftの評判が随分よくなったように思えます。昔は、儲かってはいるけど尊敬されない会社の代表みたいなもので、古くはNetscapeのブラウザー、ジャストシステムの一太郎、と邪魔者を見境なく潰して帝国を築いた悪の帝王みたいな印象でした。多分、ビル・ゲイツは最後までSteve Jobsを羨ましく思っていたはず。IT業界内でのポジションは高くはなく、特にクラウドの時代に以降してからは時代遅れの大企業感がありました。

それが、2014年のCEO交代から雰囲気が変わってきたと思います。Minecraftの買収、Linux Foundationへのコミット、 GitHubの買収、など打つ手がツボに入っている感があります。Ballmerなら絶対にやってないでしょうね。そしてコミュニティの反発も相当だったはず。でも今のMicrosoftならおかしなことはしないだろうという安心感があります。今回のOfficeのデザインアップデートも好印象です。シンプルに、慎重に、というところが好印象で、押しつけがましさがありません。これから新しい世代の製品・サービス群にも大いに期待できそうです。

企業は経営者で大きく変わる。ダメな会社はすぐに淘汰されるので、その会社が存続しているということは、創業者の理念が社会に支持されているということなのでしょう。大切なところは残しつつも、時代に合わせて柔軟にアジャストする姿勢が大事。その意味では事業承継で経営者が交代するというのは、文字通り企業の趨勢を左右します。Microsoftはそれに成功したということですね。中小企業は人材層が手薄なので身内に頼ることが多いのですが、これから日本中で事業承継の機会が増えていきますから上手く乗りきりたいものです。ある意味、飛躍するチャンスでもあるのですから。

遊び体験の提供

夏にアメリカのモントレーを訪れる予定があり、ついでにサンフランシスコで何か面白いことが体験できないか調べていました。

まずは定番のTripAdviserでサンフランシスコ観光を検索。まあ、普通ですね。実は前回に家族でサンフランシスコは旅行をしたことがあり、ケーブルカー、フィッシャーマンズワーフ、ゴールデンゲートブリッジ、ナパバレーのワイン農場、Apple本社、スタンフォード大学、市内のレストラン、などのめぼしいところは既に体験していました。再度訪問したくなる面白い体験としては、上記の検索結果は不満です。

次に、Airbnbを検索。元々は民泊の検索サイトですが、最近は体験にも力を入れているはずだし、Airbnbのお膝元なのだからさぞかし充実しているはずと期待して見てみましたが、がっかり。一見色々な体験が提供されているように見えますが、食べ歩き、テイスティング、料理教室、写真教室、ライブ、トレッキング、サイクリング、くらいですかね。ずっと見ていると結局似たり寄ったりの体験が多くて、段々飽きてきます。おっ、と思わせるようなワクワク体験が少ない。これはまだまだ改善する余地が大アリです。

振り返って日本はどうか。

日本人も見捨てた温泉街を中国が買収、再生の行方に注目

圧倒的に考え方が古くて、自分たちのコンテンツを活かせていない。本来もっとポテンシャルがあるはずなのに、ごく限られたインバウンド需要を取り込んで満足しているのではないかと思えます。観光立国に関しての著作でデービッド・アトキンソン氏はこう語ります。
「気候」「自然」「文化」「食事」の四つの観光条件が揃っている国は希有。日本はそれがあるのに、観光客数が少なすぎる
私が思うに、諸悪の根源は”説明が少なすぎる”ことにあります。古い神社や仏閣が世界遺産だと言われて見に行ったのに、その凄さがよく分からなかったという声を聞きます。私たちが逆に外国人観光客として現地を訪れても同じことが起きますよね。文化施設はちゃんとした説明がないと価値が伝わらないのです。伝える努力をせずにおもてなしを唱えても、それは自己満足に過ぎないと思うのです。

話は外国人観光客向けだけではなくて、日本人向けにも改善が必要です。同じ日本人向けなら説明をクドクドする必要はありません。直感的に遊べる楽しいアクティビティはまだまだ足りてないのだと思います。この前親戚の集まりで聞いたのは、ティーンエージャーの甥っ子・姪っ子たちの「マウンテンバイクで思いっきり走り回れる場所や、サバイバルゲームが本格的に楽しめる施設がほしい」なんてリクエストでした。こういう遊びの感覚は、大人じゃなくて若者や子どもたちの感性に耳を傾けるべきですよね。昨今の観光列車の盛況振りを見ても、大人だって遊びを求めているんです。満たされていないんです。国内向けも外国人観光客向けも、大いに発展させるだけのポテンシャルがこの「遊び」マーケットに隠されていると感じます。面白い切り口を探してみようと思いますので、お楽しみに。

電話 = SPAM

未だに携帯に直接電話をしてくる会社があります。本当にやめてほしい。この前はただの商品案内の営業電話が掛かってきて、真剣に腹が立ちました。こちらの時間をなんだと思っているのか。

同期通信と非同期通信という考え方があります。同期通信の代表が電話です。同時にこちらと相手が繋がって、同じ時間を共有するコミュニケーション。従来の伝統的な手法ですね。対して非同期通信の代表がメールです。基本的には24〜48時間の返信の猶予があって、先方の都合の良いタイミングで返事をしてくるものと了解している。メールが登場した時にはなんて斬新なやり方と関心しましたが、今のデジタルネイティブ世代には非同期通信の有り難みは理解できないかもしれません。

LINEなどのメッセンジャーはこの中間あたりに該当しますかね。同期ではないんだけど、メールよりは早い返答を期待するメディア。双方のいいとこ取りで、普及したのも分かります。これが今のコミュニケーションの主流ですね。パーソナルな人との連絡はLINE、少し距離のある仕事上のお付き合いの関係先とはFacebookメッセンジャーという使い分けが多い気がします。

早く結果がほしい時に電話を使いたくなる気持ちはよく分かるのですが、また自分自身結構電話を多用するところもありますが、急ぎでない連絡は電話を避けて非同期通信にして頂きたいものです。企業側がもっと受け皿を柔軟に用意すべきなのでしょうね。(ウチも改善しないと!)